漂流ポスト
陸前高田にある「漂流ポスト」を訪ねたことがある。
ここには、災害や事故などで亡くなった人に宛てた手紙が全国から届く。
その数は1000通を超えた。
その手紙を集め、『千の流れ星』(狩野耕生著、河北新報出版センター)という本になった。
こんな手紙が紹介されている。
「あれから6年。早いなあ。俺の中では311で止まっている。
オヤジ、おふくろ、蓮華、三人元気でやっているか。
俺はあの日が起きてから、生きることを諦めた。
死のうと思った。海が憎くなり、見たくもなく知らない土地へ逃げようと思っていた。
(中略)
蓮華へ。3歳という若さ。短い人生でしたね。
パパが代われるなら代わりたいよ。
今もそう思う。
忘れられるわけがない。
生まれてきてくれた時、一緒にお風呂。散歩、ドライブ、いろいろ。
パパはあなたへ何ができましたか。
良いパパでいてあげることができましたか。
家族で過ごした自宅を直したよ。
全部同じに直した。
走り回っていた同じ家だよ。
3人でおいで。待ってる。
(中略)
オヤジ、おふくろ、蓮華。
俺は負けねえ。
空から見えるだろう、トラックの看板。
夕方になると光る、遠藤造船の光が。
俺はここにいる、いるぞ。」
ぼくは、頼まれてこの本の帯を書いた。
「東日本大震災で家族や身近な人を亡くし、残された人々には、日を追うごとに少しずつ前向きになる気持ちと、決して乗り越えることができない思いとが同居している。
漂流ポストには、そんな人々の心の叫びが寄せられている。
熱い手紙。泣きながら読んだ。」
ぜひ、皆さんに読んでもらいたいと思う。
漂流ポストは、カフェを営む赤川勇治さんが10年前に設置したものだが、
現在は、陸前高田にある慈恩寺に移された。
明日は、3月11日。
東日本大震災が起きて14年になる。
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