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2020年4月

2020年4月30日 (木)

明るい方へ

自粛生活が続いていますが、頭の中にいいイメージをもつことが大事です。
なので、今回はいい話を書きましょう。

1、無症候者にもPCR検査
 ずっとPCR検査の拡充を訴えてきましたが、政府がはじめて、無症状でも、医師の判断でPCR検査をしていいという方針を出しました。
地域で陽性者が出ている場合、新型コロナではない患者さんの入院時や手術前などにPCR検査をすることで、院内感染を防ぐことができます。
PCR検査を広げたら、あとは居心地の隔離場所を確保することです。

2、大王製紙が、国内最速のマスク製造マシーンを導入
大王製紙が今月末からマスク生産を始めるといいます。
これにより、これまでとはケタ違いの生産枚数になります。
この窮地を何とかしようと、いろいろな会社にお願いをしてきました。
ぼくのお願いが届いたわけではなく、会社として社会貢献をしたいと考えてのことだと思います。
これを機に、命にかかわるものについては、生産体制やサプライチェーンを見直す必要があります。
国内で生産するようにすれば、日本人の雇用も生み出すことができます。

3、日本の死亡率は低い
世界の感染者約300万人、死亡者は約20万人で、単純に割り算をすると死亡率は6.6%になります。
それに対して、日本の死亡率は1.9%。
世界から見れば、まあまあの状態だと思います。
慶応大学が無症状の入院時の患者さんに検査をしたところ約6%陽性者が出ました。
東京都で6%が感染していると仮定して、死亡数約100人から死亡率を計算すると約0.02%。
インフルエンザの死亡率とそれほど変わらないことが推測できます。

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4、重症患者数も少ない
テレビに出ている専門家たちは最近、陽性率を取り上げてます。
検査が少ないと陽性率が高くなるという考え方です。
一方、死亡数は、ほかの原因で亡くなった人のなかに新型コロナの人が紛れている可能性もあります。
そこで、ぼくは重症患者数に注目しています。
今の日本の医療態勢では重症者を見逃すことはほとんどありません。
重症患者は、ほとんどPCR検査が行われています。
重症患者数の推移をみていくと、3週間ほど前までは70例くらいだったのが、ここへ来て300例くらいに増えています。
これは、感染の広がりをある程度反映しているのでないかと思います。
そして、欧米の感染爆発をしている国に比べれば、日本の重症患者の数は圧倒的に少ないのも事実です。

以前、感染力を示す実効再生産数について書きました。
新型コロナの基本再生産数は2.5ですが、日本では実効再生産数は1.7と推測されています。
これは、手洗いやマスク着用、靴を脱ぐ、あいさつでボディタッチをしない、などの習慣が実効再生産数を低下させている可能性があります。
さらに、現在のように3密を避けて自粛生活を続けることで、もっと実行再生産数を下げていることが考えられます。
願望も含めた希望的観測ですが、日本ならばこのようにして第一波を抑えこみ、現在のオン・コロナを克服できるのではないか。

第一波を抑え、経済活動の自粛を緩めていくときにも、今のような状態を上手に維持することができれば、第二波のピークも小さくすることができるでしょう。
それには、国民に訴える政治家の言葉の力が、大きな役割を果たすと思います。

そして、ウィズ・コロナ(コロナとともに)、アフター・コロナ(コロナの後)を経て、
ビヨンド・コロナ(コロナを超えて)を意識しながら、新しい価値観や世界を構築していくことが重要になります。
すでに、その芽は出てきています。
その芽をどう育てていくか、日本を信じたいと思います。

 

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離れるという「愛情」

新型コロナはとても残酷です。
子ども食堂に通っていた子どもたちにとって、栄養をとる場であったり、人と交流し愛情を感じる場であったりした場が、新型コロナのために会食できなくなりました。
大阪府豊中市にある豊中アグリという市民農園では、中高年の男性約70人が野菜作りをしたり、作った芋で芋焼酎を作ったりしてきました。
人生が豊かになるようにつながること、それはフレイルや認知症の予防にもなります。
それが今、生きるうえで大事にしてきたことを、制限させるを得なくなっています。

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動けない、会えない、抱きしめられない、「さよなら」と言えない。
残酷な現実ですが、今は、離れることが「愛情」ととらえることが大事だと思います。
離れながら、どうつながっていくのか。
新型コロナが収束したアフター・コロナの世界では、ますますつながることが大事になっていくはずです。

 

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2020年4月29日 (水)

お知らせ

明日30日朝8.15~の「おはようパーソナリティ 道上洋三です」(ABCラジオ)に生出演します。
関西の方、ぜひお聞きください。

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さよならが言えない

日刊スポーツで「ピンピンひらり最新健康法」という連載をしています。
昨日28日の回では、人生の締めくくりに、「ありがとう」も「さよなら」も言えない新型コロナウイルス感染症の死について書きました。

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2020年4月28日 (火)

がんばっている人を応援

病院の経営は、厳しい状態に追い込まれてきました。
経営がアップアップで、人材の余裕もありません。
さいわい諏訪中央病院には人材が集まり、新型コロナ感染が広がる現在も若いドクターを中心にして、地域の命を守ろうという前向きな風が吹いています。
しかし、全国の多くの病院は厳しいのです。

新型コロナウイルス感染が広がりだしたころ、新年度予算案が通過しました。
その予算案の中に、20万床の病床削減のための84億円が計上されています。
新型コロナがこれほど拡大すると予想していなかったのかもしれませんが、
病院への締め付けが、今の新型コロナ対策の足を引っ張ることは予想できたのではないでしょうか。
イタリアも、スペインも、財政難で病院への締め付けをしてきた結果、あっという間に医療崩壊を起こしてしまいました。
もう少し政府があたたかな気持ちでいてくれたら、医師たちもがんばれるのになと思います。

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その一方で、うれしくなることもあります。
愛知県では、新型コロナの入院患者一人当たりに100万円から、重症者では400万円まで、
医療従事者応援金を出すことを決定しました。
病院も、ほっとする対応だと思います。

風に立つライオン基金では、医療や福祉でがんばっている人たちにKN95マスクやガウンなどを提供しようと、
支援活動を始めました。
また、同基金では、クルーズ船で多数の感染者が確認され、大変な状況になっている長崎県の要請で、医師の派遣も決めました。
ジャパンハートと連携をとり、支援活動に入る予定です。

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鎌田式筋活DVD「PPHピンピンひらり」

 

鎌田式らくらく筋活DVD「PPHピンピンひらり ~人生100年時代をどう生きる~」
を発売しました。

鎌田式スクワットとかかと落としの他、フレイル(虚弱)予防のための口腔体操も一緒にできます。自粛生活中はこのDVDを見ながら、一緒にたのしく筋活しましょう!

DVDの収益は、経費を除いてすべて、イラクや福島の子ども達の健康のための支援に使われます。ご協力お願いいたします。

JCFオンラインショップからご注文ください
http://jcf.shop-pro.jp/?pid=150211187

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2020年4月27日 (月)

視点を変える

感染者数の増減で一喜一憂していますが、
感染者数よりも感染率で考えると実態がよくわかります。
人口10万人あたり何人の感染者がいるか、というのが感染率。

1位 福井
2位 東京
3位 京都
4位 大阪
5位 千葉
6位 北海道

全国版のニュースでは東京や大阪、福岡などが大きく取り上げられていますが、
昨日のブログで書いたように、大都市から地方へと推移していることに注意しなければいけません。
15位以内に入っている石川、大分、神奈川、岐阜などは、これから感染爆発が起こらないように気を付けていく必要があります。

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政治家も、専門家も、マスコミも、大都市、大病院、医療現場しか目がいっていない傾向があるので、
地方都市、小病院、介護などの現場にも注意しなければなりません。
パンデミックを防ぐには、広く俯瞰した視点も重要なのです。
そのためにも、視点を変えることを忘れないようにしたい。

武漢は共産主義だからロックダウンができた、という話にならないように、
自由主義のなかで自由を守りながら、いかにパンデミックを防ぐか。
科学的な分析と視点の転換が大事だと思います。

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2020年4月26日 (日)

鎌田實の一日一冊(377)

「ねぶしろとおいしいまる」(あべはまじ作、ひらさわまりこ絵、mille books)

作者のあべはまじとは、アベカズヒロさんと浜島直子さんご夫妻によるユニット。
浜島直子さんのラジオ番組には2度ほど出ました。

「ねぶしろ」とは、ネブソクシロクマというクマの仲間。
主人公は、そのクマの子どもです。
ドーナツを森に持っていき、ヘビさんやきつねさんと出会います。
最後は、アリさんに助けてもらいます。
とてもゆったりとしたいい絵本です。

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お孫さんにプレゼントし、一緒に読んであげるというのはいかがでしょうか。

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次に来る危機に先手を

この国の政治家たちは口だけ「先手」と言いながら、実際は後手に回っています。
まるで日本だけ神風が吹くかのように、PCR検査をしないというとんでもない選択をし、
安定した陽性者の隔離対応も遅れています。

安倍さんの布マスクが回収されたといいます。
このことに気を使っているのもおかしな話です。
不織布のサージカルマスクと布マスクでは、目の粗さがまるで違います。
基本的には目の詰まったサージカルマスクを国民に行き渡らせる仕組みを考えるのが政府の仕事だったはず。
マスクは大きさも大切です。
小さなマスクでは、感染者が咳をしたりしゃべったりするときに、スキマから飛沫が漏れてしまう危険性があります。
鼻から顎にかけてしっかりと覆われなければ、マスクの機能を果たさないのです。
日本政府は布マスクが好きなようだから、
また配り直すのでしょうが、せめて大きななマスクにしないといけないと思います。
それでも、ようやく医療現場にN95マスクやガウンなどの手配が始まったことは評価していいでしょう。

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しかし、すでに問題は変わりだしています。
マスクやガウンなどの資材は、最前線で闘っている大病院に配布されるのだと思いますが、
問題は小病院へも移り始めています。

大阪のなみはやリハビリテーションセンターの120人を超す院内感染はその一つの典型例です。
この病院では、陽性の看護師2人が上司の命令で勤務を続けていました。
とんでもないことです。
この上司の暴力的な命令は横に置いて、この事例には次なる危機が象徴されています。
つまり、感染症の専門医や感染症の認定看護師などを配置していない病院での危機が今後、大きな問題になっていくということです。

介護施設でも、陽性者が出たにもかかわらず、感染症指定病院のベッドの空きがないために、
施設内の別の空間で隔離しがら対応しているところがあります。
もともと介護施設では看護師の配置数は、病院より少ない。
しかも、感染症認定看護師のいる施設なんてほどんどないはずです。
回復期リハビリ病棟や療養型病棟を中心にした病院なども、感染症に対しては十分な防御システムができていません。

すでに危機は、大病院から小病院へ、医療から介護へ、大都市から地方都市へと移ろうとしています。
そして、ウイルスの感染から、不安という心の感染も広がっています。

こうした危機の変化を敏感に察知し、先手を打つ政治家の出現を期待したいと思います。
自民党の若手がグループをつくって物申すようになったのはとてもいいこと。
若手の政治家には感性や胆力を磨き上げて、この難局を乗り越えるために力を発揮することを期待しています。

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2020年4月25日 (土)

お知らせ

明日26日の「日曜はがんばらない」(文化放送、朝6.20~)は、
諏訪中央病院の総合診療医、玉井道裕医師をゲストにお迎えします。
玉井先生は「新型コロナウイルス感染をのりこえるための説明書」を書き、全国からたくさんの反響を呼んでいます。
番組でも、新型コロナの対応の仕方をわかりやすく話してもらいます。

お楽しみに!

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残酷な死

政府の後手後手もひどいが、埼玉県の後手後手もひどい。
安定した陽性者をホテルで待機させるといいながら、その数は39人に留まり、
350人を超す陽性者が自宅で待機しています。
その間、体調が悪化した人が2人亡くなっています。
50代の一人暮らしの男性は自宅待機中、保健師が連絡をとっており、
少し息苦しくなったが、今はだいじょうぶという言葉を受けて、翌日入院することにしていました。
しかし、その夜、亡くなってしまった。
この人はどんな思いで、亡くなっていったのでしょうか。
先進国でこんな死があっていいのだでしょうか。

埼玉県だけの問題ではありません。
建設会社の50代の男性が検査を待っている間に死亡、結果として陽性がわかりました。
PCR検査は、できるだけ素早くやる必要があるのに、
検査をするまでに時間がかかり、結果を待つまでにも時間がかかる。
6時間といっておきながら、6時間ではないことが多いようです。
この現実を何とかしないといけません。
そして、入院待機中の人には、パルスオキシメーターをつけて、
数値が下がったらすぐに連絡するという仕組みづくりが必要です。
すでに実施している県もあるかもしれませんが、全国で取り組めているとは思えません。

映画監督の大林宣彦さんが先日が亡くなりました。
末期がんでした。
「余命半年と言われ、ものづくりの人間は何でもプラスにするんだよ」
告知を受けた後、最後の最後まで新作の映画づくりをしていました。
それぞれに寿命があり、命の長さはどうすることもできません。
しかし、せめて、最後の最後までその人らしくありたいと思います。

新型コロナの死はとても残酷です。
志村けんさんは、家族と会うことができず、亡くなった後も会うことができませんでした。
お兄さんと会えたのも、お骨になってから。
もっと言いたいことがあったはずです。

岡江久美子さんもそう。
入院してから夫と一回、携帯で連絡をとりあっただけ。
新型コロナウイルスが、とても憎いです。

こうした死をなくすためにも、リーダーは全力を投入し、感染の勢いを止めてもらいたいと思います。

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2020年4月24日 (金)

実効再生産数を下げよう

新型コロナウイルスの基本再生産数は2.5といわれています。
基本再生産数とは簡単にいうと、感染可能な期間、一人から何人感染させるか、感染力を示す数字です。
はしかなどはとても高く、15前後といわれています。
感染の力は、習慣や環境の違いなどで、その数は変わってきます。
それを実効再生産数といいます。
日本人の実効再生産数は現在1.7と言われています。
欧米では2~4という学者もいて、欧米と比べて日本は低いことがわかります。
実効再生産数が1.7か、4かでは圧倒的に違います。
感染者はねずみ算式に増えていくので、一か月もするととんでもない差が出ることになります。

では、なぜ、日本は実効再生産数が低いのでしょうか。
手洗いをよくすること、初期のうちからマスクをする人が多いことと関係があります。
もしかしたら、アジア人は新型コロナウイルスに対して抵抗する力が少しだけ高い可能性もあります。
WHOではあまりBCGを評価していないようですが、アジアの国々ではBCGを接種しているところが多く、自然免疫を高めている可能性も示唆されています。
欧米に比べ、肥満の数が圧倒的に少ないなどの、健康の度合いも関係しているのではないかと推測しています。

新型コロナは、感染者数が増えたりワクチンを接種したりして、人口の60%が抗体を獲得していると、収束するといわれています。
この集団免疫率60%というのは、実効再生産数が2.5の場合で計算をしています。
もし現在の1.7から、さらにみんなが自粛生活を徹底すれば、集団免疫率がもっと低くても収束するかもしれません。
1.7から1.2へ下げることができれば、感染者数の波は平坦になり、医療崩壊は防ぐことができるでしょう。
専門家たちは獲得免疫にばかり注目していますが、少しでも実効再生産数を下げるために、
自然免疫ももっと大切にしたほうがいいと思います。
睡眠や食事、軽い運動をすることで、自然免疫は強化していきます。

20200424 資料の提供は、大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授の宮坂昌之先生

今、世界中で、感染の広がりを把握するための検査が行われ始めています。
ドイツのガングルト市で行われた抗体検査では感染者が15%、
スタンフォード大学の抗体検査では5~6%、
ニューヨーク州では14%、
都内のクリニックで行った50数例の検査では約11%
慶応大学が入院時の患者さんに行ったPCR検査では5~6%、
東京医科歯科大学の産婦人科で入院時にPCR検査をしたら、これは%ではありませんが、13人の妊婦さんが陽性でした。
ほとんど症状のない人に抗体検査やPCR検査をしたら、このように5~15%の陽性者が判明しています。

感染を抑制するためには、みんなが行動を自粛して接触機会を減らし、実効再生産数を下げることが重要です。
感染の伸びを鈍化させることができれば、注意しながら経済活動も再開できます。
経済を再開させながら、感染の発生を抑えていくことができれば、医療は崩壊せずに重症者に対応でき、そのうちにワクチンが開発されるはずです。
そういうストーリーのなかで、みんなが実効再生産数を下げることを心掛けることが重要です。

5月3日の「日曜はがんばらない」(文化放送、朝6.20~)は、ゲストに免疫の専門家、宮坂昌之先生をお迎えし、以上の話をさらに詳しくお聞きします。テレビでは聞けない話ですので、ぜひ、お聞きください。

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2020年4月23日 (木)

政治なんてないほうがいい

与党も野党もテイタラク。
今ほどリーダーシップが大事なのに、ちっともパワフルな若手政治家が出てきません。
本当は全とっかえしたほうがいいのですが、選挙をしている余裕もありません。

前回のブログでイラクのことを書きました。
なぜ、イラクが新型コロナの感染抑制に成功したのか。
それは、政治家がほとんど動いていないから、という笑えない現実があります。
昨年12月、首相が辞任した後、2人の首相が任命されましたが、2人とも組閣に失敗。
内閣が決められず、政治がまったく動いていないところへ新型コロナが入り込みました。
基本的には専門家が中心になり、行政が補完するかたちで動きました。
それによって、先手先手で大胆な方針を実施し、いま勝利宣言間近というところまで来たというのです。

日本の厚生労働省は死ぬほどがんばっています。
もちろん、都道府県も、保健所も、みんながんばっています。
専門家もがんばっています。
なのに、政治がこれを邪魔している。
専門家が人との接触を8割減らすべきと言っているのに、
政治家が「7割を目標に、できたら8割」などとあいまいなことを言うから行動変容が起こらないのではないでしょうか。
お金の問題もそうです。
口では「スピード感をもって」と言いますが、30万円と言ったり、10万円と言ったり。
30万円もらえると思っていた人には、心が折れるような方針転換です。
こうした朝令暮改は不信感を招きます。
政治家が無策ならば、専門家の方針に従って、あまり口出ししないほうがいいのかもしれません。

と書いてきましたが、でも、やっぱり政治にはがんばってもらいたいと思います。
今からでも挽回はできます。
与党も野党も、あと2週間で流れを変えられなければ、
昨日書いたように、自粛を守れない人にはその人の命を守るために罰則を設ける「シートベルト違反方式」を導入する議論を始めたらどうかと思います。
すべての人の自由を守っていくには、やはり政治が力を発揮すると思います。
本当に期待しています。

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帰属意識

新型コロナウイルスで、中東で最も大きな被害を出しているのはイランです。
8万人が感染し、5000人が亡くなっています。
ようやくピークアウトし、感染者が減りだしているものの、まだ一日1300人ほどの感染者が出ているという状況です。
その隣の国イラクでは対照的に、もうすぐ勝利宣言を出すといいます。

イラクは、イラク戦争で傷つき、その後「イスラム国」でずたずたにされてきました。
そんな国で子どもたちの命を守るため、ぼくは約15年支援活動を続けてきました。
イラクは、感染者約1500人で止めることができました。
現在、一日の感染者数はヒトケタ。
ほぼ、コントロールのなかにあるといいます。
近々バルーンを上げて、勝利宣言をすると聞きました。

現地スタッフからの情報では、勝利の原因は早期の取り組みにあるといいます。
3月9日には公的機関を閉鎖、1週間後の中旬には厳しい自宅待機を実施しています。
JIM-NETハウスのスタッフたちは、白血病の子どもや家族を守るために、
特別に許可されましたが、多くの仕事を持っている人たちは自宅待機が命じられました。
国民も意識が高く、自宅待機を守ったといいます。

イラクらしいなと思うのは、スーパーに無料で食料などを持ち帰れるコーナーができたり、市場でも食料を無料配布したり、という配慮があったこと。
イラクの人たちはやさしいのです。
自宅待機を徹底できた背景には、こうしたやさしさがあり、人に感染させてはいけないという思いがあるからではないかと思います。

ぼくたちも中国や韓国で新型コロナが猛威を振るい始めたときに、すぐに手を打てばこんなふうにならなかったのではないか。
そして、もう少しやさしくなって、困っている人に対して早く手を差し伸べられたらよかったなのに、と思います。
まだ遅くはありません。
政府は困っている人に一刻も早く手を差し伸べること。
それは、一体感と帰属意識を高めるためにとても大事なことなのだと思います。

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お知らせ

本日23日、「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送)に出演します。
鎌田の出演は、13時20分頃からとなります。

ぜひ、お聞きください。

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2020年4月22日 (水)

この国が好き

この期に及んでパチンコ店が開かれ、そこに人が集まっています。
とんでもないことだと思います。
宅配便のドライバーを危険物のように思って、ドアを開けている人がいると聞きます。
命をかけて闘っている看護師さんの子どもを預からないようにする保育園もあると聞き、同じ医療者として心を痛めています。
でも、これがこの国の実態です。

この10年ほどの政治や経済の在り方は、不安や「なるようにしかならない」という諦めを高めているように思います。
あれだけの隠蔽や改ざん、言い逃れをしても、長期政権が続いています。
その長期政権は、長いだけで上品とはいえません。
こんな国難になったとき、国民の心を一つにできない、これが現実です。

それでも、この国が好き。
政府はギブアップしていません。
それなりにこの国を愛している人もいます。
12時にみんな立ち上がって医療者に拍手をしたり、夜になるとブルーライトを輝かせたり、
たくさんの歌手が応援ソングを歌ったり。

地方も必死に踏ん張っています。
東京がオリンピック開催のために、新型コロナ対策に出遅れ、現在の窮地を生んでしまったのを見ているから、
地方は後手に回らないようにしています。
それでも都会から地方に来てしまう人がいる。
これが現実。

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ぼくたちが自由主義を守るためには、言葉=理解が大事です。
なぜ、今、行動を抑制しなければならないのか、みんなで納得することです。
でも、それができない現実があります。
もう自粛要請だけでは通用しない現実があるのです。
シートベルトは、その人の身を守るために必要で、着用していない人には罰則があります。
ぼくたちがそれに従うのは罰則があるからだけではありません。
シートベルトをしないと、事故に遭った場合、身体的に大きなダメージを受けることも知っているからです。
本当の自由を守るためには、単に自粛要請だけでなく、シートベルト違反の罰則のようなものをもうける段階に来ているのではないか。

誤解がないように言いますが、
決して、守らない人を差別したり、村八分にしろと言っているわけではありません。
シートベルト違反は、その人の人生の汚点にはなりませんが、反省は促すことはできます。
その人を守るために、なぜパチンコ店に行かないようにしたほうがいいのか。
その人が自分で考え、自分で決めることができるようなルールが必要だと思います。

不埒なことや不愉快なことも行われていますが、ロックダウンしないでこれだけのことができるこの国は、やはりすごいと思います。
政治家は発想のイノベーションをして、この国難に当たってほしいと思います。

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2020年4月21日 (火)

最悪に備え、最善を尽くす

この言葉をずっと頭の中で繰り返してきました。
スタンフォード大学で3300人の抗体検査をしたところ、確認されている感染者数の50~85倍多い可能性が高いことがわかったといいます。
想像以上に市中感染が広がっているということです。

母校の東京医科歯科大学では、院内感染を防ぐために職員のPCR検査を積極的に行うとともに、医科歯科で出産する妊婦さんにもPCR検査をすることにしました。
新型コロナの母子感染が何か所かで起きているためです。
妊婦さんの不顕性感染が13%あるとの報告もあります。
「もっと感染者は多いはず」という予想は、どうやら的中しそうです。

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昨日、ニッポン放送のラジオ番組に電話で出演し、リスナーからの質問に答えました。
37.2℃の発熱と強い頭痛がある30代の男性は、もしものことを考えて、妻と子どもに感染させないように、夜は一人で自動車で寝ているといいます。
本来は4日は様子をみないといけないところですが、
高齢者や子どもがいる場合は、早く検査を受けられるようにすることも大事だと思いました。
そして、検査の結果が出るまで3~4日かかりますが、もっと早くしなければ、この間に家族内感染が起こる心配もあります。
一週間近く車の中で寝泊まりすることになれば、エコノミー症候群のリスクも高まります。

建設会社の50代の男性が、PCR検査をした後、結果を待っている間、自宅待機中に死亡しました。
急変です。
この人ももしかしたら、もっと早く検査が出来ていたら助かっていたかもしれません。

PCR検査を徹底していないかぎり、無症状の感染者を野放しにするわけですから、どうしても市中感染は起きてしまいます。
札幌の呼吸器科病院や北海道がんセンターは2つとも30人以上の院内感染を起こしています。
そして、この病院から転院したところで、また陽性者が出始めています。

それでも、遅ればせながらPCR検査を拡充しようという動きが出て来たこと、抗体検査の実施も検討されていることは、評価していいと思います。
緊急事態宣言が発令されて2週間、専門家会議はより厳しいメッセージを発し、政府を動かしてもらいたいです。
政治家も踏ん張りどころです。
国民の心に届くようなメッセージを発してほしいと思います。

 

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2020年4月20日 (月)

お知らせ

明日21日の朝日新聞朝刊の「耕論」に、新型コロナのなかでどう生きるか、鎌田實の意見が掲載されます。
デジタル版では、医療崩壊を防ぐために、安定した陽性者の自主隔離の場所としてクルーズ船を活用できないか働きかけていることや、若いアーティストたちが生活に困っていることを考えながら、音楽のもつ力の大きさについても語っています。

ぜひ、お読みください。

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早期に抗体検査を

日本政府が抗体検査による疫学調査のために2億円の補正予算を組んだといいます。
1か月半前から、疫学調査をすべきと言ってきましたが、これはとてもいいことです。
WHOも疫学調査を進めています。
ドイツやアメリカでも、もっと大規模な形で進めようとしています。
抗体検査は、ウイルスに感染しているか、または感染したことがあるかわかる検査。
PCR検査以上に擬陽性、偽陰性があることはわかっていますが、
血液検査なので、検体を採取する際にリスクが少ないという利点があります。
抗体検査の疫学調査をすれば、市中感染がどれくらい広がっているかわかります。
これは、専門家や政治家が方針を決めるときに重要な資料になり、より科学的に政策を決められると思います。

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同時に、抗体がプラスになった人は、社会経済活動を続けられる可能性があります。
もちろん、このウイルスはまだよくわからない点が多いので慎重になる必要はありますが。
ボランティア活動をしたい人も、抗体があればやりやすくなるでしょう。

免疫には、自然免疫と獲得免疫があり、頼りになるのは獲得免疫です。
獲得免疫を得るには、感染して抗体ができるか、ワクチンを受けるかです。
日本全体が集団免疫をつけるようになるにはワクチンの開発を待たなければなりませんが、
そのワクチンができるまでは、せめて自然免疫を高めようと、ぼく自身は軽い運動をしたり、腸にいいものを食べたり、笑ったりすることを心がけています。

 

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2020年4月19日 (日)

恐怖に勝つあたたかさ

最前線で闘っている人を差別しないでください。
医師や看護師たちは、感染の恐怖に耐えながら新型コロナに感染した人を診ています。
だれかがきちんと治療しなければ、その地域で感染を蔓延させてしまうのです。
早期に発見し、早期に隔離し治療する、これが感染症の鉄則です。

藤田記念病院の看護師さんの子どもが保育園から拒否されたと聞きました。
この病院はクルーズ船のときに、安定した陽性者を隔離するために、開設前の新病院を提供してくれました。
大きな貢献でした。
その病院で働いている看護師さんの子どもが拒否されたのです。
よその病院から来た新任の医師が感染し、この看護師さんはその医師と一緒に働いたこともないのに、その子どもが拒否されました。
とても不条理です。

みんな怖いから、間違った判断をしているのだと思います。
責めようとは思いません。
でも、冷静になって考えてみましょう。
もし、自分の子どもが差別を受けたら、どんな思いがするか。
ましてや最前線で働いている人たちの子どもです。
その人たちの活動がなければ、この国難を乗り越えられません。
みんな一度、深呼吸して、どうしたらこの苦境を乗り越えられるか落ちついて、自分のなかにあるはずのヒューマニティを取り戻しましょう。
あたたかくなければ、この苦境は乗り越えられません。

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2020年4月18日 (土)

お知らせ

明日19日の「日曜はがんばらない」(文化放送、6.20~6.45)
ゲストは生命誌研究者の中村桂子さんです。
生命の話、ウイルスの話をたっぷり聞くことができます。

同日14時からは、アースデイ東京がYouTubeでライブ配信されます。
加藤登紀子さんと鎌田が「コロナを超えて」と題して対談。
加藤さんが急きょ作った「この手に抱きしめたい」という歌が流れます。
諏訪中央病院で訪問診療をしたり、ほろ酔い座談会を展開してきた奥医師による、
新型コロナとどう闘うのかという具体的な話も聞けます。

https://www.earthday-tokyo.org/

20日、「安東弘樹 DAYS」(ニッポン放送、13.0~)に、
14時から1時間、鎌田が生放送でリスナーの質問に答えていきます。

社会が少しでもあたたかく、明るくなるように、発信していこうと思ってます。
ぜひ、ご視聴ください。

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住職から教わる

つらい状況が続いてます。
つらいことばかりだと、ついイライラして、他者を攻撃してしまったりします。
SNSで激しい批判を展開したり、身近な人に暴言や暴力を振るったり。
ヨーロッパでは、DVの件数が増えているそうです。

感染予防のために、換気を心がけています。
窓を大きく開けて、空気を入れ替えるためです。
同じように、心の窓も大きく開け放って、ギスギスした空気を入れ替えたいものです。

3月初め、茅野市の長円寺のご住職から電話がありました。
このお寺は、ぼくを育ててくれた両親が入っていて、いずれはぼくも入るつもりです。
ご住職は、戸棚から600枚のマスクが見つかったと言いました。
役に立てたいが、どこに贈るのがいちばん役に立つでしょうか、と相談されました。
ぼくは、すぐに病院の院長に電話をしました。
当時、病院もマスクが不足し、職員全員に配布できなくなりだしていました。
ご住職からの600枚のマスクは、院長に手渡され、有効に使われました。

この出来事で、ぼくも病院のマスク不足の深刻さにあらためて気づかされました。
病院では、後輩たちが院内感染を起こさないよう神経を使っていることはよくわかっています。
同時に、ぼくが院長時代につくった地域包括システムを支える訪問看護ステーションや、特養、老健、それらを支えるための人材養成の看護学校でも学生たちが院内研修をするので、マスクが必要です。
恩返しのつもりで、マスクを届けることにしました。
一か月かかってようやく、先日、1万枚のマスクを病院に届けることができました。

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こんなときは、少しでもだれかのために何かをしたいと思っています。
明日は、加藤登紀子さんとYouTubeで、アースデイ東京をライブ配信をします。
さだまさしさんとは、風に立つライオン基金で全国の医師や看護師さんたちにエールを贈る活動をしようと電話で話しました。

離れながら、どうやってつながるか。
苦しいときほど1%はだれかのためにと思いながら、電話をしたり、メールをしたりしています。
Twitterやインスタグラム、ブログなどで発信するときには、社会が明るくなるように、
1週間に一度くらいは明るいメッセージを発したらどうかと思います。
明るいメッセージを発することで、自分の心も明るくなるはずです。

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2020年4月17日 (金)

お知らせ

明日18日、「大沢悠里のゆうゆうワイド土曜日版」(TBSラジオ、15.0~)に、
鎌田實が緊急出演し、新型コロナウイルス感染予防について語ります。
鎌田の出演は、16時40分ごろから。

ぜひ、お聞きください。

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地域を支える自負と役割

諏訪中央病院でも、新型コロナへの準備を始めています。
感染症指定病院ではありませんが、諏訪盆地の二次医療圏のなかで地域のための態勢づくりについて、
一か月ほど前から市長を含め、医師会長と病院の代表が話し合いをしています。
発熱した患者さんが受診した場合、一般患者と接触しないように別の動線を確保したり、ウイルスが外に飛散しないように陰圧室での外来や手続きができるように、準備を整えています。
さいわいなことに茅野市ではまだ感染が広がっていませんが、
必要になれば発熱外来やPCR検査をする場所の確保も、市役所と検討を始めています。
医師会もまじえ、医療、福祉ががっちりとスクラムを組んで、なおかつ行政がしっかり音頭をとるという、いい形が出来ていると思います。

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諏訪中央病院では、3月決算で、ようやく厳しい状況から脱し黒字が出始めました。
その矢先、こうした準備のために、胃カメラや手術件数を減らさざるをえなくなり、
ぼくの後輩の経営陣はつらい思いをしていることでしょう。

一方で、病院には全国から人材が集まっており、若手の医師たちがとても頑張っています。
市の有線放送を使って、若い医師たちが手洗いの方法などを実演してみせたり、諏訪中央病院や茅野市役所のホームページで市民に情報を伝えています。
総合診療医の玉井先生の作成した「新型コロナウイルス感染をのりこえるための説明書」は、地方版もつくられ、あたたかくてやさしいと大好評です。

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手洗いの方法などを、若い医師が紹介する「ビーナネットCHINO」

http://www.venusnet-chino.jp/video/category/cdnaf400000005d3.html


日本を幸福にする仕組みをどう作るか。
それをビヨンド・コロナの目標にしながら、
新しい地域づくりや国づくりをしていく必要があると思います。
今は、そのための勇気と決断が大切です。

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勇気と決断

イギリスの99歳の高齢者が、家の周りを歩行器で100周する挑戦を宣言し、新型コロナの治療に当たる医師や看護師らを支援しようとクラウドファンディングで募金を呼びかけました。
まだ途中ですが、なんと15億円の募金が集まったといいます。
もうすぐ100歳の人が歩行器を押しながら黙々と歩いている姿は、とてもかっこいいです。
そして、この男性の挑戦に拍手を送り、寄付をし、自分たちを守ってくれる病院に敬意を示す市民の姿を思い浮かべ、とてもうれしくなりました。
男性本人の社会に貢献しようとする意識がすばらしいし、フレイル予防もなります。
99歳の勇気と決断に拍手です。

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大阪市立十三市民病院は入院患者を他院に転院させ、新型コロナ専門病院にするといいます。
さすが大阪という感じがします。
感染症病棟で今まで結核を主に、少し新型コロナを診ていた病院が、新型コロナ患者を他の病院にお願いする代わりに、
結核患者を感染症指定病院から引きうけて、自分たちは結核を診るという形で任務分担を果たしていく決断をしたところもあります。
縦割りではなく、横に連携するいい例だと思います。

ぼくの母校、東京医科歯科大学では病院前にテントを張って、予約患者さん用にPCR検査などを行う態勢を整え、
大前提として新型コロナの重症患者さんを受け入れる態勢を整えています。
院内感染を防ぐためには、入院時、C型肝炎などの検査をしていますが、できるだけPCR検査をやったほうがいいので、この決断に拍手を送りたいと思います。
そして、職員たちへのPCR検査も前向きに検討しているそうです。
医療崩壊を起こさせないためには、本来こうあるべき。
すばらしいのは、抗体検査もするということです。
ずっと言い続けてきたことですが、抗体を持っていれば、リスクはゼロではないものの、感染の危険性が低下します。
さらに、精神科が、医療スタッフに対して精神的なサポートもするといいます。
検査や精神的サポートは、医師や看護師らが少しでもストレスなく働いてもらうには必要なことだと思います。

東京医科歯科大学では、術後患者や心筋梗塞、脳梗塞などでICUにいる患者さんたちをほかの病棟に移し、新型コロナの重症患者を受け入れる決断もしました。
そのためには、手術もある程度止めなければなりません。
20の手術室のうち17近くをストップし、緊急手術かいくつかの特別な手術のみとなります。
経営という視点からみると、とんでもなく大きなマイナスになります。
しかし、新型コロナの重症患者さんを診るという大学病院の役割に、責任を果そうという重い決断だと感じました。

医療の現場では、医療崩壊を防ごうとさまざまな勇気と決断が行われているのです。

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2020年4月16日 (木)

偽りのリアリティ

4月15日の東京の陽性者は127人でした。
先週末に190人を超えていたので、週明けからの棒グラフを見ていると、陽性者数が減っているようにみえます。
しかし、この「減少」の裏には、PCR検査が4000人待ちという現実が隠れています。
PCR検査も、よくよく調べないと何件やったかわからないようになっています。
時々わかったときに計算すると、ある日の東京都の陽性率は52%でした。
よっぽと疑わしい人にしか検査をしないということがわかる数字です。
都内のある保健所関係者の「死にそうでなれば検査できない」
埼玉県の保健所長の「病院があふれるのがいやでPCRは厳しくやっていた」
そんな言葉が、現実を裏付けています。

安倍首相もクラスター対策が大事とし、NHKもクラスター対策班が感染爆発を防ぐ切り札のように取り上げていました。
たしかに初めの2~3週は、病院の態勢が整うまでPCR検査をやりすぎないほうがよかったけれども、
その後は、クラスター対策で時間かせぎをしながら、隔離の態勢とPCR検査を自由にできる態勢づくりをすべきだったのに、
専門家会議も政府を説得することができなかったようです。
テレビでは1か月ほど前、韓国やイタリアのような失敗をしたくなければ、PCR検査をしないことだ、と言う人さえいました。

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日本の今の現実はどうでしょうか。
PCR検査は相変わらず少ない。
しかも、4日後でなければ結果がでない。
スピードをもって検査できるようにしなければ、院内感染は絶対に防ぐことができません。
初期において医療崩壊を防ぐためのPCR検査抑制が、いま医療崩壊を加速させているのです。

医療崩壊を防ぐために、3週間前から安定した陽性者は居心地のよいところで自主管理してもらうのがいい、そのためにクルーズ船を活用したらどうか、と訴えてきました。
専門家会議のメンバーにも電話しました。
厚生労働省の人からも電話がかかってきました。
でも、話は進みません。
そんなことをしているうちに3週間が経ってしまいました。
東京都では既に医療崩壊が始まっています。
一刻の猶予もありません。
ぬるま湯の偽りのリアリティから目を覚まし、現実をしっかりとみてほしい。

とにかく世界基準の検査をすることと、安定した陽性者が居心地のいいところで自主隔離できるようにすること。
この二つを今からでもしっかりとやれるように応援してこうと思っています。
その一つとして、病院のマスク不足を解消するために、各方々にマスクがないか電話で問い合わせています。
自分を育ててくれた病院や老健などに寄付できればと考えています。

 

東京都内の最新感染動向

https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/

 

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2020年4月15日 (水)

医療崩壊は始まっている

PCR検査が相変わらず広がらない日本に対して、
WHOも、世界の研究者も、厳しい見方をしています。
感染症対策に当たっている専門家も、今、日本で市中感染がどれくらい広がっているのか、だれも言えないのです。
こんなことって、あり得るだろうか。

感染が始まった当初は、病院の態勢を守るためにPCR検査を抑制する必要があったかもしれません。
だから、ぼくも「少しずつでも、医師の裁量で検査ができるようにしなければ、院内感染が起こる」という控えめな表現で話してきました。
少し前、テレビなどで、クラスター班が英雄のように取り上げらた時期がありました。
テレビのコメンテーターたちも、韓国やイタリアわ批判しながら、日本はうまくいっているという論調でした。
まるで、日本には神風が吹くというような言いぶりでしたが、それは幻想にすぎないのです。
新型コロナは日本だけ特別に忖度なんかしてくれません。
感染経路不明の市中感染に対応する、次の段階が来ていたのに、いつまでも過去の成功にすがり過ぎました。

取手病院で3月27日、入院患者の70代男性が陽性となり、同じ病棟の入院患者や看護師ら20人が感染しました。
こうした状況が、福井や兵庫、福岡の病院、そこらじゅうで起きています。
一人でも医療従事者に感染すると、そのチーム全体が2週間は離脱しなければなりません。
ただでさえ数が不足しているところに、濃厚接触者となった医療従事者が自宅隔離となり、
少数になった医療従事者に、さらに大きな負担がのしかかっていきます。
特に看護師は3交代なので、深夜シフトを組むのはとても大変。
疲れ果てて離脱する人も続出しています。
こうした状況を、政治家も、テレビのコメンテーターもわかってほしいと思います。

このままPCR検査の抑制を続けたら、間違いなく院内感染が広がり、医療崩壊が起きてしまいます。
そういう意味では専門家も政治家も、大きな失敗をしたとしか言いようがありません。

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東京ではすでに医療崩壊が始まっています。
救急指定病院が発熱者に関してPCR陽性かどうかわからないかぎり、診察の拒否をしだしているのです。
容体が悪化している患者を、40件も問い合わせないと受け入れ先が見つからない。
この状況は、もう医療崩壊と言っていいでしょう。

もう言い訳をしている段階ではありません。
すぐにでも、検査を拡充すべきだと思います。
2か月遅れてしまいましたが、今からでも遅くはありません。
PCR検査と抗体検査のそれぞれの特徴を踏まえながら、検査態勢を拡充すること。
各地で市中感染がどれくらい広がっているのかを明らかにし、そこからスタートすべきだと思います。

神風は幻想です。

 

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連載スタート

日刊スポーツで本日15日から、鎌田實の連載がスタートしました。

「ピンピンひらり 最新健康法」

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連日掲載され、全51回続きます。
人生100年時代をぴんぴんヒラリと生きていくための健康情報をまとめていますので、
ぜひ、お読みください。

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2020年4月14日 (火)

軽い運動で、自然免疫を高めよう

免疫には、自然免疫と獲得免疫があります。
頼りになるのは獲得免疫で、一度感染したり、ワクチンを打つことで抗体ができます。
新型コロナに打ち勝つには、ワクチンが有効です。
しかし、ワクチンの開発には、3相の試験で効果と安全性が確認される必要があり、
一般的に実用化されるまでには2年はかかるといいます。

そこで期待されるのが自然免疫です。
自然免疫は、血液やリンパの流れに乗って、リンパ球がウイルスや細菌が入ってこないかパトロールし、異物を見つけると、食べたり、消したりしています。
かぜやインフルエンザが流行っているときでも、引く人と引かない人がいますが、その差はこの自然免疫にも関係があるようです。

自然免疫を高めるにはどうしたらいいのでしょうか。
一つは、軽い運動をすること。
軽い運動をして体温を少し上げると、リンパ球の流れがよくなります。
自粛生活のなか、室内でできるスクワットとかかと落としはおすすめです。

ぼくは2月から、フレイル予防のためにスクワットとかかと落としのDVDの製作に取り組んできました。
それが4/16に発売されます。

『PPH ピンピンひらり-人生100年時代をどう生きるか-』
発売 JCF がんばらないレーベル
販売価格 2000円(内税)

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何種類ものスクワットとかかと落としの方法を、鎌田自身が実演しています。
また、食べ物についても紹介。
食と運動と心の持ち方がわかる内容です。

本日、信濃毎日新聞で紹介され、問い合わせの電話がひっきりなしです。
1000セット作りましたが、すでに半数はご予約いただいています。
このDVDの利益は、JCFが支援するチェルノブイリ、イラク、福島の子どもたちのために使われます。

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問い合わせは、日本チェルノブイリ連帯基金
http://jcf.shop-pro.jp/?pid=150211187

 

イラクでも1500人の感染者が発生し、厳しい状態になってきました。
難民キャンプでマスクやアルコール消毒液が不足。
JIM-NETでは、支援を始めています。

世界とつながりながら、自分の体をどう守っていくか、この両方が大事なのです。

ウィズ・コロナ
コロナとともに、負けない心と体をつくっていきましょう。

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加藤登紀子♪「この手に抱きしめたい」

アースデイ東京(4/19 オンラインLIVE放送)の打ち合わせ中、急遽、
加藤登紀子さんが 歌を作ってくれました。

一人じっと苦しんでいる、新型コロナウィルスに感染してしまった方々。
その人たちを支え、今も厳しい現場に立ち続ける医療スタッフたち。
この手に抱きしめてあげたいのに、今はそれもできない。
そんな切なさを、歌にしてくれました。

ぜひ聴いてください。

 https://youtu.be/T8kAjIg3PGY

「この手に抱きしめたい」

作詞作曲 加藤登紀子

この手にあなたを 抱きしめたい
ひとりぼっちで 苦しんでいるあなたを
あなたの涙を この指で拭きたい
触れてはいけない 頬を抱いて

もどかしいくらい 足りないことや
無力な自分に 泣けてくるけど
生きるために 生き抜くために
私ここに あなたのそばにいます

愛するあなたを守れなくて
遠くで祈る人の声が聞こえますか
あなたに明日を 運んでくるのは
明日を信じる ここにある希望

さよならも言えず 見送るなんて
神様お願い 力をください
窓を開けて 空を見上げて
愛する人を その手に抱く時まで
生きるために 生き抜くために

私ここに あなたのそばにいます
私ここに あなたのそばにいます

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4/19 アースデイ東京よりライブ放送

4月19日(土) 14:00~
アースデイ東京より YouTubeでライブ放送決定!

https://www.earthday-tokyo.org/

・加藤登紀子さん(歌手)
・YAEさん(歌手)
・奥 智久先生(医師・地域包括ケア研究所メンバー)
・そして、鎌田 實 の4名で、

「Beyond Corona ~ビヨンド・コロナ~」
新型コロナウィルスに負けずに、どう生きていけばいいのか
を語り合います。

ぜひご覧ください。

 

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ビヨンド・コロナ

マスク、ガウン、フェイスシールド、アルコール消毒液
ないものばかり
どうやって自分を守れるか
医師も看護師もくたくた
ひとり陽性が出ると、チーム全体が濃厚接触で自宅隔離
家で子どもにうつしたらと不安。怒り。
子どもが保育園でレッテルを貼られたらどうしようと不安。怒り。
寝る時間が少ないなかで、体も心もきつい
もう立ち上がれない
それでも患者さんのために、地域のためにと思って立ち上がる
せめて、地域は子どもを守ってください、お願いです

イタリアでは100人の医師が死んだ
不安、怖い。
それでも前を向いて立ち上がる
ビヨンド・コロナ コロナを超えて。

みんな同じ空気を吸っている
理解し合っていきたい
ソーシャル・ディスタンスで体と体は離れるけれど、今まで以上に心と心はつながりたい
アース・デイ・フェス。
人と自然のつながり、人と人とつながり、体と心のつながりが大切
離れて、つなかる 離れて、つながる

もっと安心できる
もっとやさしい
もっと相手のことを考えられる社会をつくりたい
ビヨンド・コロナ。コロナを超えて。

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2020年4月13日 (月)

アフター・コロナ

企業も、コロナ後のことを見据えると、発想の転換を強いられているように思います。
いま、日本のメーカーは中国に工場を置き、中国で製造する、という形が多くとられています。
しかし、命に関係するようなものは、日本でつくるような態勢を整えた方がいい。
このマスク不足のなかで、それをひしひしと感じています。

コロナの波は、世界それぞれの地域を時間差で襲い、いちばん最初に波を受けた中国ではその波が収まりかけています。
そのため、中国は生産態勢を強化し、マスクや人工心肺装置(エクモ)などを高値で売るビジネスをしていくでしょう。
日本でも、そうした命にかかわるものに関しては、国内で生産し、このコロナな波が下向きになって生産体制を整えられるようになったら、
安心できる日本の製品をつくれるようにし、日本人にも、世界中の人にも展開していくことができれば大きな貢献になる。
それが、いまコロナと闘いながら、やがてコロナ後の世界を生きていく戦略になるのではないでしょうか。

アフターコロナを意識しながら、自分はどう生きていくのか、企業はどう羽ばたいていくのか。
巣ごもりのこの時期こそ、しっかりと考えるようにしたいと思います。

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発想の転換

1か月先にピークが来て、そこから3か月程かけてなだらかに低下し、第一波の収束に向かっていくのではないか。
少し前まではそう考えていました。
しかし、緊急事態宣言が遅かったことと、その後、国と自治体の足並みが乱れたこと、舞台裏が見えすぎて国民に訴えかける力が足りなかったことなどで、ピークはもっと先になってしまったような気がします。

国は、行動を7~8割抑えることで、2週間で下がり始めると言っていますが、もうそんな甘い状態ではないのではないか。
緊急事態宣言を出した7都府県、その後、愛知や京都が続きましたが、ほかの自治体もじりじりと感染者数を伸ばしているのが気になります。
感染者数30、40という自治体でも、場合によっては緊急事態宣言を出して、感染者数の急激な増加に備えたほうがいいのではないか。
もう国が方向を示すのを待っている余裕はありません。
北海道が自主的に緊急事態宣言を出したように、自治体が「自分たちの地域は自分たちで守る」という気概を持って、いち早く決断したほうが、県民にも「この難局を乗り切ろう」という気持ちをもってもらえるのではないでしょうか。

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慶応大学で院内感染が出た矢先、研修医たちが飲み会をして感染者を20人ほど出したということについて、週刊誌などが批判しています。
軽率な行為で、批判はもっともだと思います。
ぼくが指導医だったら、研修医たちを怒鳴りつけるでしょう。
けれど、その後、しっかり自主隔離をして感染を広げないようにし、指導医と連絡をとりながら経過に注意するように伝えます。
そして、無事、陰性になり、抗体検査で抗体があることがわかれば、今度は、大学病院のコロナ最前線で患者さんを救命するよう、汚名返上のチャンスがあることを伝えます。
「まず、新型コロナウイルスに負けないで元気にもどってこい、活躍を期待しているからな」
2mのソーシャル・ディスタンシングを取りながら、気持ちの上では肩をたたくつもりで声をかけようと思います。

感染した人は、被害者でもあります。
ここまで広がってしまったら、だれが悪いとか後ろ指をさしていると社会が成り立たなくなります。
北陸の小学校の入学式で、新一年生の子どもが参加を拒まれました。
親がトラック運転手で緊急事態宣言を出した地域に運搬したというだけで、2週間の自宅隔離を命じられたのです。
とんでもない差別です。
コロナの時代に、差別を止め、安心の社会を築いていくには、発想の転換が必要だと思います。

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2020年4月12日 (日)

とにかく検査

大阪でも感染爆発が起こりかかっています。
地方都市も次々に数が多くなっています。
とにかく医療崩壊を起こさないためには、疑わしい人には早期にPCR検査をすることにつきます。
そして、症状が軽い人、安定した人には居心地のよいところで自主隔離をしてもらうのがいちばんいい。
経過観察の人を病院におけば、医療崩壊を早めるだけです。

病院の医師や看護師はかなり疲労困憊しています。
マスクがない、ガウンがないという状況で、フェイスマスクも消毒して再利用し、
N95マスクも壊れるまで使うという声を聞きました。

ちょっと油断をすると埼玉県のようになってしまいます。
早め早めに対応することが大事です。

 

4月上旬に長野日報にこんな取り組みが紹介されました ↓

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2020年4月11日 (土)

暗い隔離から、明るい隔離へ

東京都では一日の感染者数が10日、最多となる189人となりました。
東京都がPCR検査が一日300人前後。
しぼって、しぼって、しほっているしか思えません。
それで189人ということなので、実態は1000人を超えているのではないかと想像しています。

いつまでも検査をしぼって、隠れ感染者を見逃していれば、知らないうちに院内感染が広がり、
医療崩壊が加速してしまいます。
しかもマスクが足りず、再利用しているという状況のなかで、医療者は神経をすり減らし、疲労困憊しています。
にもかかわらず、政府は休業要請に後ろ向き。
PCR検査もやるやると言っていながら、その気配がいっこうに見えません。
この状況で、感染爆発を少しでも小さくするには、検査と隔離しかありません。
でなればイタリアやアメリカと同じようなことが起きてしまいます。
たった2つ、検査と隔離です。

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ぼくは、医療崩壊を起こさないために、陽性だけれど安定している人の隔離場所として、クルーズ船の活用を提案してきました。
東京ではホテルを活用するという方針を出しましたが、東京では地域とあまり密着していないため、実行しやすかったのかもしれません。
その点、地方では近隣の住民から反対が出る可能性があります。
クルーズ船では、陸から離れているので、そうした心配がありません。
隔離というのは、社会を守るために協力してくれているということ。
感謝すべき行為なのだと思い、その間はせめて居心地のよいところで過ごしてもらいたいと思うのです。

大事なのは、しっかりと医療とつながっていること。
最近、テレビ番組「カンブリア宮殿」で紹介されたジャパンハートのドクターたちは、
もしクルーズ船隔離が実現するなら、協力してもいいといってくれています。
症状が変化したらすぐに対応できるし、不安なことは専門家が答えるなど、精神的なサポートもできます。

暗い隔離から、明るい隔離へ。
居心地のよい客室で過ごすことができ、海を見たりするだけでも、気持ちが晴れ晴れします。
甲板などを散歩できるようにすればフレイル予防にもなります。
新型コロナが収まったら、クルーズ船の旅をしよう、というような明るい気持ちも出てくるかもしれません。

以前から、こうした案をクルーズ船の船会社に持ち掛けていますが、時間がかかっていますが、かなり前向きになっています。
一隻で成功すれば、日本にはかなりのクルーズ船があるはずなので、各地で医療崩壊を防ぐことができると思います。

いまは「離れて、つながる」ことが大事ですが、
陸から離れたところにあるクルーズ船隔離は、病院を救う一手になると思います。
クルーズ船も、この体験によって船員が感染症対策を習得し、
コロナ後には堂々と「社会貢献をした船」「安心の船」として胸をはることができるでしょう。

ビヨンド・コロナ。
コロナを超えて、発想の転換をしていく必要があります。

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2020年4月10日 (金)

遅い、緩い、貧弱

10日前に緊急事態宣言を出していたなら、と悔やまれます。
PCR検査をしていないために実態がわからないだけで、すでに感染爆発を起こしている可能性が高い。
遅いのです。

埼玉県の陽性者が入院できず、家族の間で感染している事例があるのが気になります。
ある意味、医療崩壊といっていいのではないか。
岐阜県のクラブでのクラスターは、34人の陽性者を出しました。
そのなかにはドクターもいました。
院内感染を起こす可能性もあります。

感染爆発を防ぐには、できるだけ厳しく行動を制限することが大事ですが、
今のままでは行動を8割抑えるというのは、とても難しいように思います。
「ステイ・ホーム」と言っていながら、居酒屋を開けるというのも、矛盾しています。
緩いのです。

ぼくは46年間、健康づくり運動で「行動変容」という言葉を使って、
身に付いた生活のパターンをどうやって変えてもらうか、常に考えてきました。
毎日の食事で、どうやったら塩分を減らせるか、
運動を続けるにはどうしたらいいか、といったことです。

しかし、政府と自治体がバラバラになっていたら、国民は何を信じていいかわからず、
行動変容を起こすことができません。
首相があれだけの演説をして、緊急事態宣言をしたにもかかわらず、その宣言が生きてこないのです。
ぼく自身は、厳しい制限をしたほうがいいと思いますが、
閉店を呼びかけない方向でいくなら、緊急事態宣言の前に、自治体と話しておくべきだったと思います。
これだけ国民が血を流しているのに、無駄な血のような気がします。
政治家さん、もっとしっかりしてほしい。

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そして、貧弱。
108兆円も投入するというのに、国民は安心が得られません。
自分がもらえるのかもらえないのかわからず、政府を信じられないのです。
もっと目に見える形で、お金を買ってもらいたい。
例えば、ばらまくのではなく、未来への投資として、小学から高校までの子どもたちに一人一台のパソコンやタブレットなどを支給する。
当面は、まずホームルームなどをして、徐々に授業ができるようにしていき、将来的には子どもたちの可能性を引き出す・・・・これは先日も書きました。

今は、感染爆発を防ぐことがいちばんの狙い。
だとしたら堂々と補償を提案しなければ、路頭に迷う人たちをたくさん出してしまいます。
遅くて、緩くて、貧弱。
今からでもネジを巻きなおして、いつまでも政府と東京都が角を突き合わせていないで、
新型コロナとの闘いにチームで当たらないと、国民は迷うばかりです。
もう一回、スクラムを組みなおしてもらいたいものです。

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2020年4月 9日 (木)

イラクでもマスク不足

JIM-NETの現地スタッフでバスラにいるイブラヒムから、少し前にメールがありました。
小児白血病棟にマスクがないので支援しほしいとのこと。

イラク政府が正確に感染者数を把握しているかわからないなかで、
保健省からのマスクや消毒薬が足りず、不安に思っているようです。

Img_2547 JIM-NETハウスができたときの式典で。真ん中がイブラヒム、左がバグダッドの現地スタッフのアブサリード

イランとの国境を閉鎖することを決めたが、治安が悪く、感染爆発を起こしているイランから国境超えてくる人がいるといいます。
JIM-NETでは、イラクに対するマスクや消毒薬の緊急支援を決定しました。

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2020年4月 8日 (水)

子どもの未来を考えたい

新型コロナウイルスの感染爆発を防ぐために、緊急事態宣言が発令されました。
この状況では、いい作戦だと思います。
けれど、子どもについては心配なことがあります。
全国的にみると、学校が再開されたところもありますが、緊急事態宣言が出された首都圏などでは、休校するところも多く、
子どもの学習をどう支援するかというのが大きな問題になっています。

文科省では、「ICT教育」を2023年から導入しようとしているそうです。
ICTとは、Information and Communication Technology(情報通信技術)の略。
パソコンやタブレットなどを使い、情報化社会や子どもの多様性にあった教育を展開しようというもので、
その一つとして遠隔教育も含まれています。

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子どもたちは新型コロナ騒ぎの被害者。
どうしたら、この期間をプラスにできるのかずっと考え続けていました。
ぼくはパソコンに強くないので、子どもたちの教育に持ち込まなくてもいいのでは思っていましたが、
こうした状況になった現在では、とても重要なことに思えました。
108兆円もお金をばらまくということならば、小学校から高校までの子どもたちに一人一台、タブレットなどを持たせたらいいのではないか。
先生たちも慣れていないから大変だろうけれど、ホームルームからはじまって、順々にオンライン授業ができるようにしていったらいいのではないかと思います。

いま、子どもたちの貧富の格差は、教育格差につながっています。
しかし、一人一台タブレットを配って、だれもが自分に合った形で能力を伸ばしていけるような教育環境を整えることができれば、
この格差の固定を壊していけるのではないでしょうか。
将来、“コロナ世代”の子どもたちが成長して、豊かな才能や革新的なビジネスを起こす可能性だってあるのです。
文科省は、ICT環境を整えた新しい教育を考えているようですが、それを今、前倒しするのもいいと思います。
政治家のみなさん、考えみてください。

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2020年4月 7日 (火)

今夜11時「ワールドビジネスサテライト」出演します

本日 夜11時より
テレビ東京「【WBS】ワールドビジネスサテライト」に出演します。

新型コロナウィルスについて、
鎌田からのメッセージ、ぜひご覧ください!

 

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信頼できる政府になってほしい

ついに緊急事態宣言が発令されます。
かなり遅い、けれど、出すことになってよかったと思っています。
外出自粛要請には、罰則がないので、安倍さんの言葉の力が問われます。
特に、若者の心をつかめるかどうか。
我らが首相に期待したいと思います。

政府は108兆円規模の経済対策を実施するといいます。
日本の緊急事態宣言は都市封鎖ができませんが、都市封鎖に近い効果を上げるには、安倍さんの言葉ともに、休業補償が重要です。
今、出ている休業補償案はあまり明確ではありません。
もっとイギリスのように、3か月間、7~8割の給与を補償するというように、明確に言ったほうがいいと思います。
渋谷のライブで福島の人が感染してしまいましたが、主催者は「食べていけないのだ」と言っていました。
イベント関係者やフリーランスの人たちは厳しい状態に陥っています。
バーのホステスにも、パチンコ屋の店員にも安心して休業できるようにすれば、緊急事態宣言に協力してくれるのではないでしょうか。

安定した軽症の陽性者は、家にいるよりは、環境のいいクルーズ船で“自主隔離”をしたほうがいいと提案してきました。
厚生労働省の職員からも電話がかかってきました。
難しい問題がたくさんあるので、うまくいくかわかりませんが、厚労省の若い人たちが必死に取り組んでいるのがわかりました。

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とにかく、外出するのを8割減らす、そして、つねに社会的距離2mを保つようにすること。
この社会的距離の大切さも、安倍さんの言葉で語ってもらいたいと思います。

今は、命を守るために人と物理的に離れることが大事。
離れていても、SNSやスカイプ、電話などで、人とつながることができます。
今は「離れて、つながる」。
離れることが、未来につながります。

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2020年4月 6日 (月)

動きを8割減らそう

昨日5日、東京都の1日の感染者が143人を数え、都の累計感染者数は1000人を超えました。
感染経路不明の感染者が、一週間前に比べて3倍に増えています。
これは、もう感染爆発といっていい状態です。
PCR検査の数が少ないために数値は目立たないけれど、とんでもないことが起こりだしていると考えられます。

医療従事者の感染者は153人。
福岡がいちばん多く、次は東京。
大阪、兵庫も多くの医療従事者の感染を出しています。
院内感染が起った病院では、外来診療なども止まりはじめています。
これが続くと、がんや脳卒中などの治療ができなくなっていき、日本国民全体の命を守れなくなっていく可能性があります。

テレワークを進めている大企業もありますが、現場に行かないと仕事にならない人も多数います。
日本のテレワークの実施率は低いのです。
密閉、密集、密接の3つの「密」を避けようと訴えているのに、「夜の町」やカラオケ、ライブで、いまだに感染する例も出ています。

こうした新型コロナの感染の勢いを止めるには、人と接触する回数や動きを8割減らすこと。
できるだけ自宅にいる時間を長くし、外出したときはソーシャル・ディスタンスを2m程度保つように注意したいものです。
自分で自分の身を守るというのも大事ですが、もっと大事なのは、自分が感染を広げてしまう手伝いをしないことです。

ここ1か月が勝負。
この1か月、みんなが8割動きを減らせば、1回目のピークは下方へ向かうはずです。
そうやって急場をしのいだ後、中長期的にぼくたちの国はどう生きていったらいいのかを考えればいいのです。

感染拡大の緊迫したニュースばかり聞いていると、不安になり気持ちもすさんでしまいがちです。
イライラして批判や悪口を言いたくなったら、いちばんつらい人たちのことを想像することが大切です。
この巣ごもりの期間に、本を読んだり、家で音楽を聴いたり、ネットで映画を見たりして心を落ち着け、新しいウイルスとの闘いを通して、生き方を少し変えてみる。
その戦略を立てるための1か月にしてみたらいいと思います。

米国のジョセフ・ヤング駐日臨時代理大使は3日、ビデオメッセージを公開しました。
クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の日本の対応について、「米国人乗客は最高のケアを受けた」と述べ、謝意を示しました。
これまでぼくは、政府の方針にダメだダメだと批判してきましたが、
評価すべきこともあります。
厚生労働省は、安定した陽性者をホテルに移動できるようにマニュアルを整備し、東京都がさっそく決断しました。
とてもいいことです。
収入が大幅に減った中小企業に最大200万円、フリーランスを含む個人事業主に最大100万円を給付するというのもいいことです。
パーのホステスさんや風俗で働く人にもきちんと補償し、しっかり休業できるようにすることも忘れないようにしたいものです。

 

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2020年4月 5日 (日)

イラク駐在員/牧野アンドレ on 日テレ

JIM-NETイラク駐在スタッフの牧野アンドレ君が、
日本テレビ「the SOCIAL guest」で取り上げられました。

ジムネットの活動を担う逸材です。
楽しく、優しく、温かい人柄で、
難民キャンプでも大人気です。

イラクでの人道支援のあり方について、語っています。
ぜひご覧ください。

新型コロナ感染拡大が世界的に広がる中、
小児がんの子どもたちのサポートを続けています。

【日テレNEWS24 the SOCIAL】

人道支援 未来を切り開く”手伝い”したい
https://www.news24.jp/articles/2020/03/30/07617553.html

境界を越え共に働く 人道支援への関わり方
https://www.news24.jp/articles/2020/03/30/07617601.html

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コロナ後の新しい生き方

中国の武漢から始まったといわれる新型コロナ。
習さんの中国共産党が医師たちの警告を無視しなかったら、
こんな大事にはならなかったのではないでしょうか。
トランプさんのスタイルはディールには長けていますが、未知のウイルスとの闘いには向いてない。
アメリカは、トランプさんのハンドリングの間違いで、後手に回っています。
ブラジルのボルソナーロさんも、心配。
すでに8000人の感染者が出ています。イタリアやスペインを追いかけなければいいなと思います。

ぼくたちの国では、一強が長く続き、専門家が口出しできないようになっていました。
この一強という形は、何が起こるかわからない時代には破綻しやすいのではないでしょうか。
安倍さんもそれなりにがんばっているのはわかりますが、
国民の心を一つにまとめて引っぱっていく力があるかというと疑問に思います。
そういう意味で、自民党ももっと若い政治家が元気を出してほしい。
国民の気持ちを熱くさせるような、政治家が頭角を現してほしいと思います。

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ニューヨークのクオモ州知事が4/1の会見でこんなことを語っています。
「この状況は私たちに多大な影響を与えました。これを経験して、戻った「通常」はコロナ前の「通常」とは別物だと思ってください。
個人として、社会として、私たちは変形してしまったのです」

ぼくたちは新型コロナと闘いながら、どうやって立ち上がっていくのかという問題に直面しています。
しかし、その先に希望もあります。
立ち上がったとき、政治や社会、生活、仕事など、生きやすい形を選び取っていけるということです。

日本は、一人当たりGDPも世界競争力ランキングも幸福度ランキングも低迷していました。
コロナ後には、もっと幸福を意識できるようになればいいと思います。
働き方も、口先だけでない働き方改革が必要です。
いまはリモートワークを余儀なくされていますが、リモートワークにもいいところがあります。
業種、職種によっては、積極的にリモートワークを取り入れて、ワークライフバランスを整えていければ、もっと豊かな生き方ができる可能性があります。
いちばん変えたいのは子どもの教育です。
ネットを使った教育に、これまでそんなに価値を感じていませんでしたが、こうした状況になったとき日本が遅れていることがよくわかりました。
国はつまらないお金を使わないで、小学校から高校まで、一人一台パソコンやタブレットをもてるようにして、オンライン授業などもできるようにしたほうかいいと思います。
感染症の予防だけでなく、学習支援が必要な子や不登校の子どもにも学習の機会が広がるかもしれません。

コロナ後は、人と人がつながる大切さを再確認できると思います。
芸術の力の大きさも、しかり。
いま映画、演劇、舞台、音楽などの関係者、フリーランスのカメラマンやイラストレーターたちは、生きるのがやっとという状況に追い込まれています。
芸術は豊かな時代のぜいたく品ではありません。
人間が生きていくうえで必要なものという理解のもとに、アーティストを大切にする国になってもらいたいと思います。

所得がダウンした世帯に30万円を支給するというのは、いいことですが、医療従事者が非常に厳しい状況にいることも忘れないでほしい。
しかも、その家族まで、差別されている現実があります。
医療関係者の子どもが保育園で孤立しているという話を聞くと、なんとも悲しくなります。
「分断」ではなく、「協同」が大切です。
そして、新型コロナが世界中に広がっていくことを考えると、地球全体のあり方を考えないといけないと思います。

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2020年4月 4日 (土)

神風は吹かない

ブラジルのボルソナーロ大統領は、今頃になって集団免疫説を唱えています。
人口の6割程度がウイルスに感染することで抗体をもつ人が増えるという考え方ですが、
ワクチンがない現状でこれを実行するのは大きなリスクを伴います。
イギリスは当初、この考え方で進めようとして、1週間対応が遅れ、いま窮地に陥っていることを忘れてはなりません。

イタリアやスペイン、アメリカという世界の状況のみると、日本だけがそうした状況に陥らない、とは到底考えられません。
政治家は批判を恐れず、勇気をもって、今すぐ緊急事態宣言を出すべきです。
日本の緊急事態宣言は、今の法律では完全な都市封鎖にはなりません。
自重しながら、どうしても必要な場合は、最低限の移動ができます。
だからこそ、逆に早く発令したほうがいいのです。
早く緊急事態宣言を出し、そのうえでそれぞれの自治体の長が、各地域をどうすればいいか考えればいいのです。
それでも防げない場合は、与野党が協力し、罰則のある都市封鎖の法律を緊急に時限立法でつくる、という方法もあるでしょう。

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このまま緊急事態宣言を出さないでいると、人は移動し、感染は広がるばかりです。
関西の警察官が、剣道の稽古をしていて、10人が感染。
剣道は大きな声を出すので、飛沫感染の危険性が高いスポーツの一つです。
公務員がこれでは、示しがつきません。
飛行機の中で感染し、帰宅した後、沖縄と岡山でそれぞれ二次感染を起こした例もあります。
3月20日の渋谷のライブハウス「ロフトヘブン」では、有名人も、福島の50代男性も感染しました。
もう感染は市中に広がっているということです。

こうした状況が、穏やかに収まるなんてことは考えられません。
日本だけ“神風”が吹くということはないのです。
ウイルスは忖度もしてくれません。

一つだけいい情報があります。
いちばん猛威を振るっていたイタリアで、都市封鎖を徹底したことで、ピークが終わりかけている可能性があります。

一週間前に日本でも緊急事態宣言を出していれば、2~3週間の勝負で勢いを抑えられた可能性がありますが、
ここまで遅れてしまうと、1か月ほど続ける必要があると思います。
それでも、やらないよりはずっといいはず。
“神風”を信じるのではなく、緊急事態宣言で人の動きをとめて、ソーシャル・ディスタンシングを徹底することが今すべきことなのです。
神風は吹かない。神風を信じるな。

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遅い、遅い、遅い

「スピード感をもってやる」と多くの政治家が言っていますが、とにかくすべてが遅いという印象をぬぐえません。
やっと、安定した陽性者をホテルなどに出すというマニュアルが示されました。
ホテルが、こうした形で社会貢献してくれるのはすばらしいこと。
しかし、ホテルの周辺の住民からは反対の声が上がっているという話も聞きます。

ぼくは一貫して、クルーズ船を活用することを提案してきました。
日本でクルーズ船の活用に成功すれば、世界にいいモデルを示すことができます。
関西や九州などの自治体は、動き始めてみたらどうでしょうか。
少なくとも厚生労働省がやっと重い腰をあげてくれたことはとても評価していいと思います。

PCR検査の実施は相変わらず少ないまま。
医師の裁量で、検査を民間に自由に委託できるように、早く明確にすべきです。
医療関係者が一人でも感染してしまうと、その病棟のスタッフは2週間、現場から離れざるを得なくなります。
これは医療崩壊を加速させます。

医療関係者を感染から守るにも、N95のマスクも不足しています。
フェイスシールドやガウンなどはもっと少ないのが現状です。
こうした状況で、患者さんのPCR検査が自由にできないために、新型コロナ以外の患者さんを診ているうちに感染してしまう危険性にさらされています。

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もう一つの医療崩壊の芽も出始めています。
開業医の外来の患者数が、前年に比べて3割くらい減っているそうです。
新型コロナの影響で、胃カメラや耳鼻科領域のカメラなど、急がない検査は3月に入って止めている病院が多いと聞きます。
病院は、経済的にも困難な状況に陥りだしているのです。

アベノマスクを配布するお金で、医療機関にゴーグルやガウンなどを配ってほしいと思います。
世界の感染者は、50万人になるのに76日かかりましたが、50万人から100万人になるのにたった8日間でした。
このスピードを、政府は意識するべきです。
安倍さんにはできるだけ早く緊急事態宣言を出してもらい、専門家も医療者も国民も、みんなが一丸となって闘わなければいけません。
今、人の動きをとめなければ、陽性者の増大をとめることができません。
今が最後のチャンス。
早く、早く、早く、手を打ってもらいたい。

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2020年4月 3日 (金)

最悪に備え、今打つべき一手

今、多くの医療施設が瀬戸際で踏ん張っています。
東京では、永寿総合病院で感染者が100人を超え、そこから転院した患者さんから慶応大学病院に広がりました。
国立がんセンターでも、取手市の病院でも院内感染が報告されています。
千葉の福祉施設は58人という大きなクラスターができました。
北九州市の病院でも院内感染が発生しています。
PCR検査をしていないため、病院や施設は感染のリスクを抱えながら、神経をすり減らし、疲弊しています。

こうした状況で、医療崩壊を起こさないようにするには何が必要か。
安倍さんがすべきことは、各家庭に布マスク2枚を配ることではありません。
病院は、経過観察の感染症の患者さんをみても、とても低い医療収入しか得られません。
きちんと新型コロナの患者さんを診ていくには、重症者のベッドに600万円、中等度者のベッドに400万円、軽症の人に200万円というように、
具体的な支援をすることが重要です。
医療崩壊を起こさないために、ベッドの確保と人工心肺の確保、医師の裁量でPCR検査ができるサポート態勢をつくるべきです。
ぼくはもう一か月半も同じことを言っていますが、何も進んでいません。
体たらくとしかいいようがありません。

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そして、今すぐに打たなければいけない一手は、緊急事態宣言を出して、本気で人の動きをとめ、ソーシャル・ディスタンシングを徹底的に守ること。
感染の状況をみると、里帰りした若者が、あまり発生していない地方にクラスターを作ったり、大阪では再び、繁華街で感染したと思われるような感染者が多くなってきています。
これだけ注意しているにもかかわらず、渋谷のライブハウスでクラスターも起こり始めています。

緊急事態宣言を出して、3~4週間、徹底的に人の動きをとめれば、感染の広がりはだいぶ抑制されます。
自己再生産数(感染力)が1.7から1.3くらいに抑えられれば、感染者数の増加のカープはゆるやかなになっていくことが予想できます。
3週間あれば、その間に、治る人は治ります。
重症の人は、病院で集中的に治療します。
それには、安定した陽性者はホテルやクルーズ船、オリンピック村などで居心地のよい状況のなかで、自主隔離をしてもらう、といった準備もしなければなりません。

遅れた緊急事態宣言は傷口を広げるだけ。
「最悪の事態に備え、最良の事態を期待する」
これは、19世紀のイギリスの首相ディズレーリの言葉です。
必ず新型コロナウイルスに克つという最良の事態を期待しながら、最悪の事態に備えることが求められています。

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2020年4月 2日 (木)

日本の医療システムを守るために②

医療崩壊を起こさないために、もう一つ大事なことがあります。
軽症の人や、治療が終わってPCR検査で陰性になるのを待っている人たちを、ゆるやかに隔離する場の確保です。
生活権や人権が守られ、居心地のよいところで隔離することが大事です。
外国から戻ってきた人たちが検疫をすり抜けている可能性が高いことも考えると、
帰国者を2週間、隔離できる場所を、国がきちんと用意したほうがいいと思います。

その隔離の場として、いま運航していないクルーズ船を使えないかと相談をもちかけています。
世界中のクルーズ船は、ストップがかかっています。
ここに医師や看護師らが乗り込んで、ゆるやかな隔離をし、少しでも体調が悪化したらすぐに病院に送るというシステムができれば、
感染症指定病院やそれに準ずる病院の負荷を減らすことができるでしょう。

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クルーズ船はいつまでも停泊しているわけではなく、事態が収まれば必ず運航を再開するときがきます。
そのときにに備えて、乗船員たちに感染症に対する教育をしておくことは、乗船員の命を守ることだけでなく、クルーズ船のビジネスを破綻させないためにも重要です。
クルーズ船が医療崩壊を救うための受け皿となって社会貢献をすれば、関係者たちもきっとうれしいのではないか。
腹を割って話していけば、十分に実現できると思っています。

クルーズ船の強みは、移動できること。
これから日本で何か所かに飛び火をして感染爆発が起きたとき、必要な場所に移動することもできます。
新型コロナウイルスとの長期戦のなかで、クルーズ船は大きな社会資源になると思っています。

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日本の医療システムを守るために①

心肺停止で救急搬送された0歳児が、新型コロナ陽性だったというニュースに驚きました。
両親は、PCR検査が陰性ということで、どうやって感染したのかとても不思議です。
ぼくが主治医だったら、心肺停止で蘇生した0歳児に、PCR検査をすることができただろうかと考え込んでしまいました。

脚本家の宮藤官九郎さんは腎盂腎炎で治療していて、新型コロナに感染していることがわかりました。
腎盂腎炎の患者さんに、PCR検査をした主治医はすばらしいと思います。

この国では、世界の流れと離れて、PCR検査を極力しない方向でやってきました。
PCR検査をしないことが医療崩壊させない要因であると言うコメンテーターもいます。
しかし、この2例を考えただけでも、すでにどこから感染したかわからないくらい新型コロナが広がっていることが予想できます。
病院では、交通事故や心筋梗塞など多くの患者さんを診ますが、その患者さんが知らない間に感染している可能性がいよいよ出てきているのです。
こうした状況で、病院の機能を守っていくためには、臨床医が少しでも怪しいと思った患者さんに、検査できるということが重要だと思います。
それは、医師や看護師の命を守ることにもなります。
医師や看護師が感染してしまえば、患者さんにも広げてしまうことになり、医療崩壊が起こります。

iPS細胞の山中伸弥先生が、先日、新型コロナについてのホームページを開設しました。
そこで、PCR検査を徹底する必要があると提言しています。

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WHOの事務局長は昨日、ヨーロッパの感染のピークは1~2か月先と言っています。
日本もかなり長い闘いになるということを考えないといけません。
なのに、国内にどれくらい感染が広がっているのかわからないのです。

イギリス政府は大規模な抗体検査を行うと表明しました。
感染率を正確に把握するために必要だ、とWHOの事務局長は評価しています。
ぼくも再三述べていますが、抗体検査を使って疫学調査をしたほうがいいと考えます。
そうすることによって、政府も専門家も、もう少し科学的な分析をもとにして、対策を立てることができるでしょう。

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2020年4月 1日 (水)

感染爆発を起こさないために⑧

政府がなかなか踏み切ることができない緊急事態宣言。
安倍さんが悩むのもわかりますが、このまま出さずに、日本だけ神風が吹くとでも思っているのでしょうか。
いつか出すのなら、被害を最小限にするためにも早く出したほうがいいと思います。

アメリカの感染例で多いのは、30~50代。働き盛りの人たちが多く感染しています。
日本では、京都産業大学の学生が小集団感染。
松山ではお通夜やお葬式で発生しています。
東京でも多いのは20~30代。
中国では、いちばん多いのは20代です。

専門会議や政治家たちが、この20~50代の人にきちんと理解と納得を得ないかぎり、緊急事態宣言をするしかないのではないか。
緊急事態宣言を望んでいるわけではありませんが、今のリーダーたちの演説力では国民を一つにするのは難しい。
残念なことだと思います。

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専門家会議が示すソーシャル・ディスタンスも、もう少し広げたようがいいように感じています。
ぼくが代表をしているJIM-NETでは、リモートワークに変更。
どうしても事務所に行かなければいけないときには、通勤ラッシュ時間を避けるように指示しました。

月刊誌「おはよう21」で福祉施設を訪ねる連載をしていますが、双方向のテレビで取材するように工夫。
月刊誌の対談も、スカイプで対談しています。
仕事の仕方、さらには生き方や哲学を変えていく時がきているように思います。

日本は一人当たりGDPも低く、幸福度ランキングも低い。
国の力が落ちている日本が、今回の新コロナを乗り越えながら、国の在り方を変えていくことが大事だと思います。

それにしても国の新コロナ対策のスピードは遅い。
でも、あきらめるわけにはいかない。
少しでもいい国になるように、政治家にもっとがんばってほしいと思います。

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