怒りの連鎖を断ち切る物語
2012年、ぼくはイスラエルや、ヨルダン川西岸のパレスチナ地区、そして、今紛争になっているガザ地区を訪ねた。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の代表している清田ドクターにエスコートしてもらい、
著書『アハメドくんのいのちのリレー』の英語版と、イスラエルの人のためのヘブライ語版、パレスチナの人のためのアラビア語版をもって、読書会をして歩いた。
パレスチナの少年の心臓が、イスラエルの少女の命をつないだ、パレスチナとイスラエルの間で行われた臓器移植の物語を読むことで、
お互いに理解しあえるようになるといいと思ったのだ。
今、パレスチナとイスラエルは「やられたせらやり返す」的な殴り合いから、戦争状態に発展した。
どちらに味方しているわけではない。
少しでも冷静になってもらいたいと思って、この文章を書いている。
『アハメドくんのいのちのリレー』は実際にあった話。
イスラエルの少女は重い心臓病だったが、パレスチナの少年アハメド君の心臓を移植し、
学校に行けるようになった。
左からアハメド少年の父親と、心臓移植を受けたイスラエルの少女
アハメド少年の父親は、息子がイスラエルの兵士に撃たれ、脳死状態になったとき、心臓の提供に同意した。
「息子さんを助けてあげることはできないが、息子さんの心臓はほかの子どもを助けてあげることはできる」と医師に言われたのだ。
父親は、イスラエルの子どもに移植されることも予想していた。
友人からは非難されたが、
父親は息子の心臓が、パレスチナとイスラエルの平和の架け橋になってくれたら、と考えたのだ。
戦争状態にあるパレスチナとイスラエル。
今こそ、冷静になってもらいたい。
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