世界はどこへ行くのか(22)
シリアのアサド政権が倒れたことは朗報だった。
アサドは50年、親子二代にわたって恐怖政治を続けてきた。
シリアのダマスカスで病気の子どもたちを支援しているNPOと連絡をとるため、
イラクからシリアに入ったことがあった。
イラクのタクシーであったために、秘密警察のような人物に尋問された経験がある。
ビザも取って入国申請したにもかかわらず、強圧的なチェックを受けた。
怖い国だと思った。
そのアサド政権が崩壊して、シリア国民会議ができかかっているが、本当にできるかどうかわからない。
暫定政府を支援するシリア解放機構はかつては過激派だった。
解放機構を解散すると発表している。
そして、新憲法基礎を協議すると述べている。
本当にそうなるかどうか、ほかの反体制組織がどう出るかで決まってくる。
それぞれ組織にある後ろ盾の思惑が絡んでくるからだ。
アサドを支援していたのはロシアとイランだった。
だから、この二国の力はだいぶ削がれたと言っていい。
その代わりに出てきたのが、トルコの支援を受けているシリア国民軍や、
トルコとは敵対関係にあるクルド人勢力主体のシリア民主軍などである。
シリア民主軍はアメリカと連携し、過激派組織イスラム国と対峙してきたこともある。
関係国の思惑に踊らされないか心配だ。
シリアが国民会議をつくり、新憲法がつくれるかどうか。
この半年ほどは注視したい。
シリアが安定しなければ、シリア難民はいつまでたっても帰れない。
難民を抱えている国も不安定を抱え込むことになる。
だからこそ、シリアを安定した国にしなければならない。
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