巧妙な生存戦略
ウイルスは、呼吸や代謝をしていません。
死もありません。
遺伝物質だけでをもって、他生物の細胞内に入り込み、増殖を繰り返していきます。
無生物に近いのに、まるで生きているような振る舞いをするのです。
「生物」と「無生物」の間ともいわれています。
新型コロナウイルスの大きな特徴は、
感染しても無症状や軽症の人が多く、この人たちが動き回って感染を広げてしまうことです。
感染すると多くの人が重症化するけれど、感染は限定的なSARSとは違う、したたかな生存戦略をとっています。
だから、新型コロナウイルスと闘うときには、ぼくたちも巧妙な戦略をもたないといけないと思います。
全国の実効再生産数は0.7、東京は0.5と発表されました。
0.5は、自粛要請を少しずつ解除することができる数字と考えていいと思います。
ただし、解除の仕方には注意が必要です。
ドイツが一時、一部解除をしましたが、データが悪化したために慎重路線に変更されました。
当然、こういうことはよくあります。
専門家会議と政治がどれだけ「新しい生活様式」を提案できるかが勝負だと思います。
しかも、それは時々刻々と変わる状態に対応したものでなければいけません。
スウェーデンは集団免疫という考え方から、かなり市民の自由を守り続けています。
経済活動もほとんど止めていません。
半面、死亡率がアメリカや中国より2倍くらい高い、12%という状況になりました。
死亡者数は4/30現在、2462人。
隣国ノルウェーの207人、フィンランドの206人と比べても、かなり多いです。
スウェーデンの死亡者の半数は福祉施設といわれています。
このスウェーデンの方法から、ぼくたちは何を学ぶのか。
まずは、感染症指定病院だけでなく、福祉施設での感染をどう防ぐかということ。
そのための感染予防と、防御するための医療衛生資材の補給システムの構築が急がれます。
それから、実効再生産数や重症患者数を指標にして、これらが上昇しないように注意しながら、
経済活動をどう再開していくか、どの業種から休業要請を解除していくか、
そして、健康のために外で運動できるようにするなど、自粛生活をどのように緩めていくか。
スウェーデンのいいところ、悪いところを学んで、上手に展開していくことが課題です。
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