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「読まれなかった小説」
なんと3時間9分の大作。「雪の轍」でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞したヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督。
大学を卒業した後、なかなか就職が決まらない小説家志望の若者。父親はうだつの上がらぬ教師。村の人は水が出ないというのに、井戸を掘り続ける。その祖父も、孤独のなかで生きている。3代の男たちが孤独と不条理のなかで生きていく。誰一人として人生の成功者は出てこない。
格調高い濃密な時間が美しい映像とともに流れる。不条理と困難、そんななかでも、必死に生きる姿が美しい。哲学、宗教、政治、人生という大きな問題を映像で見事に語りつくしている。
鎌田實 2019年11月20日 (水) 11時37分 | 固定リンク Tweet