実効再生産数を下げよう
新型コロナウイルスの基本再生産数は2.5といわれています。
基本再生産数とは簡単にいうと、感染可能な期間、一人から何人感染させるか、感染力を示す数字です。
はしかなどはとても高く、15前後といわれています。
感染の力は、習慣や環境の違いなどで、その数は変わってきます。
それを実効再生産数といいます。
日本人の実効再生産数は現在1.7と言われています。
欧米では2~4という学者もいて、欧米と比べて日本は低いことがわかります。
実効再生産数が1.7か、4かでは圧倒的に違います。
感染者はねずみ算式に増えていくので、一か月もするととんでもない差が出ることになります。
では、なぜ、日本は実効再生産数が低いのでしょうか。
手洗いをよくすること、初期のうちからマスクをする人が多いことと関係があります。
もしかしたら、アジア人は新型コロナウイルスに対して抵抗する力が少しだけ高い可能性もあります。
WHOではあまりBCGを評価していないようですが、アジアの国々ではBCGを接種しているところが多く、自然免疫を高めている可能性も示唆されています。
欧米に比べ、肥満の数が圧倒的に少ないなどの、健康の度合いも関係しているのではないかと推測しています。
新型コロナは、感染者数が増えたりワクチンを接種したりして、人口の60%が抗体を獲得していると、収束するといわれています。
この集団免疫率60%というのは、実効再生産数が2.5の場合で計算をしています。
もし現在の1.7から、さらにみんなが自粛生活を徹底すれば、集団免疫率がもっと低くても収束するかもしれません。
1.7から1.2へ下げることができれば、感染者数の波は平坦になり、医療崩壊は防ぐことができるでしょう。
専門家たちは獲得免疫にばかり注目していますが、少しでも実効再生産数を下げるために、
自然免疫ももっと大切にしたほうがいいと思います。
睡眠や食事、軽い運動をすることで、自然免疫は強化していきます。
資料の提供は、大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授の宮坂昌之先生
今、世界中で、感染の広がりを把握するための検査が行われ始めています。
ドイツのガングルト市で行われた抗体検査では感染者が15%、
スタンフォード大学の抗体検査では5~6%、
ニューヨーク州では14%、
都内のクリニックで行った50数例の検査では約11%
慶応大学が入院時の患者さんに行ったPCR検査では5~6%、
東京医科歯科大学の産婦人科で入院時にPCR検査をしたら、これは%ではありませんが、13人の妊婦さんが陽性でした。
ほとんど症状のない人に抗体検査やPCR検査をしたら、このように5~15%の陽性者が判明しています。
感染を抑制するためには、みんなが行動を自粛して接触機会を減らし、実効再生産数を下げることが重要です。
感染の伸びを鈍化させることができれば、注意しながら経済活動も再開できます。
経済を再開させながら、感染の発生を抑えていくことができれば、医療は崩壊せずに重症者に対応でき、そのうちにワクチンが開発されるはずです。
そういうストーリーのなかで、みんなが実効再生産数を下げることを心掛けることが重要です。
5月3日の「日曜はがんばらない」(文化放送、朝6.20~)は、ゲストに免疫の専門家、宮坂昌之先生をお迎えし、以上の話をさらに詳しくお聞きします。テレビでは聞けない話ですので、ぜひ、お聞きください。
| 固定リンク