東日本大震災から10年、その記憶(2)
福島県のある町の保健師さんから、みんなクタクタになって、心もうつうつとしている、
心の健康について講演してほしいという依頼がありました。
ぼくは被災地では、全部ボランティアで、交通費も自分で出していっているので、講演料はいらないという話をしました。
保健師さんは大変言いにくそうに、
「鎌田先生は、私たち保健師たちにとっては神様みたいな存在ですが、一般の人のなかには知らない人もいます。
この講演料で、テレビによく出るタレントさんを連れてきてくれませんか」
と言われました。
ぼくはすぐにピーコさんに電話をしました。
ピーコの通常の講演料にはくらべものにならない額でしたが、
こういうわけなので一緒に講演に来てもらいたいとお願いしたのです。
すると、ピーコさんは、私も講演料はいらない、そのお金でピアニストを連れていって、シャンソンを歌いたい、というのです。
そして、ピアニストに話をすると、私もお金はもらえない、と。
でも、きりがないので、いったん講演料をいただいて、そのお金を被災地に寄付することになりました。
別の町では、永六輔さんと支援に入りました。
さだまさしさんや加藤登紀子さん、菅原文太さん、神野美伽さん、園まりさん・・・たくさんの方たちと被災地を訪ねました。
音楽の力をまざまざと見せつけられました。
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