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2019年9月25日 (水)

鎌田實の一日一冊(367)

「リハビリ 生きる力を引き出す」(長谷川幹著、岩波新書)

著者は東京医科歯科大学の同級生。
彼の仕事をいつも尊敬している。

リハビリとは何か。
中国語では「康福」、韓国では「再活治療」というらしい。
日本のリハビリの専門医は「全人間的復権」とか、「破綻した生活の再構築」などと表現している。
長谷川先生が実際に在宅リハでかかわった人たちが出てくるので、一般の人にもわかりやすい。
在宅版クリニカルパスを世田谷一帯で行ったりしているが、これは長谷川先生の真骨頂。
いろんな職種の人たちを、縦のピラミッドではなく、横のつながりでネットワークをつくり、
お互いの専門性をうまくひき出しながら、患者さん中心の「生活の再構築」に取り組んでいる。
実際に行っていることなので、具体的で説得力がある。

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もう一つおもしろいと思ったのは、長谷川先生自身が一般社団法人 日本脳損傷者ケアリングコミュニティー学会をつくったこと。
脳に損傷のある人たちが学会に参加し、障害のある人とない人の壁を取っ払おうとしている。
そして、主体性とは何か。
学生時代、彼とよく、このテーマで議論したことを思い出した。
50年経っても、考え続けているところがすごい。
彼の兄である哲学者の長谷川宏氏に協力を得て、脳損傷者の心理や価値観などを学びながら、
主体性にこだわったリハビリテーションに取り組んでいる。

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