鎌田實の一日一冊(433)
『五月三十五日』(エーリヒ・ケストナー著)
以前読んだ覚えがあるが、どうしても読みたくなって古本を探した。
4000円と少し高かった。
5月35日なんてありえない日付だが、そう言い切った瞬間、何でもありになる。
おじとおいが旅に出る。
なまけものの国では、鶏が産む卵はすでにハムエッグになっている。
ケストナーは、最後にこんな言葉を記している。
「ソクラテスに捧げる。
たしかにそうだ。質問からこそいつも変わらぬ真理が生まれる。
あの子どもの問いを考えてみなさい。
『風は吹いていないとき何をしているの?』」
そうなんだ、大切なのは「問い」を自分のなかに持てるかどうか。
「値打ちのある誤り。
誤りにはそれなりに値打ちがある。
だが、いつでもというわけではない。
インドに向かって航海するだれもが、アメリカを発見するわけではない」
5月35日は、6月4日とも言える。
35年前のこの日に天安門事件が起きた。
あれから中国はおかしくなっていったように思う。
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