メメント(3)
菅原文太さん
蓼科にあるインド料理のナマステに文太さんをお連れした。
たいへん気に入ったようで、それ以来、
「そろそろカレーが食いたい。付き合ってくれ」
と電話がかかってくるようになった。
この日はつりバンドで、相変わらずかっこいい。
長靴をはいて手ぬぐいを肩にかけ、小淵沢の農場からタクシーを飛ばしてきたこともあった。
2014年9月、ナマステでカレーを食べた後、
「もう一回カレーを食べたい」と言われた。
「では、12月のクリスマスのころに」と言うと、
「もうちょっと早くできないかな」と言われた。
はい、と返事をしたのに、ぼくは忙しくて文太さんをお誘いすることができなかった。
彼は11月28日に亡くなった。
結局、9月が最後のカレーになってしまった。
もう一度、ナマステのカレーをご一緒したかった。
悔いが残っている。
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