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2020年4月26日 (日)

次に来る危機に先手を

この国の政治家たちは口だけ「先手」と言いながら、実際は後手に回っています。
まるで日本だけ神風が吹くかのように、PCR検査をしないというとんでもない選択をし、
安定した陽性者の隔離対応も遅れています。

安倍さんの布マスクが回収されたといいます。
このことに気を使っているのもおかしな話です。
不織布のサージカルマスクと布マスクでは、目の粗さがまるで違います。
基本的には目の詰まったサージカルマスクを国民に行き渡らせる仕組みを考えるのが政府の仕事だったはず。
マスクは大きさも大切です。
小さなマスクでは、感染者が咳をしたりしゃべったりするときに、スキマから飛沫が漏れてしまう危険性があります。
鼻から顎にかけてしっかりと覆われなければ、マスクの機能を果たさないのです。
日本政府は布マスクが好きなようだから、
また配り直すのでしょうが、せめて大きななマスクにしないといけないと思います。
それでも、ようやく医療現場にN95マスクやガウンなどの手配が始まったことは評価していいでしょう。

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しかし、すでに問題は変わりだしています。
マスクやガウンなどの資材は、最前線で闘っている大病院に配布されるのだと思いますが、
問題は小病院へも移り始めています。

大阪のなみはやリハビリテーションセンターの120人を超す院内感染はその一つの典型例です。
この病院では、陽性の看護師2人が上司の命令で勤務を続けていました。
とんでもないことです。
この上司の暴力的な命令は横に置いて、この事例には次なる危機が象徴されています。
つまり、感染症の専門医や感染症の認定看護師などを配置していない病院での危機が今後、大きな問題になっていくということです。

介護施設でも、陽性者が出たにもかかわらず、感染症指定病院のベッドの空きがないために、
施設内の別の空間で隔離しがら対応しているところがあります。
もともと介護施設では看護師の配置数は、病院より少ない。
しかも、感染症認定看護師のいる施設なんてほどんどないはずです。
回復期リハビリ病棟や療養型病棟を中心にした病院なども、感染症に対しては十分な防御システムができていません。

すでに危機は、大病院から小病院へ、医療から介護へ、大都市から地方都市へと移ろうとしています。
そして、ウイルスの感染から、不安という心の感染も広がっています。

こうした危機の変化を敏感に察知し、先手を打つ政治家の出現を期待したいと思います。
自民党の若手がグループをつくって物申すようになったのはとてもいいこと。
若手の政治家には感性や胆力を磨き上げて、この難局を乗り越えるために力を発揮することを期待しています。

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