最悪に備え、今打つべき一手
今、多くの医療施設が瀬戸際で踏ん張っています。
東京では、永寿総合病院で感染者が100人を超え、そこから転院した患者さんから慶応大学病院に広がりました。
国立がんセンターでも、取手市の病院でも院内感染が報告されています。
千葉の福祉施設は58人という大きなクラスターができました。
北九州市の病院でも院内感染が発生しています。
PCR検査をしていないため、病院や施設は感染のリスクを抱えながら、神経をすり減らし、疲弊しています。
こうした状況で、医療崩壊を起こさないようにするには何が必要か。
安倍さんがすべきことは、各家庭に布マスク2枚を配ることではありません。
病院は、経過観察の感染症の患者さんをみても、とても低い医療収入しか得られません。
きちんと新型コロナの患者さんを診ていくには、重症者のベッドに600万円、中等度者のベッドに400万円、軽症の人に200万円というように、
具体的な支援をすることが重要です。
医療崩壊を起こさないために、ベッドの確保と人工心肺の確保、医師の裁量でPCR検査ができるサポート態勢をつくるべきです。
ぼくはもう一か月半も同じことを言っていますが、何も進んでいません。
体たらくとしかいいようがありません。
そして、今すぐに打たなければいけない一手は、緊急事態宣言を出して、本気で人の動きをとめ、ソーシャル・ディスタンシングを徹底的に守ること。
感染の状況をみると、里帰りした若者が、あまり発生していない地方にクラスターを作ったり、大阪では再び、繁華街で感染したと思われるような感染者が多くなってきています。
これだけ注意しているにもかかわらず、渋谷のライブハウスでクラスターも起こり始めています。
緊急事態宣言を出して、3~4週間、徹底的に人の動きをとめれば、感染の広がりはだいぶ抑制されます。
自己再生産数(感染力)が1.7から1.3くらいに抑えられれば、感染者数の増加のカープはゆるやかなになっていくことが予想できます。
3週間あれば、その間に、治る人は治ります。
重症の人は、病院で集中的に治療します。
それには、安定した陽性者はホテルやクルーズ船、オリンピック村などで居心地のよい状況のなかで、自主隔離をしてもらう、といった準備もしなければなりません。
遅れた緊急事態宣言は傷口を広げるだけ。
「最悪の事態に備え、最良の事態を期待する」
これは、19世紀のイギリスの首相ディズレーリの言葉です。
必ず新型コロナウイルスに克つという最良の事態を期待しながら、最悪の事態に備えることが求められています。
| 固定リンク