ゴールデン小説ウィーク②
「ラブカは静かに弓を持つ」(安壇美緒著、集英社)
ラブカとは、深海魚。
深い海に潜ってなかなか動かないスパイの暗号だ。
作曲家の著作権を管理する団体の青年が音楽教室へ入り込んで、
チェロを学ぶ。
心を開けない青年の心が、少しずつ溶け出していく。
音楽を通してどんどん変わっていき、人と打ち解けては話ができるようになっていく。
読んでいる側も、この青年、スパイなんか止めてしまえばいいのに、と感情移入。
殺人などの大事件は何も起こらないが、緊張感が漂っている。
大人の習い事ってこんなことなのかとも思わせる。
主人公はチェロを弾く楽しさを経験し、初めて友だちができる。
信頼とは何か、創造力とは何か、希望とは何か。
けっこうハラハラドキドキしながら楽しく読めます。
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