鎌田實の一日一冊(402)
『老後はひとり暮らしが幸せ』(辻川覚志著、水曜社)
著者は、大阪で耳鼻咽喉科のクリニックを開業している。
月刊「潮」の「希望・日本」という連載で、辻川先生と対談をした。
医師会の調査が半分。
あとの半分は、医師会の広報委員として電話で聞き取り調査を行ったもの。
老後、家族と同居するほうが幸せなのか、一人暮らしが幸せなのか調査したところ、
「一人暮らしは寂しい」という人が30%、「家族がいても寂しい」という人が15%。
家族といても、一人でも、不安はそう変わりはないことがわかった。
満足度について聞くと、驚きの結果になった。
一人暮らしのほうが満足度が高い、という結果になったのだ。
特に、心の整理をして、覚悟をしている人は、満足度が高い。
「初めから一人だから寂しくなんかない」という答えもあった。
ぼくは、40数年、訪問診療をしてきて実感するのは、一人暮らしのほうが強いということだ。
一人暮らしで病気があると、不安で寂しくて辛いので、満足度も低いのではないか思いがちだが、
一人暮らしの人のほうが、自己決定をして生きていて、今に満足している。
「最期、ぼくの往診が間に合わなくてもかまわない。朝、来てくれて、死亡を確認してくれればいい」なんて、
平然と言う人たちが多かった。
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