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2020年3月

2020年3月31日 (火)

感染爆発を起こさないために⑦

すでに感染爆発が起こり始めている可能性があります。
実際のところはわかりません。
わからないから、経済的なダメージを大きくしないために、緊急事態宣言がなかなかできません。

感染がどれくらい広がっているかを推測するために提案したいのが、かぜ様症状の人にもPCR検査をすることです。
もう少し検査を多くするだけで、推測ができると思います。
PCR検査でなくていい。
新型コロナウイルスの迅速検査キットは、外国では市販され、日本でも実用間近です。
東京、大阪、兵庫など感染が広がっている地域で、それぞれ1000人程度、調査に参加してくれる人たちに検査を行うと、
感染の広がりが推測でき、「勘に頼った方針」からもう少し現実に対応した方針を出せるようになるのではないでしょうか。

中国の論文によると、都市封鎖を5日前に行っていれば、今回の感染者を3分の1に減らすことができた、といいます。
日本でもPCR検査をした人のなかに、無症状だが陽性と出た人が約180人いました。
中国の論文は、無症候性感染者でも感染力がかなり高いといっています。
この無症候性感染者の存在を見て見ぬふりをしていると、いつまでたっても収束宣言ができません。
ただし、PCR検査をどんどんやれ、ということではありません。
医師の裁量に任せて、検査できるようにすることが必要です。
スペインでは4000人の医療従事者が感染、イタリアでは50人の医師が死亡しています。

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東京都では、感染症指定病院のベッド数は140、重症者は65で、実際は満杯。
軽い症状の人が感染症の専門病院に入院しているからです。
PCR陽性でも軽いうちは様子をみるだけの隔離場所をつくる必要があります。
運行していないクルーズ船、オリンピック村、いま使われていない病院のベッド、協力してくれるホテル・・・などを活用し、
治療が終わって、検査の結果を待つような人にもここに移ってもらうといいと思います。
自主隔離をするのは、社会のためにするわけで、その人たちの生活や居心地のよさを守ってあげる必要もあります。
後ろ指をさすのではなく、感謝するようにしたいものです。

ぼくたちはこれまで結核やハンセン病、HIVなどの感染症を経験してきましたが、差別や排除といった方法ではなく、共存していく新しい隔離の哲学をつくっていく必要があります。

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志村さんの死が示した身近にある危機(日刊スポーツ)

日刊スポーツに大きく、鎌田の緊急提言が載りました

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「志村さんの死が示した身近にある危機」

・世代間の批判応酬 解決にはならない。

・安倍首相3度の会見は中途半端。

・大人がしっかりメッセージ。
 若者をどう納得させるか。若者をリスペクトすることが大切。

・陽性者の隔離先に、船、選手村、使っていない病院や病棟、できるだけ早く確保し、
 感染指定病院で経過だけをみて入院している人たちの移送を急げ

・金をバラまきよりも、医療福祉を守って

 

などと、訴えました。今日の日刊スポーツ、ぜひ手にとってお読みください。

 

オンライン記事はこちら:
首相会見は中途半端、志村さん示した危機/鎌田實氏 [2020年3月31日]

関連記事はこちら:
鎌田實氏がコロナ脱出へ緊急提言 予防策3つの鍵 [2020年3月16日]

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2020年3月30日 (月)

感染爆発を起こさないために⑥

毎日新聞に、イタリアの精神科医の「自宅待機は閉じこもりでなく、友愛の表明である」という言葉が紹介されていました。
まったく同感です。
ぼくも、信濃毎日新聞の取材で、休校中の子どもが公園で遊んでいることについて、
地域の人から「いかがなものか」という声が上がったことについて、どう考えるか質問されました。

それに対して、ぼくは「感染拡大を防いで社会活動を維持するため『大人が子どもに協力してもらっている』という視点を忘れてはいけない。
温かな目を持つ地域の寛容さが肝心だ」とコメントしました。

子どもたちが公園でおしくらまんじゅうをしていたら注意したほうがいいけれど、
友だちとの距離をきちんと保って遊んでいたら、大目に見てあげるほうがいいと思います。
鉄棒も、できたら事前に鉄棒をアルコール消毒して、帰宅したらきれいに手洗いをすることが大事なことだとも述べました。

若者たちも「不要不急」「自粛」というあいまいな言葉に、正直とまどっているのではないかと思います。
ぼく自身の若いころを思うと、大人たちに眉をしかめらるようなことをしてしまったかもしれません。
よく考えると、世代間の問題ではないように思えます。
換気が悪いところへ行かないようにとわかっていながら、勢いでバーに行くおじさんたちもいたり、パチンコに行く人もいます。

飯田市でつい最近、長野県6人目の陽性者が出ましたが、東京から帰省した若者でした。
八戸市でも同じような事例がありました。
大都会ではないので、地方の生活にひび割れを起こすのではないかと心配しています。
みんな同じ空気を吸っていることを忘れないようにしないといけません。

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陽性になったとしてもだれが悪いわけではありません。
でも、できるだけ注意して行動することが大事です。
この長期戦を乗り越えるには、がんじがらめにならないように、上手に発散しながら、相手に対して批判的にならないようにしたいと思います。

政治家は記者会見ではなく、直接、国民に向けてメッセージを出したほうが届くように思います。
若者には、愛情ある言葉で理解を求め、新しい感覚でこの窮地をどう乗り越えたらいいか一緒に考えてほしい、と言うことを伝えたほうがいい。
イギリスのジョンソン首相はあまり好きではありませんが、とにかく自分の部屋にいてほしいという訴えは、国民の感情に伝わったと思います。
日本のリーダーにも、国民に向けた熱いメッセージを発信してもらいたいと思っています。

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2020年3月29日 (日)

感染爆発を起こさないために⑤

アメリカの状況も厳しくなってきました。
23日の約4万人の感染者が、4日間で2倍以上に増加。
この増加スピードは世界でもっとも速いといいます。
イタリアでは一日の死亡者が969人、スペインでは769人を数えています。
アフリカでも、感染者が3826人になりました。
アフリカに感染が広がったときには、武漢やイタリア、アメリカどころではない騒ぎになると予想されます。

日本で感染爆発を起こさないために、昨日も書きましたが若者の理解が必要です。
感染爆発が起これは、経済も今以上の大打撃を受けます。
これは、若者にも大きな影響を与えます。
もともと日本では、昨年10月の消費税増税から、経済の衰退が始まっていました。
そこへ、新型コロナの問題が起こり、株価が急落しはじめました。
「株価の維持」は、安倍政権がたった一つ自慢できることだったのに。

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株価が7000円台に落ちてしまえば、中小企業も壊滅的な状況になり、大企業も土俵際に追い込まれます。
採用ゼロ、企業によっては人員整理が行われる可能性もああります。
かつてリーマンショック後、就職氷河期がおこりました。
若者にとっても大きな問題になることを理解して、行動してほしいと思います。
高田馬場の駅前で、若者たちが多人数で大縄跳びをしたりしてはいけないのです。

国民に厳しい自粛要請をしている安倍さんの奥さんが、有名人と多人数で食事をして、桜をバックに写真を撮影したり、
森友学園問題で自殺した近畿財局職員の奥さんが改ざん資料の公開を涙ながらに訴えているのに知らん顔したり。
こういう人が厳しい呼びかけをしても、国民はやる気になれないかもしれません。
けれど、この国を壊さないためには、すべての世代が一か月は自粛することが必要です。
若者らしい工夫で、ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)とフィジカル・コネクティングを守りながら、
長期戦に耐えていかなければなりません。

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2020年3月28日 (土)

感染爆発を起こさないために④

イベントや音楽フェスで活動している若い人たちから相談を受けています。
多くのアーティストやミュージシャンは、K1のような暴走はよくないと考えているようです。
では、どうしたら感染リスクを下げることができるのか。
何人かの医師たちと相談すると、こんな意見が出ました。

ステージオンリーの、完全オンライン開催
フィジカル・ディスタンスを十分にとるような会場づくり
あるいは、隔離型のコンサートをして、参加者は2週間、完全隔離生活をする、なんて過激な意見も出ました。

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感染爆発を起こさないためには、若者たちの意見をきくと同時に、理解と納得を得ることが大事です。
日本の若者たちに理解と納得が得られば、世界中の若者に呼びかけてもらうこともできます。
それは、世界の感染爆発を抑える役割にもなります。
クラウドファンディングなどでお金を応援してくれる人がいると、一気に広がるかもしれません。

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2020年3月27日 (金)

感染爆発を起こさないために③

新型コロナの感染爆発を防ぐには、若者たちの理解がどうしても必要です。
新型コロナで重症になるのは、高齢者や持病のある人だけではありません。
アメリカのあるデータでは、重症の40%は20~49歳の若年から壮年の人たちです。
イギリスでは3/26、持病を持たない21歳の女性が死亡。
37歳のイギリスの外務省高官も亡くなっています。

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高齢者だけでなく、若い人も怖いということを理解することが大事。
そのためにもっと若者たちに届く言葉を発信してほしい。
これは、専門家会議や政治家の役割のように思います。
若者たちにどれだけ新型コロナを理解してもらえるか。
日本が感染爆発を起こすかどうか、ここにかかっているように思います。

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2020年3月26日 (木)

感染爆発を起こさないために②

いよいよ厳しい状況になりました。
3/23の「ランセット」に発表されたシンガポール大学の研究によると、
基本再生産数(感染力)を2.0としたとき、無症候性の感染と推定される人が人口の7.5%いたとして、80日目には人口の19.3%に感染が広がると考えられています。
しかし、

① 感染者の隔離
② ウイルス感染検査
③ 学校の休校2週間
④ 在宅ワーク2週間

このの4つを組み合わせることで、93%減少させることができるとも発表しています。
日本では、もう少し、在宅ワークを進めるとともに、感染検査を十分に行う必要があります。
検査が不十分であるために、隔離も不十分になり、無症候性の感染者を野放しにしている可能性があるのです。

やはり、PCR検査を少しでも増やすことと、迅速検査キットなどを使うことが求められています。
シンガポールでは、5分で精度の高い検査キットを準備して、病院だけでなくすべてのクリニックに配布し、
少しでもかぜ様症状があった人には検査を実施するといいます。
日本でも、せめて医師が必要と判断したものに関しては、すぐに検査ができるような態勢に早く持ち込むべきでしょう。

指定感染症の問題に関しては、日本の厚生労働省が3/1の通達で、感染していても安定していれば自宅待機でいいということになっています。
ただ、自宅待機を呼び掛けるだけでなく、もう少し効率よく、しかも安心して待機生活ができる場所をつくることが重要です。
韓国ではすでにそういう施設がつくられました。
日本ではオリンピックの選手村などを、感染陽性者で元気な人たちが自主的に隔離する場所として開放するのも方法です。
また、民間のホテルなども厳しい状況に追い込まれているので、その民間のホテルをこうした施設に活用するのも、感染爆発を防ぐことにつながると思います。
ドラスティックな対応が求められています。

シンガポールでは、感染者558人 死亡者2人、致死率0.2%。
最も多くの死者が出ているイタリアでは、感染者74386人、死亡者7503人、致死率10%。
これまで医療崩壊が起きたのは武漢、イタリア、スペイン。
次に心配になるのがアメリカです。
日本では、感染者2025人、死亡者55人、致死率は2.7%。
さいわい医療崩壊は起きていませんが、これだけ急激に感染者が増えていることを考えれば、
日本でも無症候性の陽性者がかなりいると考えなければいけないと思います。
再度改めて、外出の自粛を徹底することが重要です。

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地域の新しい拠点

佐賀市にオープンした「まちなかライブラリー鎌田文庫」がいいスタートを切っています。
新聞で絵本について語り合いました。
鎌田文庫をつくってくれたミズ・溝上薬局が社会貢献ということで、こども園や児童発達支援施設などの「おへそグループ」を経営しています。
そのおへそグループの総括園長をしている吉村さんと対談しました。

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ミズでは、7人の医師による在宅専門クリニックや、高齢者マンション、看護や介護の学生らが好条件で入居できるシェアハウスなど、
おもしろい地域づくりをしています。
ぼくが佐賀県に年3回行く約束をしたのも、全体の総指揮をとっている溝上会長の人柄に魅了されたから。
図書館が新しい地域づくりの拠点になればいいなと思っています。

 

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2020年3月25日 (水)

感染爆発を起こさないために①

20日からの3連休、まるで空気が変わってしまったような気がする。とても不安だ。K1のイベント、大阪の小さな密閉空間でのライブコンサート。リスクがありすぎるような気がする。

空気を変えてしまったのは、安倍首相の320日の会見だ。正しいことを言ってはいたのだが、総花的で、国民の心に届くようなメッセージではなかったように思う。リスクコミュニケーションになっていなかったのだ。

リスクコミュニケーションの最大の目標は、合意形成だ。ドイツ首相の国民への呼びかけは、とても胸に落ちる、哲学的なメッセージだったと思う。

日本の首相のメッセージの最後が弱い。

「今後は、主催者がこれを踏まえた判断を行う場合には、感染対策のあり方の例も参考にしてください。引き続き、感染拡大の防止に十分留意してください。
 社会・経済への影響を最小限としつつも、国民の皆様の命と健康を守ることを第一に、 感染拡大の防止に向けた取組を更に徹底してまいりますので、御協力をよろしくお願いします。」

これだけで終わってしまった。主催者が対策を講じれば、大きなイベントもやっていいようにも聞こえてしまう。もう一回、国民に呼びかけてもいいのではないか。

日本のPCRの検査数がもう少しだけでも増えたり、疫学的な調査が行われていたら、もう少し科学的なことが言えたと思うが、今の状況下では、専門家も政治家も、誰も科学的なことが言えない。これは致し方ないことだと思う。だから誰が考えても難しいのだが、イタリアやスペイン、アメリカのような感染爆発を起こさないために、それぞれがどうしたらいいのかを考えてみた。

①リスクコミュニケーションのためには、首相の会見の最後にもう一回、
「感染経路が不明な患者が散見されていることも考えると、まだまだ安心できる状況ではない。中国の武漢や欧米のように、感染爆発を起こさないために、さらに2週間、できる限り自粛するよう協力してほしい」
という強いメッセージを発してほしかった。

②大変困難な状態が続いている。このようなときには、与党も野党もないはず。
喧々諤々、厳しい議論をしながら、〇か×かで戦いあうのではなく、日本にとって一番良い、〇に近い△を探すことを、ぜひ考えてほしい。

③感染症指定病院だけではなく、すでに多くの一般病院で、新型コロナウィルスを疑われる発熱患者を外来で診察したり、場合によっては入院させる準備が始まっている。

この78年、国の医療費の抑制が続いているので、医療の世界は大変厳しい状況に追い込まれている。医師や看護師の人材も十分ではない病院が多い。複雑な感染症を診るための十分な整備がされていない病院もある。その中で、医療スタッフは懸命に働いていることを忘れないでほしい。

政府は、巨大なお金を景気のためにばらまくことだけを考えず、厳しい状況の中で新型コロナウィルスと闘う、医療・介護の世界にリスペクトし、金銭的な支援や温かな目を向けてほしい。

④住民と専門家がうまく繋がるといい。
イベントをしたい、コンサートをしたいと考えている人達、あるいはそれを職業としている人達が、生活困難に陥っているとぼくのところにも相談が来ている。

医師と繋がれるようなネットワークがあるといい。安全な開催にむけて、アドバイスを出せる専門家との連携も大事だと思う。新型コロナウィルスと闘うためには、政治や医療が大事だが、音楽や芸術の力も、大切なはず。いかにリスクを減らしながら、国民の心を冷やさないで、温かく前へ向かわせることができるか、皆で考える必要があると思う。

⑤この国に住む一人ひとりが、1%でもいいから、この国のために行動してみるのはどうだろうか。

若者の理解が大事だ。若者が、専門家会議のメンバーに直接質問したり、議論をする場を設けてはどうだろう。それをSNSで流す。見えないウィルスとの闘いには、人間と人間の関係も良い方向へ変えていく必要がある。

感染爆発するかもしれない今、できるだけ一人ひとりが暴走せず、穏やかに、新型コロナウィルスに負けない、したたかさや、たくましさを持ち、子どもから若者そして高齢者、すべての世代が理解し合い、協力し合い、持久戦に持ち込み、すべての国民が喜べるような終息宣言を迎えるために、それぞれの立場でそれぞれの人が、新型コロナウィルスから逃げずにやれることを丁寧にやっていきたいと思う。

 ぼくら国民自身が、この2か月間のことを学びながら、少しずつでもリテラシーを高めていく必要がある。海外旅行からの帰国者の感染が続いているが、リスクは予想できたと思う。ただ断じて行っていけないのは、誰かを批判してはいけない。これからどうすべきかを考えるべきだ。

旅行代理店もつらい状況だろうが、その旅にどのようなリスクがあるか、客にきちんと伝え、それぞれが自己決定できるようにしたほうがいい。

1やコンサートについても、苦渋の決断だったと思うが、やっぱりまずかったと思う。このような判断をせまられたときに、これからは医師会や地域の病院や、感染症の専門家と繋がれることが必要だ。

それぞれが協働しながら、できる範囲で経済活動を続け、生き延びなくてはならない。国民の健康や命を守りつつ、心の元気を失わせず、働く人たちの生活が確保される、そんな日本にしていく必要があるように思う。

感染爆発をおこさないために、政治も、医療も、国民も、土俵際でねばり腰が必要だ。

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鎌田劇場へようこそ!(465)

「チア・アップ!」

ダイアン・キートン主演。
世界中が新型コロナウイルスで暗い状況になっている。
こんなときこそ、脳天気に笑ってしまう、この映画がおすすめ。

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手も足も上がらないおばあちゃんたちが、全米チアリーディング大会出場を目指す。
平均年齢72歳のチームに、奇跡は起こるのか。
コロナに負けず、思いっきり笑おう。

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2020年3月24日 (火)

鎌田劇場へようこそ!(464)

「ドヴラートフ レニングラードの作家たち」

1970年代初頭、ソ連の「停滞」の時代を息苦しく生きた詩人や文学者、アーティストたちの姿を描いている。
後に、ブロツキーはアメリカに亡命し、87年にノーベル文学賞を受賞した。
ドブラートフもアメリカに脱出し、ロシア語の小説を次々と発表、ロシアで最も愛される作家になっていく。

しかし、その青春時代は苦悩に満ちていた。
60年代、言論に自由の風が少しだけ吹き始めた「雪解け」を経て、再び、共産党のしめつけが厳しくなった「凍てつき」の時代。
作家協会に入れないドヴラートフやブロツキーらは、作品を発表する場を与えられなかった。
2人とも反権力を訴える作品を書いていたわけではないが、共産主義を賛美しない文学は冷遇された。
映画は、その時代の6日間を切り取った群像劇だ。
生き方や主張を曲げない若者たちの、激動のなかに希望を見出そうとする姿が描かれる。

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晩年、夏になると蓼科にこもっていた堀田善衛さんと少しだけ交流があったが、
彼の「若き日の詩人たちの肖像」を彷彿させる。

ドブラートフの有名な言葉がある。
「世界は狂気に覆われ、狂気が正常になりつつある」
70年代の言葉だが、50年近く経った今、この言葉がリアルに感じられる。

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2020年3月23日 (月)

鎌田劇場へようこそ!(463)

「ようこそ、革命シネマへ」

ドラマ風ドキュメンタリーというおもしろい手法。
独立以来、何度となく紛争を抱えてきたスーダン。
1989年に軍事政権となり、表現の自由は奪われ、「映画は死んだ」。
映画が作れなくなり、上映もできなくなったのだ。
この状況を憂い、独立直後、海外で映画を学んだ映画人4人が、使われなくなった映画館で、市民に映画を見せたいと立ち上がる。
この4人の友情がいい。
肩の力が抜けていて、とにかく映画が大好きという気持ちが伝わってくる。

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20年ほど前に撮られた音楽ドキュメンター「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」はキューバの老ミュージシャンたちの姿を描き、
抜群の音楽と遊び心に魅了された。

この「ようこそ、革命シネマへ」もオッサンたちがチャーミング。
弱そうで強く、抜けているようでしたたか。
こんなに映画を愛している人たちがいるというだけで、うれしくなった。

4月4日劇場公開。

 

 

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2020年3月22日 (日)

筋膜リリース

スキーで転倒したのが原因か、右足の全部が激烈な痛みで、足が上がらなくなりました。
久しぶりに整形外科にお願いし、MRI検査をしました。
軽い椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄がありますが、どちらも5年前と変わっていないということです。
痛みが、根症状らしくないので、硬膜外ブロックや手術は考えられません。

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諏訪中央病院では、リハビリ科のドクターが中心になり、整形外科と東洋医学センターが連携して治療にあたることがあります。
整形外科では年間100例ほどの脊椎の手術をしており、とてもよい治療成績を出していますが、
手術が必要ない場合の痛みに関しては、筋膜リリースが劇的な効果を示したり、東洋医学センターの鍼が痛みをとるのに効果的です。

ぼくも、生理食塩水で筋膜リリースをするという治療をはじめました。
超音波の検査を受けながら、生理食塩水とキシロカインを注射。
10あった痛みが、8くらいに改善しました。

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スキーシーズンはあとわずか。
痛みが少し改善したので、また明日、スキーに行こうと思っています。

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2020年3月21日 (土)

鎌田實の一日一冊(376)

「震災と行方不明 曖昧な喪失と受容の物語」(金菱清ゼミナール東北学院大学震災の記録プロジェクト、新曜社)

金菱さんとは2度ほど対談したことがある。
震災後、亡くなった人の幽霊を見た、などの話を拾い上げてきた。
そうした霊性の研究の本は、10冊ほどになった。

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以前「ニュースエブリィ」(日本テレビ)で、昨年秋、ようやく遺体が見つかった大久保真希さんのことを紹介した。
歯と一部の骨が見つかり、DNA鑑定で特定された。
ご両親は、娘の死を覚悟しながら、遺体が見つからないことで精神的に落ち着くことができなかったが、
ようやく娘が戻って来て、ご両親はとても喜んだ。
9年前の震災直後、被災地の遺体安置所になった体育館をおまいりしたことがあるが、親しい人の遺体と対面した人たちも同じような気持ちだったと思う。
亡くなったことは悲しいが、せめて遺体が見つかったことに感謝していた。
ぼくは、テレビで、ご両親に「よかったですね」と声をかけた。
そして、亡くなった真希さんに「いい親孝行しました」と呼びかけた。
東日本大震災では、約2500人の人がいまだ行方不明。
一人でも多く見つけてあげることが大事だと思う。

 

 

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2020年3月20日 (金)

院内助産所

諏訪中央病院では年間250件のお産をしていましたが、産科医が減ったため、分娩制限を余儀なくされました。
そこで、院内助産所を開き、今年から助産師によるお産ができるようになりました。

院内助産所は、自然な形でのお産をサポートします。
妊娠中は、産婦人科医による経過観察が行われます。
助産師をはじめ、管理栄養士や鍼灸スタッフ、理学療法士など多職種による、総合病院ならではの幅広いサポートがあります。

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お産後のサポートも親身になり、お母さんの睡眠不足や育児への不安、生活リズムの変化による心身のストレスなどに対応していきます。
里帰り出産も、家族の立ち合い出産もできます。
病院での助産師によるお産を希望する方は、ぜひ、諏訪中央病院へご相談ください。

 

https://www.suwachuo.com/midwifery/

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2020年3月19日 (木)

メディカルビレッジ構想

地域包括ケア研究所の理事やメンバーが集まって、会議をしました。
議題は、メディカルビレッジ構想について。
まちだ丘の上病院のすぐ近く、鎌倉街道沿いに700坪の土地を買い、そこにある蔵や古民家を利用して、
メディカルビレッジをつくろうというものです。

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その前には、カラオケの第一興商と、全国展開をしているツクモと話し、何か新しい実験をしようという話も出ています。
たとえば、ボイストレーニング。
声を出すことは、口腔フレイルの予防になります。
そのボイストレーニングとともに、筋トレの道具をいれてスクワットなどができるようにすれば、男性も来やすいデイサービスになります。
また、認知症予備軍のMCIの人たちを健常化させるデイサービスなども、とても魅力的です。
このメディカルビレッジ構想はネーミングも含めて、計画を進めていく予定です。

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2020年3月18日 (水)

感染拡大をどう防ぐか⑰

3/16の日刊スポーツに、新型コロナウイルス対策の「今後へ提言」が掲載されました。
その内容とも共通しますが、医療崩壊や生活崩壊を防ぐために3つのポイントを挙げておきたいと思います。

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①学校の一律の休校は止めるべき
小中高校の一律休校は意味がありません。
それぞれの自治体に判断を任せたほうがよいと思います。

②医師の裁量で検査を
関西のある診療所では、陽性者を診察したことを受け、自主的に投薬のみするようにしました。
すると、まるでその診療所で院内感染が起きたかのようにウワサが広がりました。
医師は、医療者のPCR検査を要請しましたが、診療時にマスクをしていて濃厚接触ではないと判断され、保健所から検査を断られたとか。
もう少し検査を受けやすくしないと、地域医療が崩壊してしまいます。
PCR検査が無理でも、今週輸入された新型コロナウイルスの迅速検査キットなどを、厚生労働省が使いやすいように指導したほうがいいです。
医師たちはむやみに迅速検査をしようとは考えてはいません。

③感染対策と経済対策のバランスをどうとるか
イベントやコンサートの自粛で、音楽家やイベントにかかわる人たちが苦境に追い込まれています。
厚生労働省で働いている若手医師と専門家会議のメンバーの一人にこの現状について聞くと、感染拡大を防ぐことと、日本経済をつぶさないようにするため、「厳重自粛」からどうシフトしていくか迷っているようでした。
飲食店では、経営者もアルバイトもかなり困っています。
ぼくは、お店をのぞいてガラガラだったら、むしろ入ってあげようと思っています。
感染から身を守ることと、生活を守ることのバランスをどのようにとっていくか、冷静に考えていく必要があると思います。
 
最新のデータの自殺者は2万169人。10年連続で減少しています。
しかし、この新型コロナウイルス感染でそれぞれの生活が崩壊していくと、自殺者が急増していく可能性があります。
早く手をうち、生活困窮に陥らないようにすることが大事です。

現在、イタリア、スペイン、フランス、ドイツで猛威をふるっていますが、特に心配なのはアメリカ。
アメリカでは2700万人の医療保険無加入者がいます。
また、路上生活者が多く、貧困にあえいでいる若者も多数おり、感染が広がりやすい環境になっています。
世界全体の流れを見ながら、日本の感染対策と経済対策の両方を考えることが大事です。

 

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鎌田劇場へようこそ!(462)

「ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方」

世界中の映画祭が大絶賛。
理想の農場をつくった夫婦のドキュメンタリー。

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250種類もの野菜と果物、1200以上の動物たちと、大自然が紡ぐ壮大な感動ドラマ。

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2020年3月17日 (火)

鎌田文庫オープン

佐賀市の「みずがいえ」の2階に、まちなか図書室鎌田文庫ができました。
「みすがいえ」は、学生のシェアハウスや高齢者の賃貸マンション、食堂、美容サロン、銭湯、薬局などを備えた複合施設。

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鎌田文庫には、ぼくの人生を変えた本やおすすめの本などが並べてあります。
特に、大人におすすめする絵本、子どもに読んでもらいたい絵本など、絵本のコーナーは充実しています。
すてきな空間です。

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お近くにお寄りの際は、ぜひお立ち寄りください。

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2020年3月16日 (月)

鎌田劇場へようこそ!(461)

「インディペンデントリビング」

とんでもなくおもしろいドキュメンタリー。
閉じこもっていた障害者たちが自立生活センターに集まってきて、町へ出て行く。
とんでもないエネルギーを発散しながら、自由で、あたたかくて、楽しそう。

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監督の田中悠輝のテイストが抜群。
障害者たちのとんがっていて、濃いキャラクターは、見ている側にもっと自由になったらどうだ、と呼び掛けているようだ。
人生ってなんでもありなんだと思わせてくれる。
新型コロナウイルスなんかに負けない、迫力のある映画だ。

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感染拡大をどう防ぐか⑯

信濃毎日新聞の取材に答えて、鎌田のコメントが紹介されました。

以下、信濃毎日新聞の記事より抜粋

 ↓  ↓  ↓

「外遊び 休校趣旨に反する」 地域住民意見に保護者ら困惑(3/6)

新型コロナウイルスの感染防止を目的とした臨時休校を巡り、休んでいる児童や生徒が公園で遊ぶのは趣旨に反する―との住民の声が寄せられたとして、千曲市屋代中学校が保護者に注意を促すメールを送っていたことが5日、分かった。
同様の話は他の学校でもあるといい、保護者らは「息が詰まる」と困惑。
(中略)
感染拡大防止の点で、子どもたちの外出はどう考えればいいのだろう。
長野赤十字病院(長野市)の増渕雄(たけし)・感染症内科部長は、カラオケボックスなど密閉した空間は避けた方がいいとしつつ、「公園は許容範囲」と指摘。「科学的な見地から見守ることが大人の責任だ」と話す。
諏訪中央病院(茅野市)の鎌田実名誉院長も、密集を避けて手洗いを欠かさなければ遊具で遊ぶのも大丈夫だとした上で、今回の臨時休校が学校や家庭の準備が十分でないまま始まった点を重視。
「感染拡大を防いで社会活動を維持するため『大人が子どもに協力してもらっている』という視点を忘れてはいけない。
温かな目を持つ地域の寛容さが肝心だ」と強調している。

信濃毎日新聞

https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20200306/KT200305FTI090039000.php

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2020年3月15日 (日)

ひまわり号の船長

日刊スポーツに、ひまわり号の元船長、菅原進さんが大きく取り上げられました。
9年前の津波で、気仙沼と大島の間を結ぶフェリーが全滅。
菅原さんのひまわり号は、島民の唯一の命綱として活躍しました。

そのひまわり号を震災遺構として残そうと、菅原さんの私有地に記念館を建設する予定。
さだまさしさんと一緒に、応援してきました。

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菅原さんは聖火ランナーにも選ばれ、「被災地の今を見てほしい」と張り切っています。
記念館ができたらぜひ、気仙沼大島を訪ねてほしいと思います。

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2020年3月14日 (土)

ホワイトデー

バレンタインのチョコレートのお返しに、信州のアルストロメリアの花を贈りました。
新型コロナウイルスの感染の不安と自粛ムードに負けないことが大事だと思い、こんなメッセージを添えました。

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少しでも世の中の空気を変えたいと思っています。

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2020年3月13日 (金)

明日、常磐線全線開通

JR常磐線の小高駅には10回ほど足を運びました。
いちばん最初に行ったときには、自転車置き場に高校生たちの自転車が放置されていました。
原発20㌔ゾーンにある小高は、避難指示解除が比較的早く出ましたが、この写真を撮った時には許可を得て入りました。
駅前は人っ子一人いませんでした。

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住ことは許されないが、町に入ってもいい状態になったとき、いち早く店を再開したのは駅前近くの床屋さんでした。
一日1人か2人のお客さんと聞き、応援したい気持ちから、ぼくも髪を切ってもらったことがあります。

竜田駅まで常磐線が通った時、日本テレビのニュースエブリで放送しました。
夕方、薄暗闇のなか、煌々とライトをつけてホームに入って来る列車を見たときには、とても頼もしい思いがしました。
当時、帰還が許されてはいたものの、帰って来る人はほとんどいませんでした。
駅前の通りには数軒、灯がともっているだけでした。

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明日3月14日、常磐線が全線開通します。
その訓練運転に乗せてもらいましたが、竜田駅は、以前に比べてずいぶんと人の気配を感じました。

鉄道は、町と町をつなぐ血管の役割を果たします。
福島の人にとってとても大きな一歩だと思います。

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西会津町で生放送

明日14日は、西会津町の有線放送で、生放送で町の各家庭にお話をすることになりました。
本当は講演に行く予定でしたが、イベント自粛要請が出たため、講演は中止になりました。
こんなとき、なにもかも止めてしまうと気力も落ちてくるので、有線放送という方法をとることにしました。

昨年の春まで諏訪中央病院に勤めていた山中先生や奥先生も出演し、健康の話、新型コロナウイルスの話をします。
住民の人たちと町づくりの話もする予定です。

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新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐことは大事ですが、自粛が続くと気分が停滞していきます。
このままいくと、日本は経済も、雰囲気も最悪になっていく。
小さな商店や食堂などはすでに厳しい状態に追い詰められています。
なんらかの方法で、もっと元気を出していけるように、盛り上げていく必要があると思っています。

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2020年3月12日 (木)

お知らせ

明日13日の「大竹まこと ゴールデンラジオ」(文化放送、13時~)に鎌田實が緊急生出演します。
新型コロナウイルスについて、大竹まことさんと語り合います。
ぜひ、聞いてください。

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感染拡大をどう防ぐか⑮

週刊ポストの連載「ジタバタしない」で、エドワード・ゴーリーの絵本のことを書きました。
ぼくはこの作家が屈折していて大好き。
NEWSポストセブンでも、この連載の原稿が「鎌田實医師、不条理絵本から考える日本の凋落や不倫叩き」という見出しで配信されました。

https://www.news-postseven.com/archives/20200304_1545267.html

その中でぼくは、「かつて2位だった一人当たりGDPも2018年に26位に転落。28位の韓国に追い抜かれる日も近い」と書きましたが、すでに韓国には追い抜かれているというデータもあります。
そして「(日本は)世界幸福度ランキングも毎年下がり続けており、58位にまで凋落している。
なのに、日本のトップは世界の勢いに追いつこうとするよりも、憲法を改正して“普通の国”になることにしか関心がないように思う」と書きました。
そう、こんなことをやっている間に、政府は新型コロナウイルスから国民を守れませんでした。
2月初めの段階で、日本が中国に対して厳しい水際作戦をしていれば、ここまで大きな感染爆発にはならないかったでしょう。
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中国のデータを俯瞰的にみると、2月15日ごろを境にして感染者数と回復者数がクロスしており、中国はピークアウトしたと考えていいでしょう。

沖縄では、2月5、6日と合計3人の感染者を出しましたが、濃厚接触者の経過観察をし、ついに3月5日、経過観察終わりという宣言をしました。
その後、沖縄では感染者が出ていないということは、きちんとした対策をとれば防げるということを示しています。

今後注意しなければならないことがあります。
新型コロナウイルスにはS亜型とL亜型の2つのタイプがあり、L亜型のほうが感染力が強いと考えられています。
中国ではS亜型とL亜型の両方が流行っていました。
日本では流行っているのはS亜型。
今後は、L亜型を日本に入れないように防疫を徹底する必要があります。

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2020年3月11日 (水)

感染拡大をどう防ぐか⑭

聞く耳を持たないナンバーワンと、それに忖度しすぎる官邸官僚。
新型コロナウイルス対策が後手に回ったのは、この構図に原因があったように思えてなりません。
新型コロナウイルスの専門家会議のメンバー、さらに経済や教育、医療、介護に詳しい政務官らを官邸に常駐させ、国民が振り回されないようにするためにどうしたらいいのか知恵を絞ってもらいたいと思います。

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特に、新型コロナウイルス感染の状況は時々刻々と変わるので、柔軟に、迅速に、専門家の意見に耳を傾ける姿勢が重要です。
今のような緊急事態に対応するには、リーダーシップが大事ですが、ドン・キホーテにしてはいけません。
与党の総力戦を期待します。

 

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希望

2011年の今日、東日本大震災が起こりました。
津波で流され、廃墟のようになった町の姿を見てきました。
いくつかの学校の中にも入りました。
ある学校では、その壁に「希望」と書かれた習字が張られていました。
ほかは流されていたのに、この元気のよい文字だけが津波を免れたのです。

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大震災から丸9年が経ちました。
「希望」が東北全体に広がっていくといいなと祈りながら、東北に通い続けています。

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2020年3月10日 (火)

感染拡大をどう防ぐか⑬

WHOが発表した新型コロナウイルスの致死率は3.8%。
日本は3/9現在、クルーズ船の乗船者も含めて感染者1216人、死亡者16人で、致死率は1.3%。
WHOの数字よりかなり低いことがわかります。

しかし、世界の状況は非常に厳しいといえます。
イタリアは感染者7375人 死亡者366人、致死率4.9%
韓国は感染者7313人、死亡者50人、致死率0.6%
イランはデータの信ぴょう性がやや低いが、感染者6566人、死亡者194人、致死率2.9%
フランスは感染者1126人、致死率1.6%
アメリカは感染者425人、致死率4.4%
ただし、アメリカは10日現在、日本のクルーズ船をのぞいた感染者数を超えました。

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イタリア、韓国の次に心配になるのがフランス、ドイツ、アメリカです。
ドイツももうすぐ感染者が1000人になろうとしています。
日本では医療従事者ががんばって致死率の低さをキープしていると思いますますが、
PCR検査を拡大しきれていないという決定的な弱点があります。
もっと医師の判断に任せて検査できるようにすべき。

日本のPCR検査の少なさは世界中から指摘されており、おそらく感染者の実態は3~4倍いると思われています。
これではいつになってもクラスターの勢いを止めることができません。
政府はこの問題を優先して解決しなければいけないと思います。

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千人風呂

震災後、お風呂に入れない人がいると聞き、宮城県石巻市で千人風呂を開設しました。
学校のグラウンドを借り、体育館に避難している人にボイラーマンになってもらいました。
わずかですが給料を出すことによって、この人はいちはやく家族を連れて、再開したばかりのラーメン屋に食べに行きました。
約1年、このお風呂を続けました。

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もう一か所、石巻市の商店街のお寺の境内でもお風呂を設営。
両方合わせて延べ5万4000人が利用してくれました。

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このお風呂では、今ぼくがMCを務める「日曜はがんばらない」(文化放送)のスポンサーになってくれているアルソア化粧品が、
被災者にたくさんの化粧品のセットを寄付してくれました。
お風呂に入った後、女の人はこの化粧セットをもらい、ずいぶん体育館のムードが変わっていきました。

 

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2020年3月 9日 (月)

お知らせ

11日3時50分からの「ニュースエブリィ」(日本テレビ)、福島県双葉町からの生中継に、鎌田實が出演します。
ぼくが常磐線全線開通を控えた訓練運転に乗ったり、夜ノ森公園の近くに戻ってきた人たちを訪ね歩きました。
また、震災の日のままの姿をとどめる双葉南小学校も訪ねています。
ぜひ、ご覧ください。

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もうすぐ311

あの東日本大震災からもうすぐ丸9年です。

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2011年、宮城県女川に入ったときの写真です。
公民館で診療をしました。
女川は現在、見事な復興を遂げています。

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この仮設診療所で出会った、子どもを亡くした母親とは今も連絡を取り合っています。
このとき小学校に通っていた女の子に、スカートやセーターを送りました。
その女の子も、昨年高校を卒業して就職しました。
「今度は私がごちそうするからね」
頼もしく成長しています。

東北は何から何まで復興しているわけではありません。
失ったものの大きさはなかなか埋めることができません。
でも、女の子の言葉は頼もしく響きました。

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2020年3月 8日 (日)

スキーで大転倒

先月下旬、スキーに行きました。
天気が悪く、あたたかくなりだしているのでガスが濃く、視界が悪くなっていました。
急斜面を滑り降りて、比較的平なところにアイスバーンがあるのに気づきませんでした。
少し出っ張ったアイスバーンに板をとられて大転倒。
安全装置が働いて板がリリースするはずが、このときは抜けませんでした。
また骨折か、と一瞬ヒヤリ。

でも、スクワットとかかと落としで骨と筋肉を鍛えてきた甲斐があり、骨折は免れました。

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これまでぼくが骨折した場所を考えてみると、決して急斜面ではありません。
平らで、一見安全そうなところにこそ要注意。
人生と同じですね。

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2020年3月 7日 (土)

感染拡大をどう防ぐか⑫

アメリカで新型コロナウイルスの感染者が100人近くとなり、6人の死亡者が出ました。
そのえちの4人が介護施設に関係している人でした。

新型コロナウイルスは、介護施設や福祉施設などに広がるのが最も怖い。
日本でも相模原市で2/21、男性職員が感染。その後、3/1、職員2人と利用者が3人の陽性者が発見されました。
この福祉事業所は休止措置をとっていますが、これ以上、施設に広がらないといいと思います。

感染者は、多くの場合、軽症で、2週間ほどでよくなっています。
この2週間ほどがふんばり時。
感染者はかなりの数が出ると思いますが、次の人への感染を防ぐことができれば、感染は下火となってくはずです。

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2020年3月 6日 (金)

感染拡大をどう防ぐか⑪

イランもイタリアも感染者が3000人を超えました。
あまり注目されていませんがドイツでも262人、フランスでも285人の感染者が出ています。
これは、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」での感染者数約700人を引いた、日本の感染者数とあまり変わりません。

政府が、日本を守るための入国制限に及び腰になっている間に、世界は日本を入国制限の対象国にするようになりました。
ぼくは以前から日本ももっと早くに入国制限をすべきと思っていましたが、
先日の5日、政府が中国、韓国からの入国制限をすると発表。
実施する時期は遅かったものの、国民を感染から守るためにこの措置は評価したいと思います。

 

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感染拡大をどう防ぐか⑩

熊本で6人目の感染者が出ました。
16日に大阪のライブハウスに行って感染、その後、11日間、高齢者の介護施設で働いています。
熊本県は、この人と接触したと思われる同僚や入所者のPCR検査を実施。
施設ではデイサービスの受け入れを中止するなどの対応をしています。

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施設入所者やその家族、施設職員などに広がらなければいいなと思います。
政府の対応が初期遅れたために、国民がツケを払わされている感じがしてなりません。

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2020年3月 5日 (木)

感染拡大をどう防ぐか⑨

長い間内科医をしてきた感覚でいうと、同じような生活をしていても感染する人としない人がいます。
感染力が強いウイルスの場合は、一人が感染すると家族全員が感染してしまうことが多くあります。
しかし、ときどき、濃厚接触したのに感染しない人もいるのも事実です。
免疫力に関係しているのではないかと思います。

新型コロナウイルスに対して「これをやれば大丈夫」というものはありませんが、
この時期は免疫力を高めるような生活を心がけることが大切です。
たとえば、あたたかいものを食べ、栄養をしっかりとる。
睡眠も大事です。
ダイエットをしている人も、この時期は少し手綱を緩めて栄養をとり、夜はしっかり寝るようにしましょう。
運動も大事です。
外出を控え運動不足にならないように、自宅でできるスクワットとかかと落としはおすすめです。

予防として、もちろん、手洗いも有効です。
ぼくは外出時はマスクを着用し、アルコール消毒ジェルで頻回に手を消毒しています。
タクシーに乗ったときは、必ず窓を開け換気をしています。

 

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2020年3月 4日 (水)

鳥越俊太郎×鎌田實

「鳥越俊太郎が賢者に訊く」の鎌田編が始まりました。
鳥越さんが茅野にやってきて、カナディアン・ファームで収録。
鎌田の新型コロナウイルスについての考え方を、鳥越さんがインタビューしています。
この後、何回か鎌田の回が続くようです。

ぜひ、ご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=tkdMTCXC9yY

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感染拡大をどう防ぐか⑧

新型コロナウイルスの陽性者が韓国では5000人を突破、イタリアでは2000人を突破しました。
五大陸すべてに広がっています。
パンデミックといっていい状態だと思います。

イラクでも、13人の陽性者が出るなか、イラクのダラシャクラン難民キャンプからJIM-NETに支援要請がありました。
感染を防ぐためにのアルコール消毒薬やマスクなど3000ドル近くが必要になります。
もう一つ、ぼくが代表をしているJCFでは、新型コロナウイルスの対応について、アラビア語のパンフレットを作りました。
信州大学大学院で研究している小児科のリカア先生が作製したものです。

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近いうちに、バグダッドで看護師のワークショップがあるので、
このパンフリットを使い、イラクの医師や看護師に新型コロナウイルスの対応について学んでもらおうと思っています。

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2020年3月 3日 (火)

感染拡大をどう防ぐか⑦

政府のイベント中止要請を受けて、ノンストップラビットのライブが中止されました。
その思いをリーダーで社長のたつやさんがYouTubeなどで語り、反響を呼んでいます。
新コロナウイルスの感染拡大を防ぐためにはイベントを中止せざるを得ないが、
そのための代償は決して小さくありません。
豊洲でのライブの会場費や人件費などは1000万円超。
チケットの売り上げは1200万円。
保険はないので取り戻せないということです。

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たつやさんのTwitterのメッセージは説得力をもって響きます。

「万事休す」という彼らの曲をYouTubeで聞きました。
彼らが再度ツアーを開始するとき、場違いなおじさんではあるけれど、拍手を送りに行きたいという気持ちになりました。

 

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2020年3月 2日 (月)

感染拡大をどう防ぐか⑥

新コロナウイルスの感染が全国へ広がっています。
新潟や東北にも初めて感染者が出てきました。
韓国では感染者が3000人を超え、ものすごい勢いで広がっています。
アメリカでもカルフォルニアで感染が始まりだしました。
トランプ大統領は相変わらず能天気なことを言っていますが、
アメリカの株かが急落しているのは、トランプの楽観的なつぶやきを信頼していないということなのでしょう。

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いちばん気になるのはイランです。
副大統領が感染。
かなり感染力が強いので、ほかの大臣や大統領に広がる可能性も否定できません。
今のイランに、感染を食い止める力があるかどうか心配。
とんでもないことが起きなければいいなと思います。
それにしても、WHOのパンデミックの宣言は遅すぎました。

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2020年3月 1日 (日)

感染拡大をどう防ぐか⑤

政府が25日、感染拡大を防ぐための基本方針を発表しました。
しかし、これがどうにも中途半端であいまいな表現が多く、批判が出ました。
これを挽回しようと26日、イベントの自粛要請が発表されました。
大きなコンサートやスポーツイベントが開催不能になり、鎌田の講演も4つ取りやめとなりました。
これはこれで批判が出て、政権の支持率が急激に下がりました。

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焦りの一手として、27日、地固めをしないまま、全国の休校を要請。
本来、この一手は難しいけれどやってはいけない手ではありません。
やるならば25日の段階で呼びかけ、自治体が決意したときには共働き世帯や一人親世帯などには休業保障などの準備をしておく必要がありました。
学童保育の先生たちの確保、卒業式の前倒し、休校と春休みの宿題などを準備するように指示すべきだっと思います。
支持率を上げるために国民を慌てさせる唐突な判断、といわざるを得ません。

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