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2021年10月16日 (土)

老いに負けない生き方

94歳のAさんが外来に来ました。
彼は、20年ほど前に集中治療室で生死の淵をさまよい、奇跡的に回復しました。
それ以来のつきあいで、友だちのように仲良くなりました。

Aさんは、腰が痛い、夜中おしっこで何度も目が覚める、食欲が出ない・・・・いろいろな症状を訴えます。
動くのもつらいようです。
それでもぼくは、「動いていたほうがいい」とすすめてきました。
腰痛がひどくなってから、好きだったゴルフを止めていましたが、
「ハーフでいいので、またゴルフをやってみましょう」というぼくのアドバイスを聞いて、
1年に何回か、息子さんや親友とゴルフに行くようになりました。
最近もゴルフをしてきたようで、うれしそうに報告してくれました。
スコアはハーフでなんと51。
とんでもない数字です。
息子よりよかった、と喜んでいました。
老いに負けない生き方をしていると思います。

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三味線の名手で、ちのどんぱんのお祭りにときには、やぐらにのって三味線を弾きます。
今も3人のお弟子さんがいるとか。
絶対にやめちゃだめと言い続けています。
演奏も、教えることも、彼の生き方の大事な一部になっていると思うからです。

ときどき気弱になりますが、ちょっと背中を押してあげるだけで、
本人のなかのある生きる力がわいてきます。
老いたら違う生活を始めるのではなく、老いても最後の最後まで自分らしくやりたいことをやるのが大事なのだと思いました。

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