まいたけ物語
6、7年前、ある高齢男性に腹部大動脈瘤がみつかりました。
手術をするのも一つの選択でしたが、本人は迷っていました。
意見を求められ、「ぼくだったら手術を受けないな」と言いました。
80歳半ばまで来たら、血圧を上げないように生活習慣に注意して、うまくつきあっていこうという作戦で意見が一致しました。
はじめはかなり安静を守っていましたが、安静にしすぎるとフレイル(虚弱)になってしまいます。
あまり動かないと、動けなくなるから、普通に生活しようと話すと、
男性は以前のように野良仕事をしたり、秋は山に入って、きのこ採りなどを再開しました。
91歳になった今、山に入り、きのこを採って、奥さんと一緒に届けにきてくれました。
なんと貴重な天然まいたけです。
奥さんも、きのこ採りが好き。
以前はきのこ採りの仲間がいたようですが、みんなあの世に旅立った、とあっけらかんと言います。
今は、仲間の縄張りも譲り受けて、どこに何のきのこがあるか独り占めしていると、と奥さんは大笑いしました。
病気があっても負けない生き方が、とてもかっこいい二人です。
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