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2020年9月26日 (土)

鎌田實の一日一冊(380)

「アートリップ入門 対話型アート鑑賞プログラム」
(林容子著、誠文堂新光社)

認知症の人たちにアートを通して対応を広げるというプログラムを実践している林容子さんの本。
例えば、カミーユ・コローの絵を見ながら、何が描かれているかと聞いていきます。
すると、「ヨーロッパの風景」という人もいれば、「故郷の瀬戸内海に似てる」と答える人も。
「昔、山形に疎開してね、大きな木があったよ」などと語りだす人もいるそう。
絵をじっくりと鑑賞しながら、自由に発想が飛び交って、参加者がみんな楽しそうです。

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新型コロナウイルスの自粛中に認知機能が低下している人を時々、内科外来で見かけます。
アパシーと言う無気力にならないことが大事です。
いい絵を見る、音楽を聴くなど、感情にいつもいい刺激を与えること。
そして、上手に合いの手を入れてくれる人がいると、認知症の人も生き生きと楽しいおしゃべりを始めます。
たとえ認知症になっても諦めないで、アートリップのような感情を刺激することがとても大事なことのように思います。

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