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2020年5月

2020年5月31日 (日)

ジャストピース Justpeace

「Justpeace」について、JIN-NETの理事会で語らました。
辞書にも載っていない言葉で、平和はだれかを犠牲にしては成り立たない、公正に基づいた平和というような意味です。

新型コロナ感染も、公正さに欠けています。
ニューヨークでは、貧困層の多い地域で感染率、致死率が明らかに高くなっています。
それゆえに、感染拡大を止めるの時間がかかっています。
コロナの時代は、自分たちさえよればいいというわけにはいきません。
かかりやすい人たちがいる限り、感染は広がっていきます。
コロナを超えて、平穏な生活を得るためには、公正さが必要なのだと思います。

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もう一つ大事なのはグリーン・リカバリー green recovey。
食糧不足のために食べられない人たちが増大することは昨日、述べました。
緑の復興をしないと、飢える人も増えますが、気候変動も起こる可能性があります。
気候変動が起これば、さらに作物の収穫が悪くなっていきます。
ドイツのメルケル首相は、コロナ後の景気刺激策を打ち出す際には、気候変動の視点がより重要になると釘をさしています。
とても大事な視点だと思います。

日本では「空前絶後の経済支援」といいますが、大きなお金を投入しても、その後ろに公正な平和や、緑の復興という哲学がまったくみられないのが残念です。
こんなに大胆にお金を使えるチャンスはそうそうありません。
困っている人にきちんとお金が届くようにしながら、政治は、コロナを超えた新しい社会をもう少し意識をしたほうがいいように思います。
コロナ、コロナで、その場しのぎの政策を打つのではなく、この国がどんな国を目指しているのか、政治家はぜひ、示してもらいたいと思います。

 

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2020年5月30日 (土)

コロナで生き方が変わる

昨日、映画「もったいないキッチン」の話をしました。
日本の食品ロスは、あらためていかなければいけない問題です。

新型コロナのパンデミックで世界的な食料危機が起こり始めています。
小麦や米などの農産物は、出稼ぎ労働者などの人手不足になっており、まずは自分の国の食糧を確保しようと、輸出制限や囲い込みが起きています。
ロシアやウクライナ、ベトナムでは農産物の輸出に上限を設けています。
価格が高騰すると、食料が買えず、世界で2億6500万人が食料不足になるといわれています。
2016年に起きた食料危機は約1億人だったのに対して、2倍以上の規模ということになります。
日本でのコンビニの食料廃棄は26万トン。
コロナを超えて、食品ロスをなくす社会へ、生き方を変えていけたらいいと思います。

ぼくが代表をしているJIN-NETでは、人が集まるようなイベントを自粛しています。
にもかかわらず、寄付金が倍増しています。
一緒に活動をしている、日本でも有数のNPOのJVCでも、寄付金が多くなっているといいます。
風に立つライオン基金では、新型コロナによる介護崩壊を防ごうというプロジェクトで、マスクやガウン、医師の派遣、さだまさしさんや鎌田のメッセージなど、モノと安心を送ろうと取り組んでいます。
その活動に、すでに500万円近くの寄付金が集まっています。

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Img_2893 JIN-NETの活動の様子

日本では寄付文化が育っていないといわれてきましたが、自分自身が活動しにくい「巣ごもり」のなかで、いい活動をしているNPOを応援したいという人が多くなっているのではないかと思います。
いい空気が生まれ始めているように思います。

コロナ前の考え方、生き方には、完全には戻りません。
でも、その変化に、ぼくは期待しています。
ビヨンド・コロナ、コロナを超えて、もっとみんなが住みやすくなる時代がくるのではないかと思っています。

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2020年5月29日 (金)

鎌田實×︎池田香代子(4回)

高校の同級生で翻訳家の、池田香代子さんのYouTube番組
「デモクラシータイムス ~NIGHT CAP~」に出演しました。

全部で4回です。
リモート対談、ぜひご覧ください。

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【NIGHT CAP No1】コロナにめげてはいられない
https://www.youtube.com/watch?v=MeEcs1On5Ng

 

【NIGHT CAP No3】カマタクン、痩せた?
https://www.youtube.com/watch?v=zFv5UX2ZmvU

 

【NIGHT CAP No5 】ビヨンド・コロナ
https://www.youtube.com/watch?v=Ikx6G_1oiek&t=83s

 

【NIGHT CAP No7】コロナにも認知症にもめげず カギは慢性炎症
https://www.youtube.com/watch?v=LlUJOtdS-Eg&t=3s

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コロナの今、忘れたくないこと

8月にロードショーされる映画「もったいないキッチン」を見ました。
ダービド・クロス監督自身が福島から鹿児島まで旅をしながら、日本が大切にしてきた「もったいない」を取り上げていきます。
日本の食品廃棄量は、年間643万トン。
もったいないという言葉がある一方で、世界でも有数の食品ロス問題を抱えています。
食品ロスというと、コンビニなどの消費期限切れのお弁当などがイメージされがちですが、廃棄食料の半分は家庭から出ているということです。
新型コロナの感染拡大予防が大きな関心事となるなかで、いろんなことがついつい忘れられがち。
食品ロスもその一つです。
買ったら使い切る。
腹ペコで買い物に行かない。
衝動買いは厳禁。
割引商品に飛びつかない。
賞味期限に惑わされない。
ぼくも、この映画をみて、
そんなふうに自分に言い聞かせるようにしています。
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もう一つ、忘れたくないのは、プラスチックごみ問題。
サージカルマスクも、ガウンも、石油製品からつくられる不織布です。
7月からスーパーのレジ袋が有料化され、みんなの意識も高まっていたはずでしたが、外出自粛で家庭のごみが増え、プラスチックごみも増えだしているようです。
ぼくたちは、新型コロナがパンデミックを起こすような社会をつくってきました。
オン・コロナからウィズ・コロナを経て、やがてコロナを越えていくとき、GDPは少し下がっても、お互いを大事にしながら、自然環境も守れるような社会にシフト・チェンジすることを考えたいものです。
新型コロナとの闘いは厳しいです。
北九州市でも、新たな感染の波の兆しが見えつつあります。
アメリカでは感染の勢いは止まっていないのに、社会経済活動を再開するところが出てきました。
テキサス州などは毎日1000人以上の新規感染者が出ています。
ビヨンド・コロナのことも考えながら、コロナの今は、とにかくソーシャル・ディスタンシングを忘れないことが大事だと思います。

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2020年5月28日 (木)

認知症に負けない生き方

新型コロナ感染拡大を防ぐために必要な物理的距離をとることが続くと、認知症になる人が増えるのではないかと心配しています。
しかし、認知症になったからといって、もうダメということは決してありません。
ジョン・レノンの妻オノ・ヨーコさんはレビー小体型認知症ともいわれています。
映画「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」でアカデミー賞助演男優賞を受賞したロビン・ウィリアムズは、うつ病やパーキンソン病で亡くなりましたが、レビー小体型認知症だったともいわれています。

知人の樋口直美さんは、認知症当事者としての本を書いていますが、最近も『誤作動する脳』(医学書院)という本を書きました。
幻聴や幻視があっても、彼女は負けていません。
認知症の友人、佐藤雅彦さんからは時々メールが来ます。
彼の言葉には、いつも刺激を受けています。
「役割がないと充実した人生は送れない」
「人の評価に惑わされない」
「一度しかない人生、失敗しても悔いはない」
どんな社会になったらいいと思いますかと聞くと、佐藤さんは、
得意なことを表現できる環境があること、といいます。
掃除が得意な人は掃除ができ、楽器演奏が得意な人は演奏を披露する環境があること。
離れる」だけが強調されたら、佐藤さんが望んでいるような社会はやってきません。
離れてつながることが大事です。
離れても、社会的役割をもつことが認知機能を保つことになり、認知症になってもその人らしい生を支えることになると思います。

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2020年5月27日 (水)

距離のとり方、つながり方

ハーバードメディカルスクールの論文によると、社会参加がなかった高齢者はアミロイドβの蓄積が増え、認知機能の低下も見られるといいます。
家族や友人と過ごす時間、ボランティア活動をしている時間などが、認知機能を保つにはとても大切だということです。

新型コロナとの闘いでは、3密を避け、ソーシャル・ディスタンスをとることが大事といわれています。
しかし、人との距離をとり過ぎて、人とのかかわりを失くしてしまうと、ハーバード大学の論文のように認知症リスクを高めてしまいます。

このジレンマをどう解決したらいいのか。
NHKのテレビ番組で、大阪府豊中市で高齢者の孤独死対策や引きこもりの若者の支援などを行っている勝部さんとリモートで話をしました。
勝部さんは、遠隔サロンをしたり、往復はがきを出したりしているとか。
往復はがきには、返事がいっぱい書かれて、返信されるといいます。
ぼくは、離れてつながるカラオケ大会などはどうでしょう、と提案しました。

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いろんな知恵を出し合って、人との物理的距離はしっかりとるけれど、社会的にはつながるようにしなければ、新型コロナとの長期戦のなかで、認知症になる人がたくさん増えていくだろうと思います。

中等度の認知症になると、介護を受ける期間は平均5年。
介護費用は約1000万円かかるといわれています。

フィジカル・ディスタンス(物理的距離)をとりながら、ソーシャル・コネクティング(社会的つながり)を保つにはどうしたらいいのか。
とても重要な課題です。

            ◇

30日(土)の午後3時から「大沢悠里のゆうゆうワイド土曜日版」(TBSラジオ)に鎌田實が出演します。
風に立つライオン基金での活動や、新刊『認知症にならない29の習慣』(朝日出版社)の話をします。

31日(日)の午前6時20分からの「日曜はがんばらない」(文化放送)
相方の村上信夫さんと、認知症予防のためのコグニサイズなどを一緒にやります。
村上さんは、上手にできるかな?

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2020年5月26日 (火)

コグニサイズしよう!

『認知症にならない29の習慣』(朝日出版)が発売5日で、三省堂神保町本店の趣味・生活コーナーのベストセラー9位になりました。
ありがたいことです。
まだ、あまり大きな広告がされていないなかで、いいスタートが切れました。

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昨日25日にラジオ「安東弘樹DAYS」(ニッポン放送)にリモート出演しました。
安東さんに29の習慣のうちのおすすめは何ですかと聞かれ、コグニサイズを紹介しました。
コグニサイズとは、コグニッション(認知)とエクササイズを合わせた造語で、国立長寿医療研究センターが認知症予防のために開発したものです。
認知症予備軍がコグニサイズによって40%改善したというデータも出ています。

ポイントは、息が軽く弾むくらいの運動をしながら、たまに間違えてしまうくらいの難易度の高い課題をすること。
これは試験ではありません。
間違えても恥ずかしがったりせず、笑って楽しみましょう。

安東さんに、高くももをあげて足踏みをしながら、一人ジャンケンをしてもらいました。
必ず右手が勝つようにするのがルールです。
安東さんは真面目に実践してくれましたが、4回目に間違ってしまいました。
このくらいの難易度が、脳にはいい刺激になります。

ほかにも、その場で足踏みをしながら、数を数えて5の倍数のときだけ声を出さずに手をたたくというのもあります。
初めはまごまごしますが、集中することができます。
もちろん、いい運動にも。
運動で体が温まると、リンパの流れがよくなり、自然免疫を高めるといわれています。

『認知症にならない29の習慣』には、コグニサイズだけでなく、毎日できる認知症予防について紹介しています。
ぜひ、買って、実践してみてください。

              ◇

池田香代子さんとのリモート対談の第3弾がアップされています。

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ナイトキャップ 池田香代子×鎌田實「ビヨンド・コロナ」

https://www.youtube.com/watch?v=Ikx6G_1oiek


新型コロナ感染症がもたらす「新しい社会のあり方」とは何か、「ビヨンド・コロナ」について語り合っています。

 

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2020年5月25日 (月)

サルコペニアを防げ

自粛生活中、運動不足になったり、たんぱく質不足に陥ったり、という人も多いのではないでしょうか。
そこで心配になるのが、サルコペニア。
サルコペニアは、筋肉量が減少し、身体機能が低下する病気で、フレイルや要介護状態につながります。

「指輪っかテスト」をしてみましょう。
椅子に座り、かかとをしっかり着いた状態で、ふくらはぎの最も太い部分を、両手の親指と人差し指で囲みます。

指が届かなければ、正常。
ちょうど指が届くくらいの場合は、筋肉がやせ、サルコペニアの可能性があります。
指が重なる場合は、すでにサルコペニアである可能性が濃厚です。

介護保険を必要とする原因の36.5%は、筋肉や骨に問題があるといわれています。
将来、高齢期を元気に過ごせるかどうかは、コロナの時期の過ごし方にかかわっています。
ぜひ、スクワットとかかと落としをし、たんぱく質もしっかりとるようにしましょう。

茅野市が行っている「 #ちのエール! プロジェクト」に賛同し、新型コロナウイルス感染症を乗り越えるための応援動画を投稿しました。
自粛中のサルコペニアやフレイルを予防するために、鎌田式スクワットで運動不足を解消してください。
心も体も元気に、この困難を乗り越えましょう!


鎌田實の本やDVDもご参考に!

『鎌田式「スクワット」と「かかと落とし」』(集英社)

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『PPHピンピンひらり 人生100年時代をどう生きる』(JCF)6/3増刷予定

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2020年5月24日 (日)

この手に抱きしめたい

4月中旬 、加藤登紀子さんと、「Beyond Corona ~ビヨンド・コロナ~」と題して、「新型コロナウィルスに負けずに、どう生きていけばいいのか」を語り合うイベントをYouTubeで行いました。

 

その際、急遽作ってくれた加藤登紀子さんの楽曲「この手に抱きしめたい」が、たくさんのアーティストの方々を巻き込んで、すてきなプロジェクトとなりました。

 

「♯こころハグ この手に抱きしめたいプロジェクト」

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お知らせ

5月25日(月)の「安東弘樹DAYS」(ニッポン放送、13時~)
鎌田實が生出演します。
『認知症にならない29の習慣』(朝日出版)に書いた認知症予防の習慣やコロナに負けないための7つの習慣について、
また、風に立つライオン基金の活動の話などをします。

ぜひ、聞いてください。

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おいしく食べて、認知機能を守る

新型コロナの第一波が終わった後も、小さな波が起きて、第二波、第三波も起こる可能性があります。
そうした生活が1、2年続くと、増加が予想されるのが次のようなものです。

①認知機能の低下、認知症
②肥満
③高血圧
④メタボリックシンドローム
⑤フレイル(虚弱)
⑥アルコール依存症
⑦ゲーム依存症
⑧不眠症
⑨うつ病
⑩自殺

認知機能の低下を防ぐためには高血圧や肥満、メタボを予防したり、フレイルを予防することが大切です。
そのためには運動と食生活、そして何か夢中になってできることをして、脳を活発に動かすこと。
ぼくは食べることが大好きなので、肥満に注意しながら、次のようなものを食べています。

・卵を一日2~3個
卵に含まれるコリンは、神経伝達物質アセチルコリンの材料になります。
たんぱく質も多く、フレイルの予防にもなります。

・野菜たっぷりの具たくさんみそ汁
アルツハイマー病も慢性炎症が関係しています。
野菜には抗炎症作用のあるリコピンやβカロテンが含まれるので、野菜をしっかりとるために野菜をたくさん入れたみそ汁を飲んでいます。

・牛乳+バナナ+野菜ジュース
よい睡眠習慣をつくるには、朝、太陽の光を浴びること。
太陽の光を浴びるとセロトニンが分泌され、セロトニンは夕方、睡眠誘導物質に変化します。
セロトニンの材料になるトリプトファンは、牛乳やバナナに含まれているので、ぼくは野菜と牛乳、バナナをジュースにして飲むようにしています。
カルフォルニア大学の研究では、50~60代ときに睡眠の質が悪いと、βアミロイドが沈着して、認知症のリスクが上がるとしています。

・青い魚、赤い魚
イワシやサンマなどの青い魚にはDHAやEPAなどのいい油が含まれています。
サケやエビなどの赤い色素アスタキサンチンは、脳血液関門を通過して脳に届く抗酸化パワーがあります。

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詳しくは『認知症にならない29の習慣』(朝日出版)に書きました。
ぜひ、お読みください。

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2020年5月23日 (土)

お知らせ

5月24日(日)の「日曜はがんばらない」(文化放送、朝6時20分~)に、さだまさしさんがゲスト出演します。
さださんとぼくは、風に立つライオン基金で、コロナ最前線の医療や介護の現場にマスクやガウンを送る活動をしています。
その活動の様子や、さださんの新しいアルバムについてお話をうかがいます。

26日(火)は「なないろ日和!」(テレビ東京、朝9.26~)に出演します。
ぼくの出演は9時59分ごろから。
スクワットとかかと落としを実演します。

ぜひ、ご視聴ください。

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自然免疫を上げる習慣

ぼくが住んでいる諏訪盆地(岡谷、諏訪、茅野、富士見など)では、新型コロナ陽性の入院患者はゼロになりました。
ぼくの知る限りでは茅野市では一例も発生していません。
全国的にみても、入院患者はピーク時8711人でしたが、2761人に減ってきています。
オン・コロナから、ウィズ・コロナへとシフトしています。
新型コロナの感染を防ぎながら、どのように社会経済活動を始めていくか。
茅野市の飲食店組合の代表と諏訪中央病院の医師が、安全に外食を楽しむにはどうしたらいいか、話し合いを始めています。

ぼく自身は免疫にこだわった生活をしています。
免疫には2つの仕組みがあります。
外から入ってきたウイルスなどに対して、まず自然免疫が対応します。
その後、自然免疫の刺激によって獲得免疫が働き始めます。
ワクチンなどを接種して、抗体ができれば、もっとも頼りになる抵抗力になります。
しかし、世界中の人にワクチンがいきわたるようになるには、まだまだ時間がかかります。

新型コロナの性格も徐々にわかってきました。
SARSなどの他のコロナウイルスに感染した人は、新型コロナウイルスの抗体はもっていないものの、
獲得免疫のなかのヘルパーTリンパ球やキラーTリンパ球などが活性化されていて、
免疫記憶をもっていると推測されています。
もしかすると、日本や他のアジアの国々で新型コロナの死亡率が低いのは、かつてかぜに近い、重症化しないコロナウイルスに感染している経験があるのかもしれない、とぼくは勝手に想像しています。

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ワクチンのない今、いちばん大事なのは自然免疫です。
これが元気で活性化していると、抗体もつくりやすくなります。
もし感染しても、抗体がしっかりできて、ウイルスを攻撃してくれます。
もちろん、ヘルパーTリンパ球やキラーTリンパ球も活性化します。
自然免疫は、血管やリンパ管のなかをリンパ球がパトロールして、ウイルスを見つけると食細胞が食べてくれるという仕組みです。
100万個以上のウイルスが侵入しないと、感染しないというのは、この自然免疫の力が大きいのです。

少しでも自然免疫を上げるために、ぼく自身が行っているのは次の4つです。

①朝の太陽と朝食で、一日のリズムを整える
夜更かしや朝寝坊になって一日のリズムが乱れると、自然免疫力も低下します。
ぼくは毎朝、同じ時間に起きて太陽の光を浴び、朝食を食べることでリズムを整えています。
②入浴と運動で体を温める
リンパの流れをよくするには、体温を高めること。
そのために、軽い運動をすることと、夜、ゆっくり湯舟に浸かって体を温めることを心掛けています。
スクワットとかかと落としは室内でもできるのでおすすめです。
③よく笑って、ストレス解消
イライラが続くとストレスホルモンといわれるステロイドが分泌され、自然免疫も低下します。
周囲の人と良好な関係を保つためにも、笑いは大切です。
④発酵食品と食物繊維を意識して食べる
腸の健康を保つため、善玉菌を増やしてくれる発酵食品や食物繊維をとるようにしています。
食物繊維は野菜に多く含まれているので、野菜は一日350gを目標にしています。

新型コロナとの闘いは長丁場になることが予想されています。
新型コロナだけでなく、かぜやインフルエンザなどにかからないように、自然免疫を整える習慣を身に着けることをおすすめします。

 

 

 

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2020年5月22日 (金)

口を堅く!

実効再生産数は、全国の多くの都道府県で0.3くらいに下がり始めました。
心配していた神奈川県でも0.37。
東京でも、北海道でも下がっています。

重症患者数も順調に下がっています。
全国の人工呼吸器の患者数は324から170に。
東京では88から42人になりました。
エクモの患者は、全国で63から21になり、
東京でも19から5に減っています。

北海道でも、福祉施設にいた陽性者が少しずつですが、病院に移り始めました。
入所者と職員が87人感染した札幌の老健では、全国から看護師や介護士が応援に入り、改善の方向に向かっています。

小島勢二元名古屋大学医学部小児科教授が、テレビで、台湾とドイツの報告を説明していました。
小島先生は、小児白血病のCAR-T細胞療法を行っており、
イラクの白血病の子どもを治せないだろうかということで交流が始まりました。
名古屋小児がん基金の創設のときには、記念講演に行ったこともあります。
そんなおつきあいがあったので、直接、電話をしてお話をうかがいました。

台湾の論文では、新型コロナが感染を起こしているのは、発症する前から発症後5日で、6日後からは感染者を出していない、ということです。
ドイツでは、PCR検査ではなく、ウイルスを分離培養していますが、
8日後にはウイルスが検出されないといいます。
発症してから8日間でウイルスがなくなるということです。
PCR検査で再陽性するという例がありますが、陽性と出ても、ウイルスに感染する力がなくなっていると考えられます。
だとすれば、隔離期間は8日間、安全粋を考えて10日とし、PCR検査の余裕がないときは、二度目の検査はしなくてもいいのではないか。

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問題は、いちばん感染させてしまうという、発症の前後2日の計4日間。
発症前に、検査で見つけるのはなかなか難しいことです。
そうすると、やはり、自分が感染していて、人にうつすかもしれない可能性を意識しながら、
しっかりマスクをすることが基本になります。
一昨日も書きましたが、新型コロナはインフルエンザと違い、せきやくしゃみが多いわけではありません。
ウイルスも鼻腔より、口腔内の唾液に多いということを考えると、今多くの人が守っているマスク着用を継続して徹底することが大事になります。
そして、外でランチを食べるときや、夜いっぱい飲むときなど、マスクを外すときには、人と距離をとるだけでなく、おしゃべりをしない、口を堅く、というふるまいが大事になります。
もちろん、換気も必要です。
スポーツなどでも、自分のつばを吐くような行為はしないこと。

そして、症状が出たら4日を待たずにすぐに発熱外来に行き、陽性なら8日間、ホテルか自宅待機を徹底する。
2回陰性になるのを待っていると2週間どころか1か月近くかかる人もいます。
でも、8日間でいいとなると、精神的な負担も少なくなるのではないでしょうか。

これからは、口を堅く!
口を堅くすることで、自由な生活を取り戻せる、そんな妄想、迷想をしています。

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2020年5月21日 (木)

認知機能を低下させるな

新型コロナとの闘いのなかで心配しているのは、メタボ、フレイル、認知症が増えるのではないかということです。
認知症といわないまでも、家に閉じこもっていると認知機能が低下しがちです。
日刊スポーツで全51回の連載をしていますが、認知機能を落とさないようにする生き方について書きました。
また、コロナの影響で遅くなりましたが、
『認知症にならない29の習慣』(朝日出版)もようやく昨日から販売されています。

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この本を書いたきっかけは2つ。
一つは、映画好きのぼくはラジオなどでよく映画の話をしますが、監督や俳優の名前がぱっと出てこないことに危機感をもったこと。
そこで、運動や食事、生活のパータンを改めて、認知症予防になる習慣を実践しはじめました。
もう一つは、日本の社会保障費の問題。
ある調査では、要介護度が重くなると、介護費用は一か月16万円、5年で約1000万円かかるといいます。
いま認知症は、予備軍の人も含めると約860万人いるといわれています。
この新型コロナウイルスの自粛生活と自然増でさらに100万人増えると、10兆円もの費用が必要になるといわれます。
認知症の社会コストは14・5兆円とはじき出している調査もあります。
自分自身が認知症になりたくないということ、そして、社会コストの問題という2つから、この本を書くことになりました。

新型コロナに負けない生き方と認知症予防は、実は共通項が多いのです。
認知症予防のために、野菜を食べ、運動をして、血圧や血糖値を上げないようにすること。
それは、新型コロナの重症化を防いだり、感染率を上げないようにすることに役立つと思っています。

緊急事態宣言が関西圏でも解除されるようですが、
第2波、第3波をできるだけ小さく抑え込むために、ぼくたちは上手に新型コロナとつきあっていかなればなりません。
そのときに、認知症予防も意識してもらえるといいなと思います。

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2020年5月20日 (水)

感染者ゼロの謎

岩手県では今も新型コロナの感染者が出ていません。
PCR検査は559件、すべて陰性でした。

なぜ、岩手県は感染者が出ないのか、その理由をどう考えるか、何人かに訪ねてみました。
人口密度が低いという人がいます。
たしかにそうですが、青森や秋田、山形も同程度です。
新幹線が通っており、他県との往来もあることも、他の地域と条件は変わらないように思えます。

宮古市のあるドクターは、理由は全然わからないと言った後、
笑いながら「口が堅い」。
2人で大笑いしてしまいました。
震災後、ぼくは何度も陸前高田に通っていますが、たしかに岩手県の人は物静かな印象がある。
特に中高年の男性は、必要のないかぎりずっと黙っている人がいるような気がします(笑)。
もちろん、半分、冗談ですが、
近い距離でのおしゃべりが、感染リスクを高めることはあながち間違いではなさそうです。

インフルエンザでは、鼻腔にあるウイルスが咳やくしゃみによって飛び散るという意識がありますが、
新型コロナは似ているけれど、少し違うような感じがします。
新型コロナでは唾液にウイルスが多く、鼻腔よりもウイルスが5倍多いという論文も出ています。
ライブハウスで観客も一緒に歌う、叫ぶ、剣道や柔道などのスポーツで気合を入れて大声を出す、クラブで近距離でしゃべる・・・といった状況で感染リスクが高いのは、口腔内の唾液が飛び散っているためと推測できます。
こうした新型コロナの特徴がもっと明らかになれば、PCR検査の方法も、現在の鼻腔の奥から採取する方法から、今後は口腔内の唾液で行う検査になっていくかもしれません。
少しずつ自粛を緩めて、暮らしや経済を回復していくときにも、重要な情報になります。
たとえば、食堂などで食べるとき。
注意すべきことは、人としゃべらないようにすること。
食べる前と後に手洗いをし、帰宅してからもう一回手洗いすることは大切ですが、食べること自体は問題ないのではないでしょうか。

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岩手県では、無症状の感染者などを見過ごしている可能性はありますが、PCR検査の結果では陽性者ゼロを保っています。
まじめな県民性があり、うつってはいけない、うつしちゃいけないという意識が高いことも、要因の一つかもしれません。
陸前高田のドクターは朝礼で、感染者がゼロもしくは少ないということは、抗体をもっている人も少ないということなので、
より気を付けようという話をしているそうです。
こういう意識が、県全体に広がっていることも、陽性者ゼロの要因になっているかもしれません。

ただ、一例目になることのプレッシャーはあるようです。
先日、岩手県知事がこんなメッセージを発信しました。
「陽性は悪ではない。
感染者は出ていいので、コロナかもと思ったら相談してほしい。
第一号になっても県はその人を責めません」
とても大事なことだと思います。

「スティグマ」といい、いま陽性者にレッテルを貼ってバッシングする風潮があります。
陽性者が非難されるような状況がつくられると、陽性者は隠れるようになり、それがかえって感染を拡大させる原因となってしまいます。
これでは、コロナの思うつぼです。
「陽性は悪ではない」という言葉は、岩手県だけではなく全国で、もう一度かみしめたい言葉だと思います。

陽性者ゼロの岩手県から、学ぶことは多いと思いました。

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2020年5月19日 (火)

新しい国の形

新型コロナのさなか、検察官の定年を引き上げる検察庁法改正案が出され、SNS上で異例の抗議が続きました。
この動きに対して、信濃毎日新聞の取材を受けました。
5/13の同紙には、
「国と国民の信頼を損ねる行為」というぼくのコメントが載りました。

そして、昨日、検察庁法改正、今国会の成立断念。
本日の信濃毎日新聞に載ったぼくのコメントはこうです。
「政府が国民と向き合おうとするこの感じは久しぶり。政治についてあきらめかけていた人たちも前を向けるのではないか」

新型コロナとの闘いは、長期戦になることが予想されています。
政治の力だけでなく、国民の協力がなければウイルスの勢いを止めることはできません。
ウイルスの勢いを止めなければ、経済の復興もあり得ない。
たくさんの命や健康、心に大きな犠牲を強いることになってしまいます。

国と国民との関係はどうあるべきか。
この新型コロナ禍から立ち上がるには、新しいモデルが必要なのではないか。
分断を進めてきたトランプ型のポピュリズムではなく、
自分たちの国さえよければいいというナショナリズムでもない。
誤解を恐れずに言えば、古臭く、形骸化した民主主義でもない。
選挙に行く人は6割程度、国民の3割程度が多数となってしまうような政治ではなく、
国民の声がもっと反映されるような仕組みをつくっていく必要があるのではないでしょうか。

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宇沢弘文の「社会的共通資本」を思い出しました。
宇沢弘文は、資本主義の不安定さを数理経済学で証明し続け、ノーベル経済学賞にもっとも近かった日本人ともいわれています。
晩年、宇沢先生に、地域医療について講演してほしいと言われたことがあります。
その内容は共著として「社会的共通資本としての医療」という本に収録されています。

医療、教育、交通、情報、物流。
それらは命や暮らしを支える社会的共通資本です。
このコロナ禍で航空会社などはしばらく厳ししい状況に追い込まれることでしょう。
日本のものづくりのサプライチェーンもしかり。
マスクやガウン、アルコール消毒液などが入手できない状況を考え直すべきだと思います。

宇沢先生は生涯、人々が平和に暮らせる世界の在り方を追究をしてきました。
今、宇沢先生が生きていたらな、と思います。
社会的共通資本を大事にした資本主義、のようなものができたら、
日本は今後数年続くと思われる厳しい状況を乗り越えて、もっと発展していくのではないでしょうか。
そして、このスタイルは、今の新型コロナとの闘いにもマッチすると思います。
その第一歩として、首相が自分の主張を取り下げたことは、とてもいいことだと感じました。

新しい国の形とは何か。
自粛生活中に、そんな妄想が膨れ上がっています。

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2020年5月18日 (月)

介護現場へ厚い支援を

4月下旬ごろは医療崩壊の心配がありましたが、緊急事態宣言のお陰で何とか急場をしのぐことができています。
今は、介護の現場を支援することが急務と考えています。

石川県の介護療養型療養病棟ではクラスターが発生し、74人が感染。
15人の患者さんが亡くなりました。
札幌市の老健でも入所者91人のうち、58人の陽性者が発生。8人の入所者が亡くなっています。
職員も19人感染しました。
数日前まで80人ほどの入所者が、同じ施設内でレットゾーンとグリーンゾーンに分かれて介護を受けていましたが、対策会議がつくられ、少しずつ陽性者が病院へ転院し始めているようです。
全国的にみると、介護施設での陽性者は700人以上(このうち職員の陽性者は226人)、死亡者は79人という集計が出ています。

風に立つライオン基金は、介護施設にマスクやガウンを送りつつ、感染対策のために医師や看護師の派遣を始めました。
奥医師や、ジャパンハートの野田看護師らが、ガウンの着脱の訓練をしています。

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5月21、22日は、ぼくが名誉院長をしているまちだ丘の上病院が中心になり、町田市内の介護施設などを対象に新型コロナ感染対策のオンライン相談を行います。
介護専門誌の「おはよう21」の取材も入り、誌面を通じて、全国の介護施設に情報を発信していきたいと考えています。
支援は「点」ではなく、「面」で展開していくことが大事と思っています。

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2020年5月17日 (日)

コロナ時代の認知症予防

自粛生活では運動不足や食生活の偏り、一日のリズムの乱れ、ストレスなどが多くなります。
高血圧や肥満、うつ病などが心配です。
そして、中高年では、要介護の原因となる、認知機能の低下やフレイルにも注意したいものです。

新型コロナから身を守り、認知機能の低下を防ぐには運動が大切です。
リンパ管の中を流れているリンパ球は、ウイルスなどの侵入から身を守っています。
この自然免疫のはたらきを高めるには、少し体温を上げてリンパの流れをよくすること。
それには、運動がとてもいいのです。
また、運動で筋肉を動かすと、筋肉からマイオカインという物質が出て、認知症のリスクを下げるといわれています。

ぼくは、できるだけ運動不足にならないために、次のような運動をしています。

・速遅歩き15分・・・人のいないところで、速歩き3分+ゆっくり歩き3分を交互に繰り返しています。
・スクワット
・かかと落とし
・机立て伏せ・・・机に手をついて行う腕立て伏せ。床に手をつく腕立て伏せよりも負荷が軽い。
・腹筋

認知症予防には、人と積極的にかかわり、社会参加し、孤立しないことが大事です。
コロナ時代には、「離れて、つながる」が大事な作法となりました。
ぼくは、毎日、ズームやスカイプを使って、NPOの仲間と連絡を取り合っています。
その一方で、一人の時間を大事にして、本を読んだり、いろいろなアイデアを練ったりしています。


『図解 鎌田實医師が実践している 認知症にならない29の習慣』(朝日出版)が出版されます。

1か月前の出版の予定でしたが、新型コロナの影響で印刷、配本が滞り、ようやく5月20日に発売されます。
自粛生活では認知機能が低下しやすいため、急きょ、「コロナに負けない7つの習慣」も加筆し、特別収録しました。

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『認知症にならない29の習慣』では、
認知症のリスクを高める「慢性炎症」と「フレイル」を防ぐために大切な食事や運動、そして、脳がイキイキ活性化する生活や人生を楽しむ習慣を紹介しています。
どれも、もうすぐ72歳のぼくが実践しているものです。

コロナ時代の認知症予防として、役立つ一冊です。
ぜひ、お読みください。

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2020年5月16日 (土)

お知らせ

高校の同級生で翻訳家の池田香代子さんと、鎌田實のリモート対談の第2弾が更新されました。

デモクラシータイムス
ナイトキャップ「カマタクン、痩せた?」

YouTubeでご覧ください。
 ↓  ↓  ↓

https://www.youtube.com/watch?v=zFv5UX2ZmvU


明日17日(日)NHK総合テレビ、「明日へつなげよう ふるさとグングン!」(午前10時05分~)では、「集まれないけど つながる」と題し、新型コロナの自粛生活のなかで、もう一つの命の危機を防ごうとする各地の取り組みを紹介します。

中高年の人を支える地域の活動や子ども食堂、教育格差が起こらないようにする学習支援、秩父市の商店会での3密を防ぐための工夫・・・・。
自分だけでなくみんなの命を守りながら、さまざまな“集まれないけどつながる”形を取り上げています。

ぼくは、コメンテーターとして出演します。
たくさんのヒントにあふれた番組です。
ぜひ、見てください。

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悲観と楽観

一部解除にひっぱられ、日本全体が楽観的になるのが心配です。
まだまだ警戒が必要な東京、大阪。
特に、北海道は医療現場と介護現場が逼迫しています。

そんななかで2つの大国が、悲観的な数字なのに、楽観的な方針を出そうとしています。
どちらも、経済のために、国民の命をかけて危険をおかそうとしているような感じがします。
一つは、アメリカ。
アメリカは、136万9000人が感染し、8万2000人の死者を出しています。
もう一つはロシア。
ロシアは、イギリス、スペイン、イタリアを抜いて、世界2位の感染者24万人を出しています。

アメリカでは、感染対策の指揮をとっているファウチ博士が早期に経済活動を再開すれば感染が再び拡大するとして、反対しているにもかかわらず、トランプ大統領は解除に持ち込もうとしています。
そして、ロシアでは5/11、プーチン大統領が緩和宣言をしました。

日本チェルノブイリ連帯基金(JCF)の現地スタッフに聞くと、モスクワの感染の勢いは衰えず、医療関係者の死亡者も多い、防護服が少ないために院内感染を起こしている、とのこと。
また、今後はモスクワの大都市から、医療レベルが違う地方へと広がることを心配するドクターの声も聞かれました。

日本とロシアで共通することがあります。
それは、死亡者数の少なさです。
日本の死亡者は660人、世界の不思議といわれています。
PCR検査が少ないために、見落としがある可能性もありますが、重症者も少数に抑えられていることから、本当に死亡者が少ないと推測できるというのが、このところぼくがずっと言ってきたことです。

一方、ロシアの死亡者数は2200人。
これは、政府が少なく発表しているだけと国民は思っているが証拠がない、と前述の現地スタッフはいいます。
確かにその可能性も否定できませんが、日本も、ロシアも、死亡者数が少ないという現実は認めてもいいように思います。
なぜ、死亡者が少ないのか、理由はわかりません。

ロシアでは6週間厳しいロックダウンをしています。
日本では、人との接触機会8割減を目標にしましたが、実際には65%程度の減に留まりました。
より科学的で効果のある方法をきめ細かく行うことができれば、大きな副作用を伴うロックダウンはしなくてもいいのではないかと考えます。

たとえば、新型コロナの感染の大きな要因は、接触と飛沫といわれていますが、多くの呼吸器感染症のように、せきやくしゃみに注意すればいいというわけではありません。
通常のおしゃべりや大声で歌うことなどによって、唾液が飛ばされて感染が広がることにも、もっと注意すべきだと思います。
イギリスでは、感染者につばをはきかけられた駅員が亡くなりました。
感染を防ぐために、手洗い、3密を避けること、換気をすること、そして、もう一つ、おしゃべりをしないことも重要だと思います。

岩手県のドクターに、感染者ゼロを守り続けている理由をどう考えるか訪ねると、
「岩手県の人は口が堅い、おしゃべりしないんだ」とのこと。
2人で大笑いしました。
もちろん、ジョークですが、おしゃべりが一つの感染ルートになっている可能性は無視できません。

人とおしゃべりするときには十分、距離をとること。
そして、しゃべることと、食べることを一緒にしないこと。
人間にとって楽しい時間を制限させるのは残念ですが、コロナ時代には必要な生活様式になっていくと思います。

今後、飲食店も再開されるなかで、飛沫が飛ばないようにアクリル板などで仕切る、席の並びを工夫するというお店が出てきています。
換気も重要なので、オープンテラスなどで飲食するスタイルも積極的に取り入れて、感染予防をしていくことが大切です。

悲観的な現実を、ただ楽観視するだけでは必ず、感染は再燃します。
緊急事態を2度、3度繰り返すようなことになれば、経済もたいへんな状況に陥っていくでしょう。
そんな事態を避けるためにも、みんなで知恵を絞っていくことが大事だと思います。

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2020年5月15日 (金)

応援動画

母校・東京医科歯科大学で、新型コロナウィルスの最前線で闘っている医療従事者のみなさま、快復された患者のみなさまへ、応援動画を作成しました。風に立つライオン基金のさださましさんが、特別に「いのちの理由」という歌をうたってくれました。(これは、患者さんと医師、看護師だけが聞ける特別なものです)

詳しくは5月13日のブログ「あたたかな活動を支援」をお読みください

風に立つライオン基金への募金のご協力お願い致します。
新型コロナウイルス感染症対策 風の緊急特別応援
https://lion.or.jp/donation/

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映画が泣いています

「アンティークの祝祭」

大女優カトリーヌ・ドヌーブと娘キアラ・マストロヤンニが、劇中でも母娘として共演している。
人生の終焉を悟った女性が、「私の思い出を売ります」と、半生をともにしてきたアンティークの人形や絵などをヤードセールで売ってしまう。
自分の人生を振り返り、それらの大切な品々に救われた日々のことを思う一方、
それらと別れを告げる彼女に、自由に生きようとする強い思いが感じられる。
事故で亡くした息子を今もなお思いながら生き続けてきた母親の、魂の叫びのようなものも聞こえてくる。
深い映画だ。

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「朝が来る」

河瀨直美監督のヒューマンミステリー。
原作は辻村深月の直木賞、本屋大賞を受賞した深くて面白い作品だ。
日本は遅れているといわれている特別養子縁組。
一組の夫婦が、特別養子縁組で男の子を迎える。
幸せな日々が続いていたある日、産みの母を名乗る女性から「子どもを返してほしいんです」と電話がかかってくる。
命を大切にしたいと思いながら、傷つけあっていく。
最後はどんでん返し、人間を信じることができるような結末が待っている。
脚本、撮影も河瀨直美。
河瀨らしい映像が随所にみられる。
ミステリーに思わせないミステリー。

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「一度も撃ってません」

ハードボイルドコメディ。
74歳の伝説のヒットマン、実は、売れないハードボイルドを書いている小説家。
そんな役を、石橋蓮司が好演している。
桃井かおり、岸部一徳、柄本明、柄本佑、佐藤浩市、豊川悦司、妻夫木聡・・・・
信じられないほどの豪華キャスト。
かっこいいが、どこか抜けていて、笑いがあって、ジーンとくる。

Photo_20200515003601

               ◇

今回紹介した映画は、公開が延期になっている。
いい映画なのに、コロナが憎い。
早く映画館で好きな映画が見られるようになったらいいなと思う。
長野県ではいくつかの映画館が、客席を5分の1くらいにして密を避けながらオープンしはじめた。

39県で緊急事態宣言が解除されたが、解除後も徹底的に3密に注意しながら、感染者数が増えたらすぐに制限するなど、すばやい対応が大切だと思う。

 

 

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2020年5月14日 (木)

長期戦!太るな

緊急事態宣言が一部、解除されることになりました。
一気に緊張感が緩みだしています。
しかし、コロナとの闘いはこれで終わりではありません。
第2波、第3波がやってきます。
一喜一憂せず、俯瞰してコロナとの闘いを考える必要があります。

中国の論文では、年代別の致死率を出しています。
70代の致死率は8.0%
80代以上は14.8%
20代は0.2%

残念なことに、28歳の力士が新型コロナの多臓器不全で亡くなりました。
糖尿病の基礎疾患があったといいます。
糖尿病があると、感染しやすくなり、重症化しやすくなるといわれています。
WHOは、糖尿病がある人の致死率を9.2%と発表しています。

いま糖尿病のある人は、この長期戦のなかで、悪化させないことが大事です。
むしろ、これまで以上に積極的に食事療法と運動療法を行って、血糖値をコントロールしたいものです。

肥満も、新型コロナにはリスクになります。
BMI25以上は肥満とされていますが、欧米では30以上の肥満が多いといわれています。
ニューヨーク大学の論文では、BMI30以下の人に比べて、30以上になると新型コロナの死亡リスクが4.26倍増えるといいます。

糖尿病や肥満があると、アディポネクチンというメタボを改善してくれるホルモンが減り、
アディポサイトカインという炎症性の物質が多くなります。
そこへウイルスが侵入すると、サイトカインがウイルスを攻撃してくれるのですが、そのサイトカインが暴走すると、サイトカインストームが起きて肺炎が重症化するのです。
サイトカインストームは肺だけでなく、血管でも起こるので、腎臓や肝臓、心臓にも影響して、多臓器不全を起こすことがあります。
血管のトラブルも多くなるため、血栓ができやすくなり、場合によっては出血しやすくなります。
こうしたことから、糖尿病や肥満があると、若くて抵抗力がある人でも、多臓器不全という厳しい状態に陥ることがあるのです。

自粛生活では、ストレス、運動不足、食べすぎという、肥満になる条件がそろいやすくなります。
ぼくは毎朝、体重計に乗り、体重が増えないようにチェックしています。
太らないように、血糖値を上げないように、注意していきましょう。

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お知らせ

16日(土)長野放送(フジテレビ系)の「テレビ寺子屋」(午前5時30分~)で、
「にもかかわらずという生き方」が放送されます。

https://www.sut-tv.com/show/terakoya/backnumber/post_544/


17日(日)NHK総合テレビ、「明日へつなげよう ふるさとグングン!」(午前10時05分~)では、「集まれないけど つながる」と題し、新型コロナの自粛生活のなかで、もう一つの命の危機を防ごうとする各地の取り組みを紹介します。

中高年の人を支える地域の活動や子ども食堂、教育格差が起こらないようにする学習支援、秩父市の商店会での3密を防ぐための工夫・・・・。
自分だけでなくみんなの命を守りながら、さまざまな“集まれないけどつながる”形を取り上げています。

ぼくは、コメンテーターとして出演します。
たくさんのヒントにあふれた番組です。
ぜひ、見てください。

https://www2.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2020-05-17&ch=21&eid=04261&f=2381

 

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2020年5月13日 (水)

あたたかな活動を支援

母校・東京医科歯科大学では総力をあげて新型コロナ対策を行っています。
病院前にはテントを設置し、入院する患者さんたちのPCR検査を行い、院内感染を防いでいます。
今のところ、完璧に院内感染をコントロールできています。

東京医科歯科大学では、今まで重症患者74人をみてきました。
エクモの患者さんの救命率は80%。
日本では平均54%といわれているので、大変よい成績です。
中等症や重症の患者さんに対してリハビリも行っています。
患者さんの社会復帰のために重要なことですが、多くの病院ではリハビリまでする余裕はないと思います。

重症の患者さんは人工呼吸器をつけながら、座位姿勢で背中をタッピングしたり、関節可動域の訓練をしています。
中等症の患者さんには、理学療法士やリハビリの先生たちがかかと落としを指導している映像をみせてもらいました。

動画は近日中にアップします ぜひ、応援してほしいと言われ、ぼくが動画をつくることにしました。スクワットやかかと落としをすることは、血栓の予防やフレイルの予防になります。

風に立つライオン基金のさださましさんが、特別に
「いのちの理由」という歌をうたってくれました。
これは、患者さんと医師、看護師だけが聞ける特別なものです。

 

東京医科歯科大学では、精神科の先生が職員がコロナうつにならないように支え、緩和ケア病棟の医師が、患者の家族を精神的に支え、外科医、整形外科医、眼科医らはPCR検査に立ち合ったり、手一杯になっている看護師たちをバックヤードで助けたりしています。
施設もICUを全面的に改装し、合計4つの病棟を新型コロナの患者さんのために当てています。
感染の疑いのある人たちの入る病棟は、すべて個室にし、陽性者が陰性者に感染させないように徹底的に管理しています。
そんなコロナ最前線で闘う後輩たちに敬意をこめて、動画をつくりました。

風に立つライオン基金は、
新型コロナウイルス感染症対策 風の緊急特別応援 ということで募金をつのっています。
1200万円をかけて、病院や介護施設にマスクやガウンを送っていますが、お金が足りなくなっています。
ぜひ、応援をお願いいたします。

https://lion.or.jp/donation/

 

作成した動画は、近日中にこのブログにもアップして、
皆様にもご覧頂けるようにしようと思います。お楽しみに・・・。

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2020年5月12日 (火)

命、心、経済を守るために

ぼくはこのところずっと、重症者数と実効再生産数に注目しています。

新型コロナの人工呼吸器装着件数は、
全国ではピーク324から昨日の225、
東京ではピーク88から昨日53へと下がっています。
エクモは全国では63から33へ、
東京では19から7へ。
着実に、重症者数は減少してきています。

実効再生産数はどうでしょうか。
ドイツでは、少し解除したところで1.13になりました。
これが続けば、再び規制を始めるといっています。
イギリスでは1.0以下を明確な目標にしています。

日本の現在の実効再生産数は、Rt-Covid19 Japan都道県別新型コロナウイルスの実効再生産数によると、
北海道0.3
東京0.28
大阪0.47
多くの地域が0.5以下になっています。

重症患者数と実効再生産数の2点だけみると、緊急事態宣言は明らかに効果があったといえるでしょう。
しかし、これだけではまだ十分ではありません。
新型コロナ病床の空き状態と、その地域の介護施設で介護崩壊が起きていないかということを考えることがとても重要です。
ヨーロッパの死亡者の半数は施設入所者といわれています。
介護崩壊はそれほど怖いのです。
東京や石川ではベッド数の確保が難しいということで、もうしばらく自粛が必要でしょう。

医療崩壊や介護崩壊を防ぐには、検査が不可欠です。
いまデイサービスなどは休んでいるところが多いですが、デイサービスは長期的にみて、認知症予防や介護度を進めないためにとても重要です。
介護サービスを利用するときや、新たに施設に入るときには、せめて抗原検査をしたいものです。
できればPCR検査をしたいところですが、日本の現状から考えると恥ずべきことですが、難しい。
国が費用をもつ形で、せめて抗原検査を行い、日本の介護を守ることが必要です。

大学病院ではすでにPCR検査を行っているところもありますが、市中の病院では簡単にはできません。
せめて抗原検査を上手に活用することで、院内感染のリスクを減らすようにしたいものです。
そして、陽性者を見つけたら、施設を充実させて隔離生活を送ってもらうこと。
そうすることで、間違いなく死亡者数も陽性率も低下させることができるでしょう。

今のような厳しい自粛が続くと、うつ病や自殺者が多くなります。
感染の不安だけでなく、経済的な不安、困窮、家庭のなかに一気になだれ込んだ仕事と子育て、オンとオフがなくなったことによるストレス。
命だけでなく、心も、暮らしも疲弊しています。

アメリカではニューヨーク州だけで、重症者数が一日平均600人が新たに出ています。
日本で人工呼吸器やエクモが必要な重症患者は累積でも、ニューヨーク州の半数以下です。
これは欧米に比べて奇跡的数字といわれています。
そのことに自信をもって、
命を守ること、心を壊さないこと、経済を守ることの3つを念頭に、
明確な方針を示してもらいたいと思います。

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2020年5月11日 (月)

感染した人を大切にする空気

コロナ自粛が長引くなか、「我慢するのに疲れた」などという正直な声が聞かれます。
専門家は、現在の感染の波が収まった後も、第二波、第三波が来ることを想定しています。
その波を小さく抑えるには、しばらく感染予防を心掛けた生活を続けなければなりませんが、罰則規定のない自粛要請、しかも、接触を80%減らすという今のような自粛は何度もできないと思います。

でも、人との接触を50%にする、という程度ならできるような気がします。
そのために、やはり検査と隔離がカギになります。
陽性者をすべて見つけることはできなくても、かぜ様の症状や発熱があったら、すぐにPCR検査か抗原検査を行うこと。
そして、陽性者は居心地のよい、病院以外のところで過ごしてもらうように“隔離”を徹底すること。
この2つによって、陰性の人たちは経済活動を再会させていくことができます。
抗原検査は安定しないと否定する人がいますが、PCR検査ですら3割は陽性者を判断できず、陰性という結果が出てしまうといいます。
今後は、PCR検査と抗原検査を組み合わせて判断していくと専門家は話しています。

ぼくはずっと介護崩壊を心配してきました。
東京で24時間体制の在宅ケアをしているグループは、4人の陽性者をみているそうです。頭が下がります。

介護施設でも、陽性者の受け入れ病院が決まらず、全国で147人が施設内で療養しています。
施設内感染を広げないためには、命がけで働いている介護士や看護師、さらには同じ施設のグリーンゾーンで生活している入所者が検査を受けられるようにすることが大切です。
抗原検査をして陰性だと分かれば、介護士や看護師は自分たちの介護に自信をもつことができるでしょう。

Img_4719 人のいないところで、かかと落とし

もう一つ大事なことは、自宅で療養する陽性者が全国で約2000人にいるということです。
国は、症状の軽い人はできるだけ宿泊施設に入ってほしいとしていますが、なぜ、自宅に留まるのか、きちんと検討したほうがいいと思います。
ぼくは以前から、軽症の人は居心地がいい場所を用意したほうがいいと述べてきました。
リモートで医師や看護師とコミュニケーションがとれるというのが最大の魅力です。

東京医科歯科大学で、中等症で主治医から軽い運動を許可されている人に、
リハビリの専門医や理学療法士がかかと落としなどの運動を指導しているというニュースを見ました。
症状が安定し、ホテルなどの施設で“隔離”生活をしている人に、前向きになってもらえるようなお手伝いができたらいいなと思っています。

風に立つライオン基金では、まず東京医科歯科大学の中等症の人たちに運動のビデオを見てもらい、反応がよれれば、ビデオを作ろうと、さだまさしさんと話しています。
2週間の生活が耐えられるように、食事の工夫なども考えていく必要があるでしょう。

もっとも大切なのは、陽性になった人を批判したり差別したりしない空気です。
社会を感染から守るために、法律ではなく、自主的に隔離してくれることに感謝できるようになればいいなと思います。
この緊急事態で人との接触を抑制してきたぼくたちは、これからも50%くらいの抑制ならできると思います。
自由な経済活動をするためにも、PCR検査と抗原検査、抗体検査をしながら、隔離を徹底していくことが大事だと思います。

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2020年5月10日 (日)

明確な数字を

今月中の自粛解除に向けて、各県では動きはじめています。
出口戦略や解除までのロードマップも示されています。
いいことです。
同様に、自粛が解除された後、万が一、感染が再燃したときには
何を目安に再び規制をするか今から明確に示しておく必要があります。
政府や専門家会議は先手を打って、きちんとした数字目標を示したほうがいい。

神戸市の中央市民病院の抗体検査では、外来患者の3%に抗体があることがわかりました。
そのことから、神戸市では約4万人が感染したのではないかと発表しています。
神戸市の新型コロナの死亡者は5/8までで7人。
4万人で割ると、致死率は0.01%。
まさにインフルエンザ並の死亡率と考えることができるかもしれません。
信頼できる統計としては、もっと大がかりなデータが必要ですが、インフルエンザ並の致死率ということがわかれば、これからの第二波の対処の仕方も変わってくるはずです。

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このところ、ぼくは実効再生産数に注目していますが、最近の各都道府県の実効再生産数はほとんどが0.5を下回っています。
今の生活を守りさえすれば間違いなく収束に向かいます。
ニューヨーク州知事のクオモさんは、再規制の目標を実効再生産数1.1といっています。
1.1が何日か続いたときには要注意ということです。

重症患者数も重要です。
いちぱん心配な東京では人工呼吸器を装着した患者さんは、
ピークのとき88でしたが、今は55に下がっています。
コロナ最前線でがんばっているICUの医師や看護師たちは、まだ一息つく余裕はないと思いますが、ニューヨークの病院のようにICUの通路にまでベッドを置くというような事態は避けられそうです。
全国でも、人工呼吸器の患者さんはピーク時330から現在は230に減っています。
重症から中等症になり、中等症の患者さんが増えているかと思いましたが、そうでもありません。
中等症の患者さんも少しずつ減り、現在627人ということです。
いくつかの治療が明確になりつつあるのが大きいと思います。

人工心肺装置エクモの装着者も、東京ではマックス19から7へ、全国では63から36へと半減しています。
明らかに緊急事態宣言が効果を示しているといっていいでしょう。

それに比べると、介護崩壊のほうが深刻です。
富山リハビリテーションホームでは56人の陽性者を出し、その半数近くがまだ入院させることができていません。
施設のなかで、陰性と陽性の利用者がレッドゾーンとグリーンゾーンに分かれて、介護士さんたちがお世話をしている状況です。
本来、国は高齢の陽性者は入院させるという方針を出しているはずですが、実際は、富山市では県立病院も市民病院も院内感染を起こし、
診療に抑制がかかっています。
北海道でも同じような状況が起きています。
施設内で陽性患者が出現すると、スタッフは濃厚接触として自宅待機となり、残ったスタッフに大きな負担がかかる。
看護師や介護士が辞職するなどして、利用者を介護する人がいないという状況に陥りつつあるのです。

自粛解除後に再規制をするときには、
・実効再生産数
・重症患者数
・病院の空き状況
・施設での介護崩壊の状況
この4点をみて考える必要があると思います。
自主規制を解除するときも、再規制するときも、明確な根拠が示されなければ、国民や県民の協力は得にくいのではないでしょうか。

風に立つライオン基金では、さだまさしさんをはじめドクターや専門家たちが毎晩、ズーム会議を行い、介護崩壊が起きないように人材派遣や物資の提供などを開始しています。
ぜひ、風に立つライオン基金にご支援をお願いいたします。

https://lion.or.jp/

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2020年5月 9日 (土)

家にいるという選択

在宅ケアを受けている要介護者や障害者がもし新型コロナ陽性になったら、どうなるのでしょうか。

首都圏で在宅ケアを展開している悠翔会の佐々木代表と、ジャパンハートの医師で事務局長の森先生、フリーの総合診療医でいま風に立つライオン基金で活躍している奥先生と4人で、ズーム会議をしました。
佐々木先生の言葉によると、都内23区で40人のドクターが、在宅での看取りを含めて24時間体制で5000人の患者さんを診ているが、
患者さんたちに話を聞くと99%の人は陽性になっても病院には行きたくないという希望をもっているそうです。

要介護や障害をもった患者さんが陽性になった場合、病院で受け入れるときには、おむつ交換や口腔の清拭など身体的ケアと、院内感染の防御という2つのことが課題になります。
現在の東京では新型コロナだけで余裕がなく、受け入れてくれる病院を探すのは難しいかもしれません。
また、患者さん本人も、家にいたいという人が多い。
家族も、入院中に会うことができず、大きな心配を抱えることになります。
患者さんの、#家にいる と希望する気持ちは、わかるような気がします。

では、在宅でみる態勢はあるのか。
在宅ケアを行っているドクターたちに聞き取りをすると、ほぼ半数のドクターは希望があれば、新型コロナが陽性でも在宅でみると答えたといいます。

在宅ケアのサービスを実施していくときには、家族内感染を防ぎながら、医師と看護師だけでみていきますが、感染リスクを下げるためにできるだけ接触者や接触回数を減らすことが大切です。
訪問介護は、買い物や食事づくりなど、家族の生活を支えることを中心にし、在宅リハビリなどは遠隔でできるようにしていくことも必要でしょう。

それには、医療資材も必要です。
陰性になるまで2週間かかるとして、その間の防護服やN95、KN95などの高機能マスク、サージカルマスク、手袋などの準備をしておき、いつでも使えるようにする必要があります。
PCR検査も不可欠です。
在宅ケアにかかわる医師や看護師、介護のスタッフ、さらに医師が必要とした場合には家族にも検査をして、感染を広げないことが大前提になります。

政府は2万人体制にしていくといいますが、10万人体制にすると言ってもらいたいと思います。
それを実現するには、いまの態勢では手一杯という感が否めません。
元厚生労働大臣といった人に指揮官を任命して、責任をもってやってもらわないと実現しないのではないかと思います。

 

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2020年5月 8日 (金)

池田香代子×鎌田實対談

翻訳家の池田香代子さんと鎌田實がリモート対談しました。

デモクラシータイムス
ナイトキャップ「コロナにめげてはいられない」

YouTubeでご覧になれます。
↓   ↓   ↓

https://www.youtube.com/watch?v=MeEcs1On5Ng

池田さんは高校の同級生。
5年ぶりの“再会”となりました。
最近、起きた千葉県周辺での地震や、長野県で続く地震の話題から、新型コロナのなかで災害が起きたとき・・・そんな話から始まり、医療崩壊や介護崩壊を防ぐための支援について語り合っていきます。

対談は、4回にわたってお送りいたします。
ぜひ、ご覧ください。

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マスクがつなぐ

今回の緊急事態宣言は明らかに効果が現れています。
実効再生産数ははっきりと下がっています。
人工呼吸器装着の患者数も、ピークの330から250くらいに下がってきました。
コロナ最前線で闘っている病院はまだ一息つく余裕はないとは思いますが、
爆発的に患者が増加する状況は食い止められていると思います。

昨日のブログでも書きましたが、
#医療崩壊 #介護崩壊 が心配です。
少しでもお役に立ちたいと思い、病院や施設などにマスクを送りました。

中津川市民病院の、ドクターカーを運用している病院前救急診療科のチームがものすごく喜んでくれました。
パワフルな喜び方を、ご覧ください。

中津川市民病院 病院前救急診療科の間渕先生


https://www.youtube.com/channel/UCqfE02ZB1IjR_blvcyhRFvg

PCR検査が十分に行われていないために、救急医療の現場で働いている医師や看護師は、陰性か陽性かわからない患者さんをみています。
感染を院内に持ち込まないようにすることは、とても大変です。

東京にある武蔵野療園かみさぎホームにも、マスク2000枚を届けました。
さだまさしさんと鎌田の手紙をつけました。

20200508

女優の東ちづるさんが行っている障害者施設にマスクを送ろうという活動に賛同し、マスク1万枚を寄付しました。

北海道のクラスターを発生した介護施設からも支援の要請がありました。
まず物品を届けたいと考えています。

総合診療医の奥先生とジャパンハートの医師が、奈良の施設を回って、感染症のレクチャーをスタートしました。
困ったときにリモート相談ができると、介護施設も安心できると思っています。

医療崩壊を起こさないように、医師や看護師にがんばってもらい、同時に介護崩壊を起こさないように応援しようと思っています。

 

 

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2020年5月 7日 (木)

実効再生産数を読む

昨日紹介したRt-Covid19 Japan都道県別新型コロナウイルスの実効再生産数によると、

東京が0.32
北海道が0.23
大阪は0.23
長野0.42

どの地域も0.5を切りだしています。
実効再生産数は、他の人に何人感染させるかという数字。
0.5だと、100人が5日後には50人になり、10日後には25人になり、15日後に12.5人、20日後には6.5人というふうに指数関数的に減少していきます。
出口戦略では、1を切った状態が4週間ほど続くことが望ましいと思います。
自粛を緩和していくときには、この実効再生産数の変動をみて手綱をしめたり緩めたりできればいいと思います。
怖いのは、一度緩めてしまうと、なし崩しになってしまうことです。

このサイトでは、実効再生産数の根拠になっている数式を明らかにしています。
政府の専門家会議も実効再生産数を示していますが、数式がわかりません。
考え方の違う専門家同士が議論するときに必要になるので、こうした専門的なこともオープンにしていくことが大切です。

 

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お知らせ

明日5月8日(金)、午前11時から「あしたも晴れ! 人生レシピ」(Eテレ)
「にもかかわらず~鎌田實」が再放送されます。
苦境をプラスに転化する言葉、にもかかわらず。
地域医療や被災者支援などに取り組む思いを語ります。
腹筋のトレーニングなどをしているところも出ますので、ご覧ください。

8日、ピーター・バラカンさんがパーソナリティをしている「ライフスタイル ミュージアム」(東京FM、18.30~)に出演します。
自粛生活中の過ごし方などについて語ります。

10日朝6時20分から「日曜はがんばらない」(文化放送)
新型コロナにどのように対応したらいいのか、テレビでは聞けないような話を、パートナーの村上信夫さんと語り合います。
ぜひ、お聞きください。

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介護崩壊を防ぐ

介護崩壊が心配です。
5/3、東京都目黒区の特養で15人の陽性者が発生しました。
東京都北区での特養では職員、利用者合わせて39人。
札幌市北区の老健では50人。
富山にあるリハビリホームでは、入所者66人中40人。
各地の介護施設で感染が発生しています。

介護ではなく病院ですが、大阪のリハビリ系の病院では130人の陽性者が出ました。
ここでは、感染が確認されている看護師を働かせたことで、クラスターをつくりました。
千歳市の介護施設では、クラスターが発生した後、スタッフ5人が24時間体制で、利用者29人をみるという過酷な状況に置かれました。
千葉県では、31人の死亡者のうち17人は、2つの施設で感染しました。
感染が起きた千歳の介護施設には、よそから応援を出せない状況で、不安になった職員が辞職するなど、さらに厳しい状況に陥っています。

富山では、いくつかの病院が院内感染を起こし、陽性者を引き受けられない状況があります。
障害児者の施設でも同様です。
高度医療や一般の病院では、要介護の高齢者や重度の障害者をみることに慣れてない、しかも陽性であるというとき、
二重三重に大変ということで、転院の承諾がでないという現実があります。

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5/8から風に立つライオン基金とジャパン・ハートが協力し、まず関西の介護施設から感染症対策のレクチャーに入ります。
顔見知りになっておくことで物品が足りないときに応援したり、リモートで相談に乗ったり指導したりできると考えています。

WHOは、欧州の死者の半数は施設入所者だとしています。
英国では入所者の死者が2000人を超えました。
一度、感染が広がりだすと爆発的に増える施設。
ここに手を差し伸べていきたいと考えています。

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2020年5月 6日 (水)

出口戦略を考える

出口戦略を考えるときは、日本全体がワンチームになるような人事をすることが大事です。
そこで3つの提案があります。

①国民の心をつかむ演説を
1週間後の首相のスピーチはとても大事です。
スピーチライターを変えてでも、一回でもいいので国民の心を揺さぶるような演説を聞きたいと思います。

②官邸官僚の空気を変える
アベノマスクがまだ届きません。
この提案をした官邸官僚の部署を変え、官邸官僚の空気を変えてみてはどうでしょうか。

③専門家会議に臨床医を増強する
医療崩壊を防ぐには、臨床医の発想が必要です。
陽性者が多い地域では、入院時にPCR検査をしなければ、がんの患者さんなどに感染させる可能性があります。
がん治療が遅れれば、命にかかわます。
新型コロナだけではなく、他の患者さんのことも考えるのが臨床医の発想です。
専門家会議にはこの発想が欠けているように思います。
発熱し、具合が悪くなっている患者さんを4日も待たせることは、臨床医にはできません。
メンバーに免疫学者が一人もいないもおかしな話です。
介護崩壊や心の問題も長期戦で問題になってきました。
オブザーバーとして、こういう専門家たちも加えて、出口戦略を明確にすることが大事なように思います。
場合によって、専門家会議Bをつくり、AチームとBチームで議論して、不確実な状況のなかで、政治家も国民も納得できるような出口戦略を立てるのがいいと思います。

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Rt-Covid19 JapanというNPOが各県の実効再生産数を毎日公表しています。
専門家会議では、東京の4/10の実効再生産数を0.5としていますが、このサイトでは1以上。
その後、1を切りましたが、最近は1.06という数字になっています。
やはり東京はあと4週間、しっかりと人の動きを抑制しなければ安定した状態にならないようです。

このサイトによると大阪はもう3週間近く、1を切っており、現在0.4です。
大阪は明確な出口戦略を出しました。
大阪が示した指標を示した場合、一部解除するのは妥当なことだと思ています。

心配なのは北海道です。
このサイトでは、1を切りました。
まだ日が浅いのですが、もう一週間がんはると感染者数も大幅に減っていく可能性があります。

東京と北海道を除けば、明確な出口戦略をつくったうえで一部解除してもいいという状況が目前まで来ています。
心配なのは、たとえばパチンコ店を解除すると、自粛が続く隣の地域からどっと人が押し寄せるという難しい課題が出てきます。

このサイトはだれでも見られますが、
発生件数が少ない県はデータの信ぴょう性がやや低いので、あまり心配しないようにすることです。

2年も続くという感染症の専門家いますが、根拠があるのでしょうか。
国民に自粛生活を強いておきながら、2年も続くかもしれないというのでは、気力が続きません。
あと4週間、しっかりと自粛して、実効再生産数を下げて、徐々に解除というのがきれいな形ではないでしょうか。
最後は政治の判断だと思います。

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2020年5月 5日 (火)

不確実性との闘い

神戸市立医療センター中央市民病院が、
4/7までの8日間に外来を受診した患者1000人に血液検査をしたところ、約3%が新型コロナに感染したことを示す抗体をもっていたと発表されました。
この数字を神戸市全体の性別、年齢の分布に当てはめて計算すると、神戸市では緊急事態宣言前に4万人が感染していたことになるといいます。
神戸市の新型コロナの陽性者数は265人。
これが本当なら、見つかっていない感染者が想像を超えて多いということです。

現在の、日本の新型コロナの死亡数は541人。
アメリカの死亡数6万7000人超、イタリアは約3万人に比べれば圧倒的に少ない数字です。
人工呼吸器装着者やエクモ装着者はここ5日間で下がってきています。
人工呼吸器装着者は330人をピークに、これ以上増えないようにしていくことができれば、
医療崩壊をさせないですむのではいないかと思います。

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新型コロナウイルスは、まだ全容がわかっていません。
そのため、闘い方も手さぐりの状態です。
ウイルスには、症状がないまま持ち続ける「キャリア」がいる場合がありますが、
この新型コロナがそういうタイプかもわかっていません。

東日本大震災後、自殺者が増えないように「よりそいホットライン」が開設されました。
年間、28万件の相談があります。
一時は3万人を超えていた自殺者は、昨年度は約2万人となっています。
減ったとはいえ、まだ2万人もいるのです。
さらに、この自粛要請のなかで、DVや自殺念慮を抱えている人たちが多くなってる可能性があります。

ウイルスの感染抑制か、経済か、という課題が突きつけられていますが、
もう一つ、心の健康の問題も考えていかなければなりません。
緊急事態の状態を緩めていくときには、この3つをメルクマールにして考えていくことが重要だと思います。

未知なるウイルスとの闘いは、ある領域の専門家だけでは解決しません。
もっと学際的に、いろんな視点から議論していくことが求められています。
この国のリーダーには広い視野をもつことを期待します。

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2020年5月 4日 (月)

最前線を見誤るな

今の最前線は、重症患者さんを診ている医療施設。
ここがコロナ最前線であることは間違いありません。
しかし、医療崩壊だけではなく、介護崩壊の兆しが見えだしています。
札幌市北区の老人保健施設で50人が陽性者となりました。
東京都北区の特養では、職員4人、利用者35人、合計39人の陽性者が出ました。一人が亡くなっています。

イギリスでは4/11~17の間、介護施設で2000人が死亡。
すでに介護施設で亡くなった人は3000人を超えたといいます。
介護施設は、医療施設よりも感染症対策が人材も物品も脆弱であることが多い。
すぐにでも、介護施設や福祉施設で働く人に感染症対応のレクチャーをしたり、物品を供給したりすることが重要になります。

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専門家会議やテレビに出てくる専門家には、介護や地域包括ケアを熟知している人は少ないように思います。
在宅ケアや障害者の施設、介護施設にひとたび新型コロナが入り込むと大変な事態になるでしょう。
ここを十分対応できるかどうかは、新型コロナを抑えるうえでとても大切。
戦局を作用する大事なところだと思います。

風に立つライオン基金では、毎日、さだまさしさんや鎌田、医師、看護師らがズーム会議を行っています。
ガウン1万枚、KN95マスク1万枚、サージカルマスク3万枚、挿管するときの重装備のガウン500枚などを発注し、最前線の病院の物資の足りないところに供給することになりました。
連携しているジャパン・ハートは、介護崩壊を起こさないために動き始めています。

               ◇

本日4日、毎日新聞全国版に連載「さあ、これからだ」が掲載されます。
今回は、新型コロナについて書きました。

5月7日、「大竹まこと ゴールデンラジオ」(文化放送、13.0~)に茅野から生出演します。
最近、テレビやラジオに出るときには、茅野の事務所からズームやスカイプ、電話を使って出演しています。

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2020年5月 3日 (日)

巧妙な生存戦略

ウイルスは、呼吸や代謝をしていません。
死もありません。
遺伝物質だけでをもって、他生物の細胞内に入り込み、増殖を繰り返していきます。
無生物に近いのに、まるで生きているような振る舞いをするのです。
「生物」と「無生物」の間ともいわれています。

新型コロナウイルスの大きな特徴は、
感染しても無症状や軽症の人が多く、この人たちが動き回って感染を広げてしまうことです。
感染すると多くの人が重症化するけれど、感染は限定的なSARSとは違う、したたかな生存戦略をとっています。
だから、新型コロナウイルスと闘うときには、ぼくたちも巧妙な戦略をもたないといけないと思います。

全国の実効再生産数は0.7、東京は0.5と発表されました。
0.5は、自粛要請を少しずつ解除することができる数字と考えていいと思います。
ただし、解除の仕方には注意が必要です。
ドイツが一時、一部解除をしましたが、データが悪化したために慎重路線に変更されました。
当然、こういうことはよくあります。
専門家会議と政治がどれだけ「新しい生活様式」を提案できるかが勝負だと思います。
しかも、それは時々刻々と変わる状態に対応したものでなければいけません。

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スウェーデンは集団免疫という考え方から、かなり市民の自由を守り続けています。
経済活動もほとんど止めていません。
半面、死亡率がアメリカや中国より2倍くらい高い、12%という状況になりました。
死亡者数は4/30現在、2462人。
隣国ノルウェーの207人、フィンランドの206人と比べても、かなり多いです。
スウェーデンの死亡者の半数は福祉施設といわれています。

このスウェーデンの方法から、ぼくたちは何を学ぶのか。
まずは、感染症指定病院だけでなく、福祉施設での感染をどう防ぐかということ。
そのための感染予防と、防御するための医療衛生資材の補給システムの構築が急がれます。
それから、実効再生産数や重症患者数を指標にして、これらが上昇しないように注意しながら、
経済活動をどう再開していくか、どの業種から休業要請を解除していくか、
そして、健康のために外で運動できるようにするなど、自粛生活をどのように緩めていくか。
スウェーデンのいいところ、悪いところを学んで、上手に展開していくことが課題です。

 

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2020年5月 2日 (土)

バカにできない自然免疫

PCR検査が出遅れてしまった日本で、少しでも科学的に現状を把握するには、
重症患者数が目安になると、ぼくは考えています。
PCRに代わる“苦肉の策”ですが、延長されることが濃厚な緊急事態宣言がうまくいっているのかどうかも、
この重症患者の数である程度、判断できるのではないでしょうか。
経済活動を再開させていく目安にもなります。
ということを昨日のブログで書きましたが、
その日の夕方のテレビでも、人工呼吸器装着の重症患者数などを扱われようになりました。

1週間ほど前に実効再生産数についても書きました。
これも、テレビで紹介されるようになりました。
東京の実効再生産数は0.5、全国は0.7という数字が出ていました。
この推計値が間違っていなければ、とんでもなくいい結果です。
東京などは、このままいけば5日に半分ずつ指数関数的に下がっていきます。
1か月でヒトケタになる可能性は十分にあるでしょう。

専門家会議は数字だけを示しますが、その数字がなぜ出て来たのか、仮定と理論も説明してくれると、もっと理解しやすいと思います。

Img_4720人のいないところで、自然に触れあいながらかかと落とし!

もう一つ、重症患者数で思うことは、なぜ日本は欧米に比べて少ないのかということです。
ただし、少ないから日本の病院は楽勝ということではありません。
もともと日本のICUは、欧米より少ない。
その小さなキャパのなかで、神経をすり減らしながら必死に重症患者を診ているのです。
これ以上、重症患者が増えていったら、日本は医療崩壊を加速してしまうでしょう。
しかし、数の問題からみたら、欧米より少ないというのは事実です。

なぜ、日本は重症患者数が欧米より少ないのか。
なぜ、実効再生産数が低いのか。
それは、以前も書きましたが、マスク着用に抵抗がないこと、手洗いをよくする、靴を脱ぐ、あいさつでボディタッチをしない、きれい好き、などの習慣が関係すると思われます。
それに加えて、フィジカル・ディスタンスをとるようにしたことで、さらに数字が下がった。
実効再生産数が1.0を切れば間違いなく収束へ向かいます。
問題は、この状態をどう維持するか、です。
経済活動の再開を進めながら、つねに1.0を切るような生活を続けていけば、
コロナをゼロにはできなくても、コロナとともに生きていくことができます。
ウィズ・コロナです。

日本に重症患者が少ない理由について、あえてもう一つあげるとすれば、BCGも少し関係しているかもしれません。
ここは意見が分かれるところです。
WHOは、BCGの新型コロナへの効果を否定しています。
もちろん、その通りです。
BCGは結核のワクチンなので、新型コロナの抗体を作ることはできません。
獲得免疫には影響は与えないのです。
しかし、BCGだけでなくワクチンのなかには免疫増強剤が入っていて、自然免疫をゆさぶっている可能性があります。
BCGを接種した子どもは、肺の病気にかかる率が4割も少ないというデータが出ています。
目的は結核の予防ですが、それ以外に呼吸器感染症を減らしている可能性があるというのです。

ポルトガルとスペインは、経済力や文化的レベル、習慣などが似ていますが、
新型コロナの致死率はポルトガルが3.2%、
スペインは10.5%
と大きな差があります。
スペインではBCGを止めてしまいましたが、ポルトガルは続けています。

日本だけでなくアジア全体が欧米に比べて致死率が低くすんでいるのも、
アジアの多くの国がBCGを続行しているからという推論もあります。

だからといって、新型コロナ予防のために、中高年がもう一度、BCGを受けるというのは提案してはいません。

PCR検査が少ない、安全な隔離場所の確保ができないという決定的なミスがあったにもかかわらず、
重症患者がこれだけ少ないというのは、自然免疫を賦活化するような生活の仕方があるのだと思います。
自然免疫は獲得免疫ほど大きなパワーがないので、科学的ではないといわれれば反論できないのですが、
ぼく自身は、自粛生活のなかでできるだけ自然免疫力を高めるように心がけています。


・サーカディアンリズムを大切にする
・軽い運動する
・体を温める
・腸にいいものを食べる(発酵食品や食物繊維)

そして、イライラしたり、激しい批判や暴力などの行為はストレスホルモンのステロイドが分泌されます。
ステロイドは免疫抑制に働くので、できるだけ心を穏やかにするようにしています。

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2020年5月 1日 (金)

心をあたたかく

4月29日、原田泰治さんから連絡がありました。

「オレ、きょう誕生日、80歳。
お祝いに社会貢献するよ。
カマちゃん、みんなに広めて」

原田泰治さんは、カマタにとってアニキのような存在。
傘寿を迎え、オフィシャルブログで「ファミリー ギャラリー」を開設しました。
毎日一枚47日かけて、北海道から沖縄まで、日本各地の風景を、絵と文章で訪ねていきます。

Web50_50 4/29の原田泰治オフィシャルブログより

あたたかくて、やわらかくて、心が和んでくる原田泰治の世界。
ストレスの多い今、そして、ふるさとに帰省できない今、
原田泰治さんの絵をみて、ふるさとに帰ったような気持ちになってください。

心をあたたかく!


原田泰治オフィシャルブログ

http://taiziharada.sblo.jp/index-2.html

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テレビでは聞けない話

テレビはよく頑張っています。
はじめは、政府や専門家会議の話を分かりやすく伝える努力をしていました。
その後、PCR検査の抑制に疑問を持ち、検査拡大を求めるなど新しい動きを作ったことは評価できると思います。
この1週間ほどのテレビのトレンドは「陽性率」と「死亡数」でした。
ただ、どの局も同じような内容になると新味に欠け、かえって見ている人に届きにくいような感じがします。
視点を変えることが大事です。

昨日のブログで、重症者数に注目することについて書きました。
感染爆発をしているイタリアやアメリカに比べて、重症者数がとても少ないことが日本の大きな特徴です。
重症者数に注目することで、経済活動再開のバランスをとることができるのではないかとぼくは考えています。
医療崩壊を起こすか起こさないかも、重傷者数が関係しています。

感染者数の動向だけでは流行の実態がわからない、これがPCR検査の少ない日本の落とし穴です。
緊急事態宣言の出口は、感染者数が全国で100を切るのが目標だといわれますが、
PCR検査を今の10倍に増やした場合、感染者数が100を切るとはとても思えません。
専門家たちの考え方も、少しこの「落とし穴」にはまっているような気がしてなりません。

テレビでは死亡数に注目していますが、日本で本当に死亡数に注目していいのでしょうか。
超過死亡数でみると、日本は2月からインフルエンザは沈静化しています。
にもかかわらず、過去数年と比べても、死亡数は決して下がっていません。
おそらくこの中には、PCR検査をしていないだけで、実際には新型コロナで死亡した人が紛れ込んでいる可能性もあります。
ニューヨークのクオモ州知事も、アメリカの死亡数は6万人と公表されていますが、
実際にはもっと多い可能性があると言っています。

重症者数について、日本集中治療医学会が数字を公表しています。
4月30日の、人工呼吸器装着数を東京と北海道で比較してみると、一目瞭然です。
東京は4/26をピークに少し減ってきましたが、北海道では4/20から急激に伸びています。

Img_2084 60998176117__cbe798727d754ac89983abdb0fd 新型コロナ患者の人工呼吸器装着数の推移。東京(左)と北海道のグラフ(日本集中治療医学会のHPより)

日本集中治療医学会

https://covid.jsicm.org/


5月3日(日)の「日曜はがんばらない」(文化放送、朝6.20~)は
ゲストに免疫学者の宮坂昌之先生をお迎えします。
新型コロナと闘うには、かかった後やワクチン接種でできる抗体の話、つまり獲得免疫の話が注目されていますが、
宮坂先生は、もう一つの免疫、自然免疫も重要といいます。
自然免疫は、獲得免疫ほど大きな力はありませんが、それでもウイルスの侵入を防ぐための力をもっています。

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐには、治療薬やワクチンの開発、自粛要請といった政治の力が大切です。
しかし、そういう外部にすべて委ねるのではなく、健康や生活、社会を守るために自分は何ができるのかを考えることが重要だと思います。
コロナの真っただ中の今、そのことにきちんと向き合うことが、その後の生き方にもつながる。
ビヨンド・コロナを考えて、今を大切に過ごしていきたいと思います。

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