寂聴さんを偲ぶ
瀬戸内寂聴さんが亡くなられた。
寂聴さんとは、NHK総合テレビで1時間ほど対談したことがある。
収録は、ぼくが寂庵を尋ねる形だった。
そのとき、寂聴さんはぼくの『雪とパイナップル』(集英社)を激賞してくれた。
そのおかげか、『雪とパイナップル』は何度か増刷することができた。
NHKラジオの「鎌田實いのちの対話」にも、ゲスト出演していただいた。
大阪のNHKkホールがいっぱいになり、寂聴人気の凄さを実感した。
命のこと、愛のこと、そして、どんなツッコミにも素敵な言葉で答えてくれた。
頭の回転の速い人だなと思った。
同じ年に紅白歌合戦の特別審査員に選ばれ、席も隣同士だったので、四方山話もできた。
変な言い方だが、立派すぎない聡明さが、多くの人々の心を掴んでいたのだと思う。
寂聴さんの著作は、『鎌田實の人生図書館』(マガジンハウス)でも、『夏の終り』(新潮社)と『現代語訳源氏物語』(講談社)を紹介させていただいた。
イラクの難民キャンプに行ったとき、砂漠の中で寂聴源氏を読むのが、幸福の時間だった。
寂聴さん、いろいろお世話になりました。
ご冥福をお祈りいたします。
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