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2019年6月15日 (土)

鎌田實の一日一冊(357)

「宮沢賢治 宇宙意志を見据えて」(長沼士朗著、コールサック社)

宮沢賢治は友人に宛てた手紙のなかで、「宇宙意志というものがある」という言葉を使っている。
相手は小学校の女性の教員。
天体や農業など科学的なことが好きな賢治、同時に信仰にものめり込む。
信仰か科学かというとき、自分はどうしても前者だと言っている。
宇宙意志とは、「超越」や「絶対」などと近い。
どうすることもできない「大いなるもの」という意味らしい。

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「デクノボー」とは何か、という視点が面白い。
宗教学者の山折哲雄さんは、食物連鎖のなかで生きている人間のあり方に強い不安を抱き、
そこから抜け出す人間を「デンノボー」と表現したのではないとしている。
「雨ニモ負ケズ」のなかに出てくるデクノボーは、病気の人や困っている人を助けているわけだから
役に立たない人間では決してない。
そんな「デクノボー」になりたいという賢治の視点は、新鮮に感じられた。
宮沢賢治はたくさんの人の心を揺さぶる作家。
その人にとっての「宮沢賢治」が存在する。

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