医療崩壊は始まっている
PCR検査が相変わらず広がらない日本に対して、
WHOも、世界の研究者も、厳しい見方をしています。
感染症対策に当たっている専門家も、今、日本で市中感染がどれくらい広がっているのか、だれも言えないのです。
こんなことって、あり得るだろうか。
感染が始まった当初は、病院の態勢を守るためにPCR検査を抑制する必要があったかもしれません。
だから、ぼくも「少しずつでも、医師の裁量で検査ができるようにしなければ、院内感染が起こる」という控えめな表現で話してきました。
少し前、テレビなどで、クラスター班が英雄のように取り上げらた時期がありました。
テレビのコメンテーターたちも、韓国やイタリアわ批判しながら、日本はうまくいっているという論調でした。
まるで、日本には神風が吹くというような言いぶりでしたが、それは幻想にすぎないのです。
新型コロナは日本だけ特別に忖度なんかしてくれません。
感染経路不明の市中感染に対応する、次の段階が来ていたのに、いつまでも過去の成功にすがり過ぎました。
取手病院で3月27日、入院患者の70代男性が陽性となり、同じ病棟の入院患者や看護師ら20人が感染しました。
こうした状況が、福井や兵庫、福岡の病院、そこらじゅうで起きています。
一人でも医療従事者に感染すると、そのチーム全体が2週間は離脱しなければなりません。
ただでさえ数が不足しているところに、濃厚接触者となった医療従事者が自宅隔離となり、
少数になった医療従事者に、さらに大きな負担がのしかかっていきます。
特に看護師は3交代なので、深夜シフトを組むのはとても大変。
疲れ果てて離脱する人も続出しています。
こうした状況を、政治家も、テレビのコメンテーターもわかってほしいと思います。
このままPCR検査の抑制を続けたら、間違いなく院内感染が広がり、医療崩壊が起きてしまいます。
そういう意味では専門家も政治家も、大きな失敗をしたとしか言いようがありません。
東京ではすでに医療崩壊が始まっています。
救急指定病院が発熱者に関してPCR陽性かどうかわからないかぎり、診察の拒否をしだしているのです。
容体が悪化している患者を、40件も問い合わせないと受け入れ先が見つからない。
この状況は、もう医療崩壊と言っていいでしょう。
もう言い訳をしている段階ではありません。
すぐにでも、検査を拡充すべきだと思います。
2か月遅れてしまいましたが、今からでも遅くはありません。
PCR検査と抗体検査のそれぞれの特徴を踏まえながら、検査態勢を拡充すること。
各地で市中感染がどれくらい広がっているのかを明らかにし、そこからスタートすべきだと思います。
神風は幻想です。
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