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2021年5月23日 (日)

鎌田實の一日一冊(398)

「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」(岸田奈美著、小学館)

著者の岸田奈美さんとお会いするので、この本を読んだ。
笑いっぱなしだった。
1991年生まれ、関西学院大学で福祉と起業を学んで株式会社ミライロの創設メンバーとなり、広報部長を務めた。
その後、作家として独立。

お父さんが若い時に、心筋梗塞で亡くなった。
お母さんは子ども二人を支えて頑張っていたが、脳卒中を起こし、車椅子生活になった。
弟はダウン症で知的障害がある。
家族みんなが大変なはずなのに、みんなで笑い飛ばしながら生きている。

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この人の比喩表現は絶品だ。
今、村上村上春樹の初期作品を読み直しているが、村上春樹の小説もものすごく比喩が多い。
もう多過ぎてちょっとうんざりするときもある。
岸田さんの比喩は、ぷっと吹き出してしまいそうになる。

お母さんが「ずっと死にたいと思っていた」と言うと、
「ママ、死にたいなら死んでもいいよ」と言ってしまう。
ここがなかなか凄い。
「死んでもいいと言われたら、生きたくなった」
お母さんは心理セラピストになり、年間180回、車椅子で講演をするようになった。
娘も凄いけど、お母さんも凄い。
弟の凄さは、この本を読んでもらうとわかる。

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