あの夏の信頼
10年ほど前、スイスで講演したとき、イスラエルとパレスチナの間で行われ心臓移植の話をしたところ、スイスの国連機関で働いている人たちが、心臓移植の当事者たちの住所を調べてくれました。
それがきっかけで、ぼくはイスラエルとパレスチナの旅を始めました。
イスラエル兵に銃撃され、死亡したアハメド君。
その心臓をを移植した、12歳のイスラエルの女の子の家を、アハメド君の父親とともに訪ねました。
お土産は、日本の浴衣。
とても喜んでくれました。
アハメド君の父親(中央)と、浴衣を着た心臓移植を受けた女の子
アハメド君の父親も、女の子と会うのをとても楽しみにしていました。
最愛の息子の心臓が、女の子のなかで動いているのを実際に見ることができ、感慨ひとしおだったようです。
イスラエルとパレスチナの間には、大きな溝がありますが、
それらを超えて、一人の人間としてお互いを信頼し、命を尊重することのすばらしさを実感できる旅となりました。
その後、両地域は関係が悪化し、一時はロケット弾が飛び交いましたが、
あの夏に、信じあった心は消えていないと信じています。
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