鎌田劇場へようこそ!(533)
「チェルノブイリ1986」
チェルノブイリ原発事故の最前線で、さらなる被害の拡大を防ごうとしていた人たちの物語。
監督はロシア人、製作はウクライナ人。
監督はこんな声明を発表している。
「兵士や民間人が亡くなり、ミサイルが住宅を攻撃している。
たとえ政治に通じていなくても、これにはいかなる正当性もないことははっきり分かる。
尊敬すべき大統領、直接呼びかける無礼をお許しください。
ですがこの恐ろしいことを止められる力があるのはあなただけなのです。
ぼくたちはある高官が表現しているような「反対者の国民」なんかではなく、世界の中で何より、ただ平和と平穏のみを愛し願う自国民なのです。
ぼくの名はダニーラ・コズロフスキーで、戦争に反対しています。
このことをただ自分の名において心から述べています」
ウクライナ人の製作者はこう述べる。
「ウクライナ人はこの事態を乗り越えることができると私は知っている。
優しく勇敢な人々はこの戦争を乗り越えていくだろう。
なぜなら彼らは祖国のために戦っているからだ。
多くのロシア人、賢くて繊細な人々が心の底から震えていることを私は知っている。
彼らは恥だとすら感じている。
戦争に言い訳はない。戦争を起こした人々が何を主張しようとも」
ロシア人のなかにも、ウクライナ人のなかにも、いろいろなことを考えている人たちがいる。
しかし、なかなか戦争は止まらない。
この映画では、現場の人間たちの苦悶と、官僚組織の大きな隔たりを描いている。
ソ連の病的な官僚組織はチェルノブイリ事故をきっかけにしひび割れ、4年後、ソ連は崩壊していく。
しかし、プーチンという専制主義はソ連と同じ KGB 的な手法によって、ますます統制を強める。
世界はプーチンの戦争をどうやって止めたらいいのか。
ロシア国内から、いつ、どんな声が上がってくるのか。
正念場はまだまだ長く続くように思うが、諦めてはいけない。
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