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2020年5月 5日 (火)

不確実性との闘い

神戸市立医療センター中央市民病院が、
4/7までの8日間に外来を受診した患者1000人に血液検査をしたところ、約3%が新型コロナに感染したことを示す抗体をもっていたと発表されました。
この数字を神戸市全体の性別、年齢の分布に当てはめて計算すると、神戸市では緊急事態宣言前に4万人が感染していたことになるといいます。
神戸市の新型コロナの陽性者数は265人。
これが本当なら、見つかっていない感染者が想像を超えて多いということです。

現在の、日本の新型コロナの死亡数は541人。
アメリカの死亡数6万7000人超、イタリアは約3万人に比べれば圧倒的に少ない数字です。
人工呼吸器装着者やエクモ装着者はここ5日間で下がってきています。
人工呼吸器装着者は330人をピークに、これ以上増えないようにしていくことができれば、
医療崩壊をさせないですむのではいないかと思います。

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新型コロナウイルスは、まだ全容がわかっていません。
そのため、闘い方も手さぐりの状態です。
ウイルスには、症状がないまま持ち続ける「キャリア」がいる場合がありますが、
この新型コロナがそういうタイプかもわかっていません。

東日本大震災後、自殺者が増えないように「よりそいホットライン」が開設されました。
年間、28万件の相談があります。
一時は3万人を超えていた自殺者は、昨年度は約2万人となっています。
減ったとはいえ、まだ2万人もいるのです。
さらに、この自粛要請のなかで、DVや自殺念慮を抱えている人たちが多くなってる可能性があります。

ウイルスの感染抑制か、経済か、という課題が突きつけられていますが、
もう一つ、心の健康の問題も考えていかなければなりません。
緊急事態の状態を緩めていくときには、この3つをメルクマールにして考えていくことが重要だと思います。

未知なるウイルスとの闘いは、ある領域の専門家だけでは解決しません。
もっと学際的に、いろんな視点から議論していくことが求められています。
この国のリーダーには広い視野をもつことを期待します。

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