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2019年6月

2019年6月30日 (日)

幸福論

時々、3冊の「幸福論」を読み返しています。
アランの「幸福だから笑うのではない。笑うから幸福になるのだ」という言葉は、ぼくがよく健康講演会でも話す言葉です。
ラッセルは、幸福獲得の条件として、関心を内へ内へ向けるのではなく、外界へと好奇心を向けることが大事だと述べています。
幸せになりたければ、自分の外界に目を向けなさい、ということです。
ショーペンハウアーは、「幸福は人間の一大迷妄である」という皮肉屋ですが、そんななかにも処世術に近いような言葉がちりばめられています。
3冊の幸福論を折に触れ、偶然開いたページを読み返してみると、そのたびに新たな発見があります。
ぼくの大事な本です。

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「幸福論」(アラン著、白井健三郎訳、集英社文庫)
「ラッセル 幸福論」(ラッセル著、安藤貞雄訳、岩波文庫)
「幸福について 人生論」(ショーペンハウアー著、橋本文夫訳、新潮文庫)

 

 

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2019年6月29日 (土)

学校は奇跡を起こす基地

佐賀県の高校2校で「教科書にない一回だけの命の授業」をしてきました。

http://kamata-minoru.cocolog-nifty.com/blog/2019/06/post-d9a98e.html

その様子を佐賀新聞が大きく取り上げてくれました。
「学校は奇跡を起こす基地」

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人生を変えた高校時代の話、父親から教わった「にもかかわらず」という人生哲学などを語り、
失敗してもいいけれど、全力投球してほしいと話しました。
それぞれの高校には、ぼくの著書15冊にサインして、図書館に寄付しました。
これから人生をひらいていく高校生たちに、何か伝わればいいなと思っています。

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2019年6月28日 (金)

71本のバラ

本日6月28日はぼくの誕生日。
お陰様で71歳になりました。
佐賀で街角ライブラリー鎌田文庫をつくってくれている溝上さんから、
昨年に続いて今年も、バラの花をいただきました。
70本の赤いバラと1本の黄色いバラ。
天皇陛下に献上してきたという佐賀のバラは、とても立派なバラです。

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7/28は佐賀県で、鎌田實のがんばらない健康長寿実践塾があります。
実践塾、いよいよ軌道にのってきました。

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「日曜はがんばらない」(文化放送、毎週日曜午前10時~)を応援してくれているアルソア化粧品からも誕生日のお花をいただきました。
みなさん、ありがとうございます!

 

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「毎日が発見」講演会のお知らせ

「毎日が発見」アクティブシニアフェスタ参加者募集

雑誌『毎日が発見』とKADOKAWAの共催・鎌田實講演会
「がんばらない」けど「前向きに」生きる~中高年の危機を乗り越える方法~ 
へ、計1000名ご招待(応募者多数の場合は抽選)【参加費 無料】

■日時 2019年7月18日(木) 
 午前の部 10:30(開場)~ 13:10 / 午後の部 13:50(開場)~ 16:30 

■会場 有楽町朝日ホール (東京都千代田区有楽町2-5-1有楽町マリオン11F) 


応募はこちらから : Kdq.jp/kamata【締め切りは7月3日(水)】  

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2019年6月27日 (木)

24時間オープンの保健室

「子どもの本棚」7月号で、『脱・呪縛』(理論社)が紹介されました。
「目次やページをめくりながら、今読みたい部分を読んで心を軽くできる二十四時間オープンの保健室。
こやまこいこさんの絵が、さらに気持ちを和ませてくれる。
呪縛を脱するパワーが必要なのは、十代の若者たちだけではない。
大人も「いつでもリスタートできるのだから」と前向きになれる一冊だと思う」
と、平島和子さんが評論してくれました。

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ありがたいことです。

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『脱・呪縛』(鎌田實著、こやまこいこ絵、理論社)

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2019年6月26日 (水)

鎌田劇場へようこそ!(421)

「ペトラは静かに対峙する」

スペイン映画。
次々と問題作を撮り続けているハイメ・ロサレス監督の作品だ。
偽りと真実に翻弄される若い女性ペトラ。
彼女は、父親を知らない。
母親は病床で最後まで父親の名を明かさなかった。
監督は見る人がどう解釈してもいいようにつくったと言っている。
人間の闇をえぐる、まるでサスペンス映画だ。

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舞台は、独立運動が熱くなっているカタルーニャ。
静かな自然のなかで、現代におけるギリシャ悲劇が繰り広げられる。
ペトラが対峙するものは、嘘、愛、死、新しい命。
たくさんのものに対峙する姿を描いている。
#ペトラは静かに対峙する
久しぶりにおしゃれな、映画らしい映画に出合った。
大満足。

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2019年6月25日 (火)

お知らせ

NHK長野放送局の田中アナウンサーが、諏訪中央病院のほろ酔い勉強会などの取材に来ました。
鎌田がいままで長野でやってきた健康づくりや、最近、心がけている健康法、イラク難民キャンプでの活動など、盛沢山のインタビューもしてくれました。

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その内容は、
7月1日(月)午後6時10分ごろからの「イブニング信州」で放送されます。
放送日が変更されました。
7月2日(火)午後6時10分ごろから。
ぜひ、ご覧ください。

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2019年6月24日 (月)

星空キャンプ2019参加者募集

地域医療を深める至極の3日間
「星空キャンプ2019in北海道名寄」

地域包括ケア研究所が毎年夏に開催している「星空キャンプ」。
今年は名寄で開催します。
地域医療に関心のある学生、各フィールドで活躍している医師や看護師、保健師、介護士らが集い、日常では体験できない環境のなかで、学びや気づきを得るプログラムを体験します。

テーマは「視座」。
講師は福島県立医科大学の山中教授、元諏訪中央病院の奥医師、嚥下に詳しい旭川医科大学の山根看護師、病院や介護施設でワークショップをしている地域包括ケア研究所の大曽根さんらが務めます。
名寄市長を囲んで、まちづくりと地域包括ケアを議論し、行政とどう連携していくかということも考えていきます。

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日時 2019年8月2日~4日
開催場所 北海道名寄市内の各施設

参加者10人を募集しています(全体では30人参加予定)。
参加資格は、地域医療、地域包括ケアに関心のある専門職、医療従事者、医学生、看護学生、医療・福祉の専門職を目指している学生ら。
最近は、介護職の方や介護をめざす学生などもたくさん参加してくれるようになりました。
昨年は鹿児島からも参加がありました。ぜひ、全国からご参加ください。

申し込み締め切りは、7月15日
こちらからお申し込みください。

http://tiikihoukatsucare.org/hoshizora2019/

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2019年6月23日 (日)

夢と友情の紙芝居

「かまた先生のアリとキリギリス」(童心社)が、紙芝居の五山賞特別賞を受賞--。
そのことが、地元の新聞に紹介されました。
この賞は、文民教育協会子どもの文化研究所が主催している賞です。
子どもたちに夢や希望の大切さを教え、努力することと同じくらい困っている人に手を差し伸べることの大切さ、友だちの大切さを教える作品ということで評価されました。
売れっ子絵本作家のスズキコージさんが紙芝居を書いたことも、受賞の大きな要因です。

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そのスズキコージさんが、諏訪中央病院に船の大きな絵を寄贈してくれました。
長野日報の写真は、その絵の前で紙芝居をもっているところです。

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五山賞の表彰式は7/6、学習院大学で行われます。

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2019年6月22日 (土)

鎌田實の一日一冊(359)

「傲慢と善良」(辻村深月著、朝日新聞出版)

ジャンルはわかりにくいけれど、恋愛小説だ。
婚約者が突然、姿を消した。
その居場所を探すため、過去を向き合う主人公。
物語は緊張で始まるが、傲慢と善良にこだわるためにだんだんうっとうしくなっていく。

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ネタバレしないようにしないといけないが、サスペンスでもない。
お見合いサイトが出てくるが、若者たちがお見合いサイトに疲弊していることがわかった。

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2019年6月21日 (金)

スクワットとかかと落とし

長野日報で、『鎌田式「スクワット」と「かかと落とし」』(集英社)が取り上げられました。
茅野市では、市長が地域包括ケアのいきとどいた町にすると宣言し、市内各地の公民館で活動が始まっています。
その公民館での講演会の第一弾が山間地の芹ケ沢という地区であり、記事はその様子も取材。
運動の大切さをまとめてくれています。

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『鎌田式「スクワット」と「かかと落とし」』は、初版1万部で、5000部の増刷が決まりました。
7/27の「サワコの朝」でもこの本が取り上げられます。

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日本中に鎌田式スクワットとかかと落としを広めたいと思っています。

 

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2019年6月20日 (木)

鎌田文庫

佐賀市内にミズ・溝上薬局が新しい構想でビルを2つ建てています。
7人の医師による往診クリニックと、高齢者アパートです。
アパートの一階はドラッグストアとローソン、二階にはレストランと街角ライブラリー鎌田文庫をつくる予定です。
この街角ライブラリーは、だれもが行けるカフェのような図書館で、
鎌田の作品すべてと、各年代に合わせた鎌田おすすめの本を読むことができるスペースにする計画です。
長崎にある絵本で有名な童話館や集英社などが協力を申し出てくれています。

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Img_2857 鎌田文庫の完成予想図

完成は、12月。
来年3月には、さだまさしさんが応援にかけつけてくれるそう。
建物のオープニングと溝上薬局110周年を祝って、さださましさんのコンサートと鎌田の健康講演会をする予定です。

 

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2019年6月19日 (水)

佐賀の高校で命の授業

佐賀の高校2校で「教科書にない一回だけの命の授業」をしてきました。
県立高校でありながら、甲子園で優勝した進学校の佐賀北高校と、親鸞の教えを元に開られた龍谷高校。
若者たちに夢をもつことの大切さ、友人をもつことの大切さ、そして、自分の人生を切り開くために要所要所で努力することの大切さを語ってきました。

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年10回くらいは、若者に直接語り掛ける授業をしたいと思っています。
鎌田のライフワークです。

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2019年6月18日 (火)

似顔絵

画家の越川美佐子さんから、すてきな似顔絵をプレゼントしていただきました。

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越川さんは、筋ジストロフィーを患っていますが、今も精力的に絵を描いています。
千葉のアートフレンズ展に出品した作品もプレゼントしていただきました。
昨年、諏訪中央病院で作品展をしたこと、レストラン・ピーターで食事をしたことなどのお礼ということです。
心から感謝です。

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2019年6月17日 (月)

愛全会で講演

北海道の愛全会50周年記念研究大会に呼ばれました。
病院を中心した施設を運営している医療法人で、地域包括ケアも前向きに取り組んでいるすばらしい法人です。
5年前にも呼ばれたことがあります。
職員は2000人。
働き方改革をしているので、人材もよく集まるといいます。

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会場で、職員と一緒にかかと落としやスクワットをしてきました。
その帰り、空港で味噌ラーメンで腹ごしらえ。
とんぼ返りで帰ってきました。

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2019年6月16日 (日)

鎌田實の一日一冊(358)

「宮沢賢治の謎をめぐって わがうち秘めし異事の数、異空間の断片」(栗谷川虹著、作品社)

宮沢賢治は、ぼくたちが見えないものが見えている。
幻視者に似た視点をもつ賢治は、「見たものを書いている」という。
賢治の心象とは、想像力の拡大でも、夢の世界に浸ることでも、無意識の世界を探求することでもない。
ぼくたちの理性的意識界がじゃまをして見えないものが、彼には見えていたのではないか。
著者は、そんな視点で、宮沢賢治の心象の謎を解明していく。

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この本を読んで気づいたのは、
賢治を読むときには、ありのまま、そのまま、理屈をこねないで賢治が見る異界を受け入ること。
そうすることで、賢治が言おうしていることが素直にわかってくる。
宮沢賢治は深い。

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2019年6月15日 (土)

鎌田實の一日一冊(357)

「宮沢賢治 宇宙意志を見据えて」(長沼士朗著、コールサック社)

宮沢賢治は友人に宛てた手紙のなかで、「宇宙意志というものがある」という言葉を使っている。
相手は小学校の女性の教員。
天体や農業など科学的なことが好きな賢治、同時に信仰にものめり込む。
信仰か科学かというとき、自分はどうしても前者だと言っている。
宇宙意志とは、「超越」や「絶対」などと近い。
どうすることもできない「大いなるもの」という意味らしい。

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「デクノボー」とは何か、という視点が面白い。
宗教学者の山折哲雄さんは、食物連鎖のなかで生きている人間のあり方に強い不安を抱き、
そこから抜け出す人間を「デンノボー」と表現したのではないとしている。
「雨ニモ負ケズ」のなかに出てくるデクノボーは、病気の人や困っている人を助けているわけだから
役に立たない人間では決してない。
そんな「デクノボー」になりたいという賢治の視点は、新鮮に感じられた。
宮沢賢治はたくさんの人の心を揺さぶる作家。
その人にとっての「宮沢賢治」が存在する。

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2019年6月14日 (金)

鎌田實の一日一冊(356)

「明日への銀河鉄道 わが心の宮沢賢治」(三上満著、新日本出版社)

岩手日報文学賞を受賞している。
著者は学校の校長先生をしていた人。
「銀河鉄道の夜」は3種類あるが、
特に初期のものと、晩年に賢治自身の手でまとめられた最終稿の分析がおもしろい。
ジョパンニが「ほんとう幸せ」を探求して銀河鉄道に乗り込む。
その「本当の幸せ」とは何か。
結局は、未完になっている。

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この時代では生活に恵まれていた賢治だが、苦悩することが賢治をつくっていく。
苦悩があればいいというわけではないが、この作品を読んでいると
苦悩があってもいいと思えてくる。
苦悩そのものは目的でも目標でもないが、苦悩していてもいいんだ思うことができる本である。

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2019年6月13日 (木)

「らくらく入店の会」発足

車いす利用者や障害をもつ人、高齢者らが積極的にまちに出かけていけるように、バリアフリーを進める「らくらく入店の会」が発足しました。
発起人は、画家の原田泰治さんをはじめとする4人。
ミクロ発條の小島会長。パーキンソン病で運動機能低下がありますが、「孫と一緒に食事に行きたい」といいます。
1600年代から酒蔵をしている本金酒造の宮坂専務は、39歳でALS。
子どもを連れて家族でご飯を食べていけるところが少ない、と不便を感じてきました。
そして、障害のある人とバリアフリー旅行などもしてきた鎌田。
その発起人4人が、諏訪市役所で発足の発表をしました。

Img_2851「らくらく入店の会」発足を報じる長野日報

原田泰治さんが「Free & Easy Access」のマークをデザイン。
出入口にスロープをつくるなど段差解消をしている店舗に配布し、張ってもらう予定です。
何歳になっても、まちの飲食店に食べたいものを食べに行くというのは生きる喜びです。
まずは、諏訪地方全体に広げたい と思っています。
そして、日本全国にも広がっていけば最高です。

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2019年6月12日 (水)

鎌田實の一日一冊(355)

「わたしの宮沢賢治 賢治との対話」(C・Wニコル著、ソレイユ出版)

長野県の黒姫山で森を守る運動をしているC・Wニコルが
かつて谷川雁と一緒に宮沢賢治の英語訳本をつくった。
この本は、そんなエピソードから始まる。

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賢治が生まれる少し前に、イギリスから蒸気機関車が輸入される。
はじめは新橋-横浜間からはじまるが、岩手県では鉱山専用鉄道の釜石鉱山鉄道が敷かれていく。
賢治はこれを見ていたかもしれない。
その後、東北本線が岩手を縦断。
賢治が生まれた花巻にも、花巻電気軌道が開業する。
おそらくこの蒸気機関車に乗った経験が、「銀河鉄道の夜」を生んだのではないかと著者は言っているが、きっとそうだと思う。

この本は一人一冊、宮沢賢治を論じるシリーズ本。
ぼくにも書かないかと言われたが、迷っている。

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2019年6月11日 (火)

鎌田實の一日一冊(354)

「死にがいを求めて生きているの」(朝井リョウ著、中央公論新社)

この小説は、ある雑誌で企画された「螺旋プロジェクト」の作品。
3つのルールに従って、古代から未来までの日本に起こる「海族」と「山族」の闘いを描いている。

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この作品は、2つの対立軸のもとに、生きがいや死にがいのために若者たちが必死に生きる姿が描かれている。
時代は平成。
植物状態の青年と彼の傍らを離れない男、二人の間にあるいびつな真実とは。
自分は価値ある人間なのか、ついついだれかと比べてしまう。
生きがいとか、死にがいなんてくだらないんだと、伝説のように語られていく。
平成を生きる若者たちが背負う自滅と祈りの物語。

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2019年6月10日 (月)

柳美里とあなたがつくるブックカフェ

芥川賞作家の柳美里さんは、福島原発から20キロ圏内である南相馬の小高駅の近くに本屋「フルハウス」を開いています。
そこに、地域の学生や市民が立ち寄れるカフェスペースを増築しようと、クラウドファンディングで支援を呼びかけています。
ぼくも、この本屋さんを訪ねたことがあり、講演もしています。
地域にとっては宝物のようなスペースです。

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残り期間19日、まだ目標額に達していません。
「芥川賞作家・柳美里とあなたがつくるブックカフェ」
ぜひ、ご協力をお願いします。

https://motion-https://motion-gallery.net/projects/fullhouse-bookcafegallery.net/projects/fullhouse-bookcafe

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2019年6月 9日 (日)

鎌田實の一日一冊(353)

「田村隆一エッセンス」(田村隆一著、青木健編、河出書房新社)

荒地派の中心的詩人。
ぼくの大好きな詩人のひとりだ。
「1999」という詩がある。
「アリの話をどこかで聞いた
アリは働き者の象徴だと思っていたのに、それがまたく違うのだ」
働かないアリや22時間眠りこけるアリのことを書いている。

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ぼくも、アリのことを働き者だと思っていた。
紙芝居「かまた先生のアリとキリギリス」でも、アリは働き者として登場する。
ぼくたちは思い込みのイキモノである。
ぼく自身は決して働きアリではないと思うが、一日の大半を眠りこけて過ごすのはできそうもない。
意識の上では眠っていられない。
いつも何かしなくちゃいけないと思っている、「気持ちだけの働きアリ」だ。

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2019年6月 8日 (土)

鎌田實の一日一冊(352)

「エコノミックス マンガで読む経済の歴史」(マイケル・グッドウィン著、みすず書房)

一気に読める。
なぜ、英仏戦争が起きたのか、アメリカ独立戦争が起きたのか、経済との密接な関係がわかりやすく紹介されている。
ギリシャやアイルランドは経済不況をどのように乗り越えて来たのか。
大筋の経済の流れを理解することは、これからの経済を予測することに役立つ。

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この本は経済の歴史を知り、頭を整理することにとてもいい。
ときどき、読み返すようにしている。

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2019年6月 7日 (金)

鎌田まつり開催

茅野市の玉川地区社協は茅野市のなかでも、市民をまきこんだおもしろい活動を活発に展開し、
新しい町づくりに取り組んでいます。
そんな地区社協が、「鎌田まつり」をすることになりました。

ほろ酔い座談会
Dr鎌田まつり
 大人も子供もワッショイ

2019年7月1日(月)19時~20時30分
会場 茅野市・菊澤公民館

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世代を超えて、大人も子どももどうぞという形での「鎌田まつり」。
鎌田の人生や子ども時代のことを語りながら、子どもや若者を大事にする地域づくりをするにはどうしたらいいか、
文化をどう継承するか、など話すつもりです。
もちろん、健康づくりの話も。
このところ茅野市はまた塩分の摂取量が増えてきたというので、もう一度減塩の重要性について確認したり、
スクワットとかかと落としについて語ろうと思います。

茅野市では、各地の公民館が自分たちで企画を考えて、諏訪中央病院の医師を招いたりするようになってきました。
40数年前、ぼくたちは年間80回、「脳卒中で死なないために」という講演をして歩きましたが、
そういう時代とは違って、市民自身がどんな話を聞きたいのか、聞きながら何を考えたらいいのか、
地域を変えるにはどうしたらいいのか、自主的に考えようとしています。
そんなことを考えるきっかけになるというのは、とても光栄でうれしいことです。

 

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2019年6月 6日 (木)

あなたらしい死のために

『「在宅ホスピス」という仕組み』(山崎章郎著、新潮選書)

もうすぐ死者年間100万人の多死時代を迎えます。
だれもが限りある命を生きている以上、どんな死を迎えたいのか考えておくことが大切です。
以前、このブログでも感想を書きましたが、鎌田が帯を頼まれました。

「現場に立つ看取りの第一人者だからこそ書ける具体論。
これで、あなたはあなたらしく死ねる。
実にいい本だ!」

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今も看取りの現場に立ち続ける山崎先生。
新潮選書ベストセレクションに選ばれました。
「死」を考えるきっかけの一冊として、ぜひ、お読みください。

鎌田實の一日一冊(334)はこちら↓

http://kamata-minoru.cocolog-nifty.com/blog/2018/05/334-59d5.html

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2019年6月 5日 (水)

牡蠣まつり

東日本大震災の際、諏訪中央病院の若手医師が一か月交代で一年近く、石巻を支援してきました。
ぼくが代表をしているJIM-NETやJCFは約1年2か月、石巻で二つの学校のグラウンドを借りて、 
仮設のお風呂を設営して、被災した人たちに入ってもらっていました。
そんな支援を続けるなかで、友人関係になった人たちもたくさんいます。
牡蠣まつりは、支援のお礼ということで、石巻から安くておいしい牡蠣を茅野に持ってきてくれたのです。

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牡蠣フライや蒸し牡蠣、牡蠣ごはん。
蒸し牡蠣は、2つの大きな蒸し器を交代にしながら、たくさんの市民が行列をつくって買っていました。
被災した3家族の姿も。
牡蠣の養殖場は、津波で完全に破壊されたものの再建。
現在は、震災前と同じくらいの水揚げ量にまで復興したといいます。
今年は味もよく、立派な牡蠣になりました。
この蒸し牡蠣を、信州のそばにいれていただきましたが、とてもおいしかったです。
これからもこうした交流が続くと思います。

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2019年6月 4日 (火)

鎌田劇場へようこそ!(420)

「スノー・ロワイヤル」

2014年ベルリン国際映画祭のワールドプレミア上映され、評価されたノルウェー映画「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車」を、
同じ監督が、アメリカでリメイクした。
雪の町で、模範市民賞を受賞したまじめな除雪作業員。
その息子が麻薬事件で殺害されてしまう。
その復讐に乗り出す除雪作業員だが、健康志向の麻薬王が出てきたり、とんでもないキャラクターのギャングやチンピラが出てきて、
数分ごとにハラハラさせる。

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「ジャンゴ」という傑作映画をプロデュースしたマイケル・シャンバーグがこの映画をプロデュースしているだけあって、
テイストが似ている。
なかなかのアクション映画。

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2019年6月 3日 (月)

鎌田塾

諏訪中央病院の地域医療の歴史を学んでもらおうという「鎌田塾」。
新任の医師や研修医たちの歓迎会を兼ねながら、毎年、行われています。

今回、研修医たちが高野豆腐を使った3つの料理を作ってくれました。
一つは、トンカツの豚肉の間に高野豆腐を入れたもの。
豚肉は薄くても、高野豆腐があるため厚いカツを食べているような充実感があります。
高野豆腐はアミノ酸スコア100という優れもので、体のなかで利用しやすい形といわれてます。
2つめは、高野豆腐のピザ。生地が高野豆腐で、意外においしかったです。
そして、もう一つは粉豆腐を使ったスイーツ。

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食改さんたちの料理もたくさんテーブルに載りました。
馬のモツや、コイ、高野豆腐の料理。
鎌田は、たんぱく質いっぱいの生活「たん活」と、野菜いっぱい生活を呼びかけていますが、
これは健康づくりの食の2本柱です。
もちろん、減塩も大事です。
茅野市では、塩分の摂取量が再び増加傾向があると聞きました。
かつて食改さんたちが減塩運動に取り組んだことを、もう一回見直そうと決意した鎌田塾でもありました。

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2019年6月 2日 (日)

鎌田實の一日一冊(351)

「僕ならこう考える-こころを癒す5つのヒント」(吉本隆明著、青春出版社)

吉本隆明は、ぼくの大好きな思想家。
吉本の著作は難解このうえないが、この本はわかりやすい言葉で書かれている。

私はだれか。私は何か。
恋愛の行方。感情と欲望の考え方。
社会の行方。自由を生きるには。

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この性格はどこで作られたか。
太宰治の育てられ方などを書きながら、自分の乳児期がルーツが荒れていることに気づいたとしても、乳児期は変えられない。
自分の無意識が荒れていることに気づいたら、もう治ったも同じ。
ぼくらのなかにある病的な思い込みの正体とは何か。
ここから、憎しみや嫉妬が発生するのだろう。
おもしろい本。

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2019年6月 1日 (土)

鎌田實の一日一冊(350)

「超越と実存 「無常」をめぐる仏教史」(南直哉著、新潮社)

著者は、恐山の禅僧である。
「私は無常」と説く仏教の歴史を読み解きながら、私とは何か、死とは何か、仏教とは何かを探求する。
「ある時点で、成仏した、悟ったとわかった瞬間、それが認識である以上は概念化するわけで、結局は超越理念として扱われる」
これは無常の立場からすると決して許容しない事態である。
仏教は、インドで生まれ、中国から日本へと伝わる過程で、超越的理念と結びつき、大きく変化していった。
著者は、「実存」という生きる意味にこだわりながら、絶対的な存在としての超越的理念に抗う。

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後半では、空海や最澄、道元の思想を分析しながら、無常や無我を考えていく。
小林秀雄賞受賞の良書。
自分にとっての「超越」と「実存」を考えさせてくれるのが、この本のおもしろいところだ。

 

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