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2025年5月16日 (金)

日本はどこへ行くのか(24)

なかなか米の値段が下がらない。
備蓄米を放出しても、米の値段が下がってこない。
生産コストの上昇、生産者の高齢化、国のいびつな減反政策などが複雑に絡まって、米の値段が少し高くなっても、生産量が一気に増えるような要件にはならない。

生産力の問題は、農業県の長野にいるとひしひしと感じる。
ぼくの患者さんで、90歳まで田植えをしていた人がいる。
これ以上は田植えは無理と、6反歩を人に貸すことにした。
耕作放棄地にしないためである。
賃料はいくら? と聞くと「ゼロ」。
土地を荒れ地にしないことと、土手草などの雑草取りをすることが交換条件だという。

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もう一人の92歳の男性も、やはり6反歩の耕作地を貸し出すことにした。
この方は、定期的に自分で土手草の草取りをするからと、年間1万2000円で貸し出している。

82歳の男性は、隣の家のご主人が亡くなって、
田植えの準備ができないと言われ、田んぼの水張りまでの準備を手伝ってあげることにした。
手伝い料は1万円。

田んぼを持っていても、ほとんど収入がないことがわかる。
そして、米を作るまでの労力と収入があまりにもアンバランスである。
農業地域の生産力が高齢化し、農業が瀕死の日本。
日本の農業システムを根本から考え直す時期に来ているように思う。

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