鎌田實の一日一冊(415)
「えんどうまめばあさんとそらまめじいさんのいそがしい毎日」
(降矢なな著・イラスト 松岡享子原案・文 福音館書店)
原案・文は児童文学者の松岡享子さん。
松岡さんは、今年1月、86歳で、諏訪中央病院で亡くなりました。
緩和ケア病棟から見える八ヶ岳が気に入ったようです。
がんが再発し、「覚悟ができている」ということでした。
「原村の山荘に帰りたなら帰れますよ」というと、
すぐに大好きな山荘に戻りました。
その山荘に、ぼくも2度ほど主治医の先生とともに往診に行きました。
松岡さんは、やりかけの仕事の整理をしたりしていました。
とても楽しそうでした。
まさか病床で、この絵本をつくっていたとは。
スロバキア在住の画家・降矢ななさんと連絡をとり、
急ピッチでこの作品をつくっていたのです。
とてもいい絵本です。
ページをめくると、小さな文字で「くらすということが大事。いそがしく、たのしくね」と書かれています。
たぶん子どもたちにこのことを伝えたかったのだと思います。
ユーモアがあり、ぼくが回診に行くと
「すべての道は老婆に通ず」
「老婆は一日にしてならず」
二人で大笑いをしました。
「今度は、鎌田先生のユーモアを聞きたい。次回の回診のときまで宿題ね」
松岡さんから渡された宿題、ユーモアを胸に生きていこうと思っています。
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