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2021年3月28日 (日)

鎌田實の一日一冊(388)

「民主主義のための社会保障」(香取照幸著、東洋経済新報社)

格差の拡大を防ぐ社会保障はどうあるべきか。
日本という社会を守るために断定的中間層を守り、社会の安定と持続的成長をどうするか。
「国民皆保険制度は日本の誇り。
医療の進歩に見合った高い水準の医療サービスが公的費用で賄われて、
所得の多寡に関係なく、ニーズに応じた平等な医療が自分が選択して医療機関で受けられる。世界一の高齢国なのに、国民医療費の水準はアメリカの半分。
西洋諸国並みか、それ以下こんな国はありません」と著者は断じています。

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しかし、今の日本の医療介護提供体制は戦力の逐次投入と有限資源の渦巻きの状態に陥っていると言う。
新型コロナウイルスに対しても、対応が甘いと日本の病院は批判もされているが、すでにギリギリの状態で新しい疾患、新型コロナに対応する力を失っていた。
ヒラリー・クリントンがアメリカに皆保険体制を構築しようと日本に勉強に来た。
「日本の会保険体制は極めて効率的で素晴らしい制度だ。
しかし、このようなシステムはアメリカ合衆国では作ることはできないだろう。なぜならば日本のシステムは医師、看護師をはじめ医療従事者たちの聖職者さながらの自己犠牲的労働によって成り立っているからだ」
すでに、余裕がない状況が作られていた。
新型コロナウイルスが起きても、それに対応する余力が病院の中になくなっているというのが実態なのです。
しかし、著者は社会保障は成長戦略の柱になる、と考えています。
厚生労働省や総理官邸で内閣参事官などを歴任していた時、何度も諏訪中央病院にやって来ました。熱い志のある有能な官僚でした。
是非、多くの人にこの本を読んでもらいたいと思います。

 

 

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