鎌田劇場へようこそ!(540)
「愛する人に伝える言葉」
カトリーヌ・ドヌーブとブノワ・マジメルが共演。
すい臓がんとわかった息子は、母とともに名医として知られる医師を訪ねる。
母と息子。息子とその息子。いろんな問題がある。
圧倒的な存在感を出しているのが、医師を演じるガブリエラ・サラ。
カトリーヌ・ドヌーブにまったく負けていない。
ガブリエラ・サラは実際に化学療法の専門医。
現実の世界でもこうやって患者さんと触れ合っているのだろう。
冒頭、最期に立ち合えなかった家族が登場する。
最期は自分で決めているのだから、立ち合えなくてもそれはそれでいいのだ、という言葉ではじまる。
最後に、主人公が亡くなっていくとき、母のカトリーヌ・ドヌーブがほんの少しだけ席を立つシーンがある。
そんな別れ方がある。
いいなと思った。
ぼくは、最期は一人でいいと思ってきたので、この映画を見ながら、そうだ、そうだと思った。
「旅立つ許可を与えましょう」
なんと勇気のある言葉だろう。
ドクター・ガブリエルが大切にしている言葉は、
「オレを許して、オレは許す」「ありがとう」「さようなら」「愛している」
--という5つ。
ぼくはいくつかの本に、最期は「サンキュー、グッバイ」と言って旅立つと書いてきた。
いろんな過ちを、「オレを許して、オレは許す」と言えたらいいなと思う。
「さようなら」の後に、「愛している」と言えるかどうかは、まだ自信がない。
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