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2020年4月17日 (金)

勇気と決断

イギリスの99歳の高齢者が、家の周りを歩行器で100周する挑戦を宣言し、新型コロナの治療に当たる医師や看護師らを支援しようとクラウドファンディングで募金を呼びかけました。
まだ途中ですが、なんと15億円の募金が集まったといいます。
もうすぐ100歳の人が歩行器を押しながら黙々と歩いている姿は、とてもかっこいいです。
そして、この男性の挑戦に拍手を送り、寄付をし、自分たちを守ってくれる病院に敬意を示す市民の姿を思い浮かべ、とてもうれしくなりました。
男性本人の社会に貢献しようとする意識がすばらしいし、フレイル予防もなります。
99歳の勇気と決断に拍手です。

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大阪市立十三市民病院は入院患者を他院に転院させ、新型コロナ専門病院にするといいます。
さすが大阪という感じがします。
感染症病棟で今まで結核を主に、少し新型コロナを診ていた病院が、新型コロナ患者を他の病院にお願いする代わりに、
結核患者を感染症指定病院から引きうけて、自分たちは結核を診るという形で任務分担を果たしていく決断をしたところもあります。
縦割りではなく、横に連携するいい例だと思います。

ぼくの母校、東京医科歯科大学では病院前にテントを張って、予約患者さん用にPCR検査などを行う態勢を整え、
大前提として新型コロナの重症患者さんを受け入れる態勢を整えています。
院内感染を防ぐためには、入院時、C型肝炎などの検査をしていますが、できるだけPCR検査をやったほうがいいので、この決断に拍手を送りたいと思います。
そして、職員たちへのPCR検査も前向きに検討しているそうです。
医療崩壊を起こさせないためには、本来こうあるべき。
すばらしいのは、抗体検査もするということです。
ずっと言い続けてきたことですが、抗体を持っていれば、リスクはゼロではないものの、感染の危険性が低下します。
さらに、精神科が、医療スタッフに対して精神的なサポートもするといいます。
検査や精神的サポートは、医師や看護師らが少しでもストレスなく働いてもらうには必要なことだと思います。

東京医科歯科大学では、術後患者や心筋梗塞、脳梗塞などでICUにいる患者さんたちをほかの病棟に移し、新型コロナの重症患者を受け入れる決断もしました。
そのためには、手術もある程度止めなければなりません。
20の手術室のうち17近くをストップし、緊急手術かいくつかの特別な手術のみとなります。
経営という視点からみると、とんでもなく大きなマイナスになります。
しかし、新型コロナの重症患者さんを診るという大学病院の役割に、責任を果そうという重い決断だと感じました。

医療の現場では、医療崩壊を防ごうとさまざまな勇気と決断が行われているのです。

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