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2019年9月

2019年9月30日 (月)

ぼくは死んでいません

8月初め、「カマタミノルが死んだ」という情報が流れたといいます。
その情報を流したのは、宮城県石巻市のある女性。
ぼくは震災後、東北に支援に通っていましたが、女川の公民館で緊急の外来を開いていたとき、
「石巻が大変です、助けてあげてください」という女性がいました。
それがきっかけで、約1年間、石巻に被災者のためのお風呂を2つ、運営しました。

でも、鎌田實はいたって元気。
その女性はなぜ、そんなことを? どういうことなのだろう?
話を聞いているうちに、よくわかりました。

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鎌田実さんは、阪神タイガースの有名な二塁手。
当時だれもやらなかったバックトスやジャンピングスローをしたり、華麗な守備が売り物。
高めのボールがいくと大根斬り打法で大活躍した選手でした。
同姓同名、ちょっと字が違う鎌田実さんのことだったのです。

プロ野球選手の鎌田実さんのことは、阪神のレギュラー選手でいたころいつも意識していました。
お悔やみ申し上げます。

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2019年9月29日 (日)

手づくり展

「東日本震災復興支援 手づくり展」

2019年10月3~5日
会場 熱海市昭和町4-2 起雲閣 音楽サロン

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東日本大震災の復興支援のために、熱海で手づくり展が開かれます。
漆器や陶器、古布の小物、草絵、アクセサリー、絵画・・・などすてきな作品が出品されまます。
南三陸のわかめや、岩手県の早煮昆布などの販売もあります。

利益は、日本チェルノブイリ連帯基金(JCF)を通して、東日本震災復興のために使われます。
会場の起雲閣は、大正時代に築かれた文化財。
歴史的な雰囲気を感じることができます。

ぜひ、熱海の温泉に入りがてながら、手づくり展にも行って見てください。

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2019年9月28日 (土)

鎌田實の一日一冊(369)

「いまこそ読みたい哲学の名著 自分を変える思索のたのしみ」(長谷川宏著、光文社文庫)

哲学者、長谷川宏の本をウォッチしている。
アランから始まってマックスウェーバー、パスカル、デカルト、メルロポンティなどを分析し、
自分を変える思索の楽しみという戦略のもとにおもしろい展開をしていく。
プラトンの「饗宴」は、酒の席でエロスについて6人が勝手なことを語っていくのだが、男と男の恋や少年愛について語っている。
まるで、おっさんずラブ。
笑ってしまう。

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ボードレールの「悪の華」は何度もトライしたが、なかなか理解できなかった。
わからないながらも、読んできた。
ぼくが大好きな唐十郎の芝居と同じ。
わからなくていいと納得しながら、言葉の上で遊ぶのである。
それを長谷川宏は解き明かし、少しわからせてくれたように思う。
ボードレールは「悪の華」で美の王国を構築しようとしているという。
もう一度、「悪の華」にチャレンジしてみようと思う。

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2019年9月27日 (金)

エムナマエ追悼展

今年3月、イラストレーターのエムナマエさんが亡くなりました。
画家活動50年の記念も兼ね、追悼展が軽井沢で開かれています。

エムナマエさんとは、5年ほど前に、雑誌の対談でお会いしました。
売れっ子の絵本作家だった彼は34歳のとき、糖尿病のため失明。
人工透析を受けていたとき、看護師さんと出会います。
何度も、くどくエムナマエさん。
「とてもしつこかった。3回は断った」という看護師さんは、奥さんになりました。
彼は笑いながらこんなことを言いました。
「私は“ベッドで”ではなくて、“ベッドから”くどいたのです」
糖尿病による人工透析者の平均余命は5年といわれていた当時。
すでに4年経っていたので、あと一年の結婚生活かと覚悟していたといいます。
しかし、それから70歳まで生きました。

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エムナマエさんが全盲にもかかわらず、絵を描き始めたのは、パートナーの存在が大きかったように思います。
ニューヨークの個展で、ベビー用品のキャラクターとして使われるようになりました。
それ以前は、ジョン・レノンがキャラクター。
1999年からの3年間、ジョン・レノンの縫いぐるみとエムナマエの縫いぐるみが抱き合って売られたといいます。

エムナマエ追悼展
2019年9月20~10月6日(日)
会場 軽井沢タリアセン

詳しくはこちら↓

http://emunamae.main.jp/


ぜひ、すてきな絵を見に行ってください。

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2019年9月26日 (木)

鎌田實の一日一冊(368)

「プラータナー 憑依のポートレート」(ウティット・ヘーマムーン著、福冨渉訳、河出書房新社)

政治が混沌としているタイ。
人々が分断される暴力的な社会だからこそ、官能が芽生えていく。
ある芸術家の性愛遍歴を通して語られる人間と国家の「からだ」の欲望とは。

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「憑依のポートレート」という副題がついているが、小説のなかに時々、違う字体の文章が紛れ込んでいる。
ポエティックで辻つまが合わない。
しかし、大きな真実を述べようとしているようにも思える。
不思議な小説だ。

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2019年9月25日 (水)

鎌田實の一日一冊(367)

「リハビリ 生きる力を引き出す」(長谷川幹著、岩波新書)

著者は東京医科歯科大学の同級生。
彼の仕事をいつも尊敬している。

リハビリとは何か。
中国語では「康福」、韓国では「再活治療」というらしい。
日本のリハビリの専門医は「全人間的復権」とか、「破綻した生活の再構築」などと表現している。
長谷川先生が実際に在宅リハでかかわった人たちが出てくるので、一般の人にもわかりやすい。
在宅版クリニカルパスを世田谷一帯で行ったりしているが、これは長谷川先生の真骨頂。
いろんな職種の人たちを、縦のピラミッドではなく、横のつながりでネットワークをつくり、
お互いの専門性をうまくひき出しながら、患者さん中心の「生活の再構築」に取り組んでいる。
実際に行っていることなので、具体的で説得力がある。

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もう一つおもしろいと思ったのは、長谷川先生自身が一般社団法人 日本脳損傷者ケアリングコミュニティー学会をつくったこと。
脳に損傷のある人たちが学会に参加し、障害のある人とない人の壁を取っ払おうとしている。
そして、主体性とは何か。
学生時代、彼とよく、このテーマで議論したことを思い出した。
50年経っても、考え続けているところがすごい。
彼の兄である哲学者の長谷川宏氏に協力を得て、脳損傷者の心理や価値観などを学びながら、
主体性にこだわったリハビリテーションに取り組んでいる。

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2019年9月24日 (火)

蓼科で元気充電

陸前高田で在宅医療を支えている「チームけせんの和」の人たちが、片道9時間近くかけて、蓼科に遊びにやってきました。
看護師さん2人、保健師さん、社会福祉士の4人で、劇団ばばばなどでもがんばっている人たちです。

このチームけせんの和は、陸前高田にとって大きな存在。
ぼくが講演に行ったのも、発足のきっかけになりました。
それ以来、おつきあいが続いています。

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カナディアンファームでお昼を食べ、原田泰治美術館で「原田泰治 さだまさし 二人の友情展」を見て、
テラス蓼科で温泉に入ってフルコースディナー。
この人たちが元気でいることで、町にあたたかな血が通います。
とても、楽しいひと時でした。

 

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2019年9月23日 (月)

敬老の日のプレゼントに

『鎌田式「スクワット」と「かかと落とし」』(集英社)の広告が、毎日新聞に掲載され、
本の帯も新しくなりました。
鎌田の写真が載っています。

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今度は5万部増刷されましたので、書店やアマゾンなどでもお買い求めしやすくなりました。

気温もだいぶ涼しくなり、体を動かしやすい季節になりました。
この秋から、スクワットとかかと落とし、チャレンジしてください。

敬老の日のプレゼントにもおすすめです。

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2019年9月22日 (日)

鎌田劇場へようこそ!(437)

「トスカーナの幸せレシピ」

イタリアらしいイタリア映画。
一流シェフのアルトゥーロは、短気が怒りっぽい性格。
そのため傷害事件を起こし、人生を壊しかけていた。
更生のための社会奉仕として、アスペルガー症候群の自立支援施設で若者たちに料理を教えることになった。
そのなかに、「絶対味覚」をもつ青年がいた。

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シェフもアスペルガー症候群の青年も不器用だが、若手料理人コンテストに出場するため旅をする。
失敗の連続だが、だんだんに心が通っていく。
青年は「フルパワー」という言葉を教わる。
いろんな場面でこの「フルパワー」が出てくる。
何度も笑ってしまう。
みていて幸せになるイタリア映画だ。
10/11~ロードショー。

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2019年9月21日 (土)

鎌田劇場へようこそ!(436)

「ワンス アポン ア タイム イン ハリウッド」

レオナルド・ディカプリオが落ち目の俳優を演じている。
その俳優の親友でスタントマンに扮するのが、ブラッド・ピット。人気俳優の共演だ。
さらに、惨殺された女優シャロン・テートやロマン・ポランスキー監督夫妻、ブルース・リーといった時代を象徴するような人たちが登場する。
デカいキャデラックから流れるのは、「ミセス・ロビンソン」や「夢のカリフォルニア」。
1969年のアメリカを見事に表している。

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途中、わけのわからないところがいっぱいあるが、それは、タランティーノ監督の思い入れ。
有名監督になればこんなに自由に撮れるんだ、さすがタランティーノというところが随所にある。

カルト集団のチャールズ・マンソンの信奉者たちも出てて来て、シャロン・テートが惨殺されることを予感させ、ハラハラさせる。。
ディカプリオやブラピが活躍するのだが、実は画面には出てこないタランティーノがいちばん活躍する映画だった。

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2019年9月20日 (金)

病院サミット

マーカスエバンスの主催する「ホスピタル マネジメント ジャパン サミット2019」が椿山荘で開かれました。
大きな病院の理事長や院長、経営者が集まり、2日間にわたってディスカッション。
ランチミーティングや、夜は食事をしながらのディスカッションなど、これからの日本の医療について語り合いました。

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ぼくは、記念講演をしました。
テーマは「世界から見た日本のヘルスケアとこれから」。
人生100年時代に向け、フレイル予防が重要です。
加齢とともに低下しがちな筋力を維持・増強していくための健康づくりを、
日常生活が機能しなくなった被災地やイラク難民キャンプでも展開しています。
1978年、旧ソ連のアルマアタでされたプライマリ・ヘルス・ケア宣言が出されました。
健康を守るためには「参加、自助、自決」が大切という内容は、これからもますます大事になる。
そんな話をしました。

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2019年9月19日 (木)

鎌田劇場へようこそ!(435)

「お料理帖 息子に遺す記憶のレシピ」

女手ひとつで惣菜店を経営し、息子を育てた母が認知症になり、記憶を失っていく。
しかたなく施設に入ることを決意するのだが、家の片付けをしていると、母のお料理帖が見つかる。
それは、母が忘れないように書き記していたものだった。
この料理が、めちゃくちゃおいしそうなのだ。
息子がとび起きる粥、娘が笑う餅、孫が大好きなおにぎり、憎い夫のサバのキムチ煮、
二日酔いにきく冷たい麺・・・・ネーミングにも愛情がこもっている。

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息子は、施設を退所させ、母から料理を教わろうとする。
そして、大学教授になることを断念し、母のお料理帖を本にしていくのだ。
料理を通して、認知症の母もいきいきとよみがえり、息子自身も新しい生き方が見えてくる。

今、韓国と日本は厳しい関係にあるが、こんなときこそ韓国の映画をみたいと思う。

 

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2019年9月18日 (水)

似顔絵クッキー

三豊市財田町にケーキ工房「れいくんち」があります。
以前、本に書かせてもらった女性がパティシエをしています。
ケーキやクッキーには果物が使われていますが、これはパティシエのお父さんの果樹農園でとれたもの。
「ようこそ香川へ」ということで、鎌田の似顔絵のクッキーを焼いてくれました。

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息子のれい君は、小学校4年の男の子。
以前、会ったときには絵本を届けました。
今回は、「ざんねんないきもの」をプレゼント。

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2019年9月17日 (火)

うどん

香川県観音寺市で講演してきました。
お昼は、柳川という、小さな製麺所のうどん屋さん。
行列ができる有名なお店のようです。
卵とじうどんを食べました。
夜は、カレーうどんを食べて帰ってきました。

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炭水化物が続いていますが、鎌田の体重は72.8㌔。
痩せようとはしていないので、いい具合にキープされています。

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2019年9月16日 (月)

地域の拠点「えんてらす」

塩尻市に「えんてらす」という多世代が交流できる支援センターがオープンしました。
子育て支援センターや図書館、地区の公民館などが入っている地域の拠点です。
そのオープンを記念して講演をしに行きました。
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図書館には、鎌田の本のコーナーが設けられており、
20冊以上の本が並んでいました。
ありがたいことです。

図書館が出している読書手帳を見ると、さらに驚き!
「トットちゃんとカマタ先生のずっとやくそく」(ソフトバンククリエイティブ)の表紙に使われている、いわさきちひろさんの絵と同じものでした。

図書館の2階では中高校生が勉強の場所に使っていました。
若者たちが熱心に勉強したりする姿は、とてもいい光景です。

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2019年9月15日 (日)

蕎麦

茅野市にはたくさんのお蕎麦屋さんがありますが、いま気に入っているのは「そばきり道玄」というお蕎麦屋さんです。
「どうづき蕎麦」は、そばを銅鍋ですりつぶすようにしてひいたもの。
舌触りは、プチプチとあらびきの感じがあり、そばそのものを味わうことができます。

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蓼科に行く途中にある、六方庵 楓林や、登美というお蕎麦屋さんも特色があり、おいしいです。
そばには、ポリフェノールがたくさん含まれています。
雑穀の一種ですので糖質が含まれていますが、麺類が好きな人には軽い糖質制限ができる食べ物です。

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2019年9月14日 (土)

鎌田劇場へようこそ!(434)

「国家が破産する日」

1997年、韓国経済が崩壊。
国際通貨基金(IMF)に支援を要請する事態となった。
そんなアジア通貨危機に向かうなか、通貨対策チーム長の主人公の女性は、IMFの金融支援を受けることによる弊害を訴える。
IMFの支援を受けると、背後にあるアメリカの投資家たちの餌食になると予測。
彼女は、韓国経済が崩壊寸前にあることを公表して、より多くの不幸を食い止めるべきと主張する。
国家破産を宣言し、むしろモラトリアム(支払い猶予)をすることで企業の破産や自殺者を減らすことができる、と。

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金泳三大統領は、文民政治といわれ、長らく続いた軍事政権よりそれなりの人気があったが、金融政策には興味を示さなかった。
息子も、韓宝鉄鋼の収賄容疑で逮捕されてしまう。
そんななかで必死に国と国民を守ろうとする女性が大きな権力と闘っていく姿がなかなかおもろい。
映画は、20年後の現代の韓国は「それでもあまり変わっていない」という意味深な終わり方をしている。

韓国政府と日本政府はいまだかつてない厳しい関係が続いている。
しかし、政治は政治。
こんなときほど韓国の映画を見たり、韓国の音楽を聴いたりすることが大事だと思う。
国民は、あまりカッカせず、相手の文化を知り、親しむような余裕を持ちたい。

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2019年9月13日 (金)

もっとロコモ対策を

東日本整形災害外科学会で特別講演をしました。
整形外科医が知っておきたい辺縁領域ということで、骨腫瘍による緩和医療や大腿骨頸部骨折の治療について話しました。
諏訪中央病院では、内科医や総合医と連携して即日手術を行い、在宅復帰率80%という驚異的な復帰率を示しています。
ぼくは『鎌田式「スクワット」と「かかと落とし」』(集英社)を書きましたが、
日本では、整形外科領域における健康づくりが問われています。
高齢社会を元気に生きるには、ロコモ症候群についてももっと積極的に対応する必要があるように思います。

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座長の東京医科歯科大学の大川教授とも10分ほどディスカッション。
大川教授も、前脛骨筋が強化される鎌田式かかと落としは、非常に有効で、転倒予防につながると話してくれました。
2人のベテランの医師からも質問もあり、なかなか有意義な時間になりました。

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2019年9月12日 (木)

90代でも始められる 

今年3月に101歳で亡くなった生活評論家の吉沢久子さん。
「日曜はがんばらない」(文化放送)のゲストにも来てくれたり、雑誌の対談もしました。
94歳のころ、吉沢さんのBMIは32でした。
ぼくは、「太っていることを心配しなくていい、むしろしっかり食べたほうがいい」とすすめました。

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そして、日に当たりながら散歩をし、ところどころで1㎝くらいかかとを上げて、
足をドンを落とす運動をすれば、骨粗しょう症の予防になるとアドバイスしました。
さらに料理をしているとき、シンクにつかまりながら、ゆっくりとかがみこむ鎌田流がんばらないスクワットをすれば、
膝に負担をかけず、太ももの筋肉を鍛えられ、転びにくくなるとすすめています。
このことは、2013年に出した『がまんしなくていい』(集英社)に書いています。

この数年前には、黒柳徹子さんにも『トットちゃんとカマタ先生のずっとやくそく』(黒柳徹子、鎌田實著、ソフトバンククリエイティブ)のなかでスクワットをおすすめしています。

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鎌田は10年以上前から一貫して、スクワットとかかと落としをすすめてきました。
その方法を少しずつ進化させ、わかりやすくまとめたのが『鎌田式「スクワット」と「かかと落とし」』(集英社)です。

スクワットとかかと落としは、いつでも始められます。
90代でも、いくつになっても手遅れではありません。
でも、できれば早い時期から始めましょう。

毎日新聞の明日9/13の朝刊に、大きく広告が入ります。
14日は「大沢悠里のゆうゆうワイド土曜日版」(TBSラジオ、15時~)に出演します。
どうぞ、お聞きください。

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2019年9月11日 (水)

鎌田實の一日一冊(366)

「資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界」(佐々木実著、講談社)

日本人でノーベル経済学賞に最も近い男といわれた宇沢弘文の評伝。
著者は、宇沢の師匠やノーベル経済学賞を受賞した弟子らを訪ねてインタビュ―し、
宇沢という人間を浮かび上がらせていく。
30代でシカゴ大学の教授をし、2人の弟子を育てた。
その2人は後にノーベル経済学賞をとっている。
しかし、40歳でシカゴ大を辞めて、日本に戻ってくる。
このとき、日本に戻ってこなかったら、ノーベル経済学賞をとったのではないか。
これ以降、宇沢は新しい感覚の論文を出さなくなった。
沈黙に入るのである。
その間、何を考え、何をしていたのか。
後に彼は、人々の幸せに役立つ経済学を考え続けた。
それが、晩年の「社会的共通資本」という概念につながっていく。

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ぼくは、宇沢が主催するシンポジウムに呼ばれたことがある。
「社会的共通資本としての医療」という本に原稿も書いた。
情熱的なメンターの風貌をしていた。
体が大きいだけではなく、大きな気を発していた。

600ページを超えるこの本は厚いけれど、読み応えがある。
この50年間の経済の潮流がわかり、その潮流に抵抗し続けていた男、宇沢弘文。
経済学が専門ではない人にとっても、物語としておもしろい。

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2019年9月10日 (火)

森の夕食会

諏訪中央病院の整形外科の先生たちとときどき夕食会をしています。
できるだけ長野県を楽しんでもらおうと考えて、みんなが知らないところに連れいくようにしています。
原村のカナディアンファーム。
夜のお客さんはぼくたちだけでした。
ハセヤンが作った燻製を目の前で切ってもらいながら、手づかみで食べました。
丸太小屋のなかでチキンやサーモンなどのメインディッシュを3種類。
帰りは山盛りの野菜とパンがお土産です。

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脊椎外科で有名な九段坂病院のベテランドクターが来てくれたお陰で、頚椎や脊椎の手術がたいへん増えました。
さらに大腿骨頸部骨折などは、救急外来からすぐに手術室に運ばれその日のうちに手術することで回復が早く、在宅から来た人は8割が在宅に戻っています。
寝たきりになって施設に入るという例はとても少なくなっています。
心臓に問題があればすぐに循環器科が行って、安全に手術ができるようにしています。
近々、整形外科の学会でぼくが記念講演をすることになっており、
整形外科の境界領域、骨腫瘍の緩和医療や地域包括ケア、整形の健康づくりなどの話をしたいと考えています。

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2019年9月 9日 (月)

福島の果物、トマト

諏訪中央病院で指導医として活躍した山中先生が、福島医大の総合医を育てる教授になりました。
その山中先生から桃が送られてきました。
南相馬の絆診療所からは、梨が送られてきました。
どちらもおいしい果物です。

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南相馬で、障がい者の就労支援などを行っているNPO法人ほっと悠からは、ミニトマト。
イスラエルが被災地支援で新種のトマトの種を贈ってきて、それを障がい者が育てたもの。
「日曜はがんばらない」でも紹介したのですが、自分でも頼んで食べています。
果物のような不思議な食感のトマトです。

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福島支援にもなりますし、ほっと悠を通して注文すると、障がい者支援にもなります。
ご注文はこちらから↓

http://hotyou.life.coocan.jp/sp/shop.html

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2019年9月 8日 (日)

おいしい牛乳

「日曜はがんばらない」では8月に、佐藤慧さんとフォトジャーナリストの安田菜津紀さん夫妻を迎えて、中洞牧場の話をしました。
2人は「しあわせの牛乳」(ポプラ社)という本を出しています。
中洞牧場は、一般的な牧場とはまったく違います。
山で牛を放牧し、子牛を育てます。
牛乳は、その子牛のミルクをおすそわけてしてもらったものです。

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ぼくがこの牧場を知ったのは、被災地支援をしているなかで親戚のように仲良くなった人からヨーグルトを送ってもらったのがきっかけ。
だから、牧場のことはよく知っていたのですが、牛乳を飲んだのは初めてでした。
とてもおいしい牛乳でした。

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2019年9月 7日 (土)

はがき

ときどき手紙やはがきをいただきます。
なかには相談事を書いてくる方がおり、際限なく続くことがあるので、
そういうときには控えさせていただきますが、
基本的にはできるだけ返事をするようにしています。

神奈川県愛川町の高齢者の施設を見学させてもらっているとき、
ボランティアの歌の会が催されていました。
そのリーダーの方からお手紙をいただき、ぼくはフェルメールの絵葉書に「お手紙感謝 スバラシイ活動ですね」と、返事を書きました。

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この方は、このことを「大切にしたい一枚の絵はがきから」というエッセイにまとめました。
はがきが届いたときには、何度も手のひらに載せて眺め、写真にとって娘や知人に見せたそうです。
娘からは「家宝のすべし」
「長年のボランティア活動のご褒美よ」とねぎらってくれる知人も。

メールやラインのやりとりが主流になっていますが、
手書きの手紙やはがきというアナログなやりとりも、いいものだなあと実感しています。

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2019年9月 6日 (金)

筋活、骨活の秋

8/19の北海道新聞に、鎌田の「骨活」「筋活」「たん活」についての記事が載りました。
共同通信の記者が、角川出版が主催し朝日ホールで行った鎌田の健康づくりの会に取材に来てくれ、講演の内容と楽屋での取材をまとめてくれました。
この記事は、全国の30以上の新聞に配信されています。

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『鎌田式「スクワット」と「かかと落とし」』(集英社)が地方でよく売れているのは、この記事のお陰かもしれません。
「わかりやすい内容」「健康づくりだけでなく、生き方にもつながる」などのお声をいただいています。


季節も夏から秋へ。
ぜひ、ご一緒に筋活、骨活を始めましょう。

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2019年9月 5日 (木)

6刷決定

『鎌田式「スクワット」と「かかと落とし」』(集英社)

たくさんの人に買っていただいています。
増刷したばかりですが、6刷が決まりました。
今度は5万部。

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パルコの書店リプロで4位
岩手県の新聞では5位

9月14日(土)には、「大沢悠里のゆうゆうワイド土曜日版」(TBSラジオ、15時~)に久しぶりに出演します。
ぜひ、聞いてください。

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2019年9月 4日 (水)

JVCの活動にご協力を!

JIM-NETと一緒にイラク事業を行っている
JVCという日本では大きなNGOが、
イラク・キルクークでの子どもたちへの精神的ケアや平和教育を実
施するため、クラウドファンディングで資金を集めています。

ぜひ協力してあげてください!

https://readyfor.jp/projects/iraqchildcare

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2019年9月 3日 (火)

鎌田實の一日一冊(365)

「愛する意味」(上田紀行著、光文社新書)

上田紀行さんの本をずっとウォッチしてきた。
「生きる意味」(岩波新書)という本もあった。
今回は「愛する意味」。

「愛をケチくさくしている私の中の欠乏感」「愛と許しは表裏一体」
「恋愛もオリジナリティをどう磨くか」
いい言葉があふれている。
好きな言葉は「愛はアナーキーなものかもしれない」

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「人生の癖は私に何をもたらすか」
そうなのだ、生き方の癖と恋愛のパターンはけっこうつながっているような気がする。
「もっと愛に狂気があっていい」なんていうのもある。
ぼくの友人でもある非暴力トレーナーの阿木幸男さんも出てきて、なんだかうれしくなった。

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2019年9月 2日 (月)

鎌田劇場へようこそ!(433)

「ロケットマン」

エルトン・ジョンの光と影を描いた映画。
ミュージカル仕立てになっている。
アルコール依存にとどまらず、薬物依存になってしまうエルトン。
タロン・エガートンが好演している。
成功のために、失っていく何か。
むしろ失っていくもののほうが多いのではないか、と映画は語り、これでもか、これでもかと描いていく。

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やはり映画を支配しているのはエルトン・ジョンの音楽。
どんなに天才かということもよくわかった。

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2019年9月 1日 (日)

鎌田劇場へようこそ!(432)

「ゴッホとヘレーネの森 クレラー=ミュラー美術館の至宝」

ゴッホの絵が好き。
オランダに行ったときにも、アムステルダムの美術館に行って、ゴッホの絵を堪能した。
この映画は、ゴッホを世に広めた一人といわれる資産家ヘレーネ・クレラーのドキュメンタリー。

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彼女は、ゴッホが亡くなった後に絵の価値に気が付き、300点所蔵するようになった。
それが、クレラー=ミュラー美術館に結実していく。
ゴッホは、次々と新しい画法を開拓し、魅力的な絵をかいていくなかで、心が病んでいく。
そして、37歳で自殺。
愛も名声も人生もすべて投げ出してでも、絵に打ち込みたいという熱い思いが伝わってくる。
物語にしていないところがいい。
淡々と絵を紹介していることで、ゴッホがどんな思いでいたのか想像を掻き立てる。
しっとりとしたいい映画た。

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