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2019年6月16日 (日)

鎌田實の一日一冊(358)

「宮沢賢治の謎をめぐって わがうち秘めし異事の数、異空間の断片」(栗谷川虹著、作品社)

宮沢賢治は、ぼくたちが見えないものが見えている。
幻視者に似た視点をもつ賢治は、「見たものを書いている」という。
賢治の心象とは、想像力の拡大でも、夢の世界に浸ることでも、無意識の世界を探求することでもない。
ぼくたちの理性的意識界がじゃまをして見えないものが、彼には見えていたのではないか。
著者は、そんな視点で、宮沢賢治の心象の謎を解明していく。

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この本を読んで気づいたのは、
賢治を読むときには、ありのまま、そのまま、理屈をこねないで賢治が見る異界を受け入ること。
そうすることで、賢治が言おうしていることが素直にわかってくる。
宮沢賢治は深い。

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