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2019年10月 5日 (土)

鎌田實の一日一冊(370)

「82年生まれ、キム・ジヨン」(チョ・ナムジュ著、斎藤真理子訳、筑摩書房)

韓国で100万部を突破。
日本でもベストセラーになった。
韓国の女性の生きづらさが描かれている。
だが、この問題は韓国だけではなく、日本にも、ぼくが通っている中東にも歴然と続いている問題である。
33歳のキム・ジヨンは結婚し、娘が生まれる。
育児疲れか、うつ病のような症状が出始める。
主治医のカルテを読むように、生々しく、生い立ちやこれまでの出来事が分析されていく。

82

80年代、三番目以降の子どもの出生性比は、男児は女児の2倍以上となった。
女児は歓迎されていない。
キム・ジヨンにも弟が生まれると、家の中は弟が中心になった。
就職するときも男が優先されていく。
1997年のIMF危機のとき、姉が進学する。
経済が崩壊しかかっていくなかでの庶民の生活が見えてくる。
多くの女性たちが、「女だから」という理由で自分の言葉を飲み込んできたことがわかる。
中東でも女子は学校にいけない子が多かった。
日本でも男女の所得格差は歴然としている。
新内閣も女性大臣は2人。
日本も女性が生きやすいように変えていかなければいけないのだと思う。

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