笑顔を引き出す回診
新年早々、諏訪中央病院の緩和ケア病棟のラウンジで、なごやかな光景を見ました。
患者さんが、お見舞いの人を相手に“酒盛り”をしているのです。
彼は、60歳前後で、スノーボードが得意とか。
お見舞いの人がアイフォンで、スノーボードをしている動画を見せてくれました。
「とにかくおもしろく生きようと考えて来た」という患者さん。
入院中の今も、しょっちゅう外出許可をもらって、おいしいものを食べにいくといいます。
「やりたいことをやらなくちゃ」と、いい笑顔を浮かべていました。
緩和ケア病棟では、できるかぎり患者さんの自由を尊重しています。
ぼくは毎週、諏訪中央病院の緩和ケア病棟の回診をしています。
全国から医学生が来て、ぼくの回診についてきますが、今回は信州大学と日本大学医学部、そして、韓国からも延世大学の医学生がついてきました。
韓国の医学生は、ぼくの本を読んで、興味がわいたといいます。
将来、どんな医者になりたいのかを尋ねると、
アカデミックで科学的な医療ができる医師であながら、ヒューマニティのある医師になりたいという答えが返ってきました。
ぼくが回診で心がけているのは、患者さんに一度は笑ってもらうこと。
患者さんのベッドの上に並んで座っておしゃべりをしたり、患者さんとの位置取りも考えて、できるだけ患者さんの心のなかに入りたいと考えています。
韓国の医学生たちにそんなことを語りながら、実際の様子をみてもらいました。
いま日本と韓国は政治的に厳しい状況ですが、国民の一人一人は共感したり、学びあったりすることができます。
韓国の医学生はとても感動したと話してくれました。
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