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2023年6月 9日 (金)

鎌田實の一日一冊(422)

『百万本のバラ物語』(加藤登紀子著、光文社)

「百万本のバラ」は、加藤登紀子さんの代表曲の一つ。
もともとはラトビアの子守歌でした。
歌詞をジョージアの画家が女優に恋をするという物語に変え、1980年代に大ヒットしました。
そのときの歌手は、平和を訴えて、ロシアのウクライナ侵攻を批判し、ロシアを脱出しています。

『故郷よ』というチェルノブイリ原発事故を扱ったウクライナとフランスの合作映画があります。
主役は『007』に出演したオルガ・キュリレンコ。
原発がまさに事故を起こす1986年4月26日、まちではいくつもの結婚式があり、
「百万本のバラ」を歌って祝うシーンが出てきます。

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ぼくたちがチェルノブイリ支援に行った1991年、キーウからチェルノブイリ原発に向かう途中、
バスのなかで「百万本のバラ」を歌うと、ロシアやウクライナの案内人や運転手が驚いていました。
ロシア語と日本語で「百万本のバラ」をみんで歌いました。

1986年4月26日の原発事故の前後、加藤登紀子さん父親がウクライナでコンサートをするため、偶然、キーウを訪ねていました。
コンサートは原発事故で中止になりましたが、
「こんなときほど、やったほうがいい」と言ったという、気骨のある父親だったといいます。
戦後まもなく襲来したキティ台風で、屋根が吹っ飛ばされたときも、
「トコ、見てごらん、ほら青空。気持ちいいよ」
こんなご両親がいたことが、いまの加藤登紀子をつくったように思いました。

おもしろい本です。

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