2009年6月 2日 (火)

新型インフルエンザに負けない⑦

~~原則から外れた対応~~

新型インフルエンザの感染例が国内で報告される前、厚生労働省は水際作戦と称し、アメリカやカナダ、メキシコからの飛行機に対して、機内検疫を行ってきた。
現在は、もうしていないが、もともとばかげた話であった。
アメリカからの飛行機には検疫の網をかけたつもりでも、アメリカからヨーロッパへ行って日本に入ってくる人だっている。
結局、ウイルスを完全に水際で抑えることは、いまのグローバル社会ではできないのである。
完全にできないことを、まるでできるかのようにはしゃいで、自分たちはいい仕事をしていると、見せかけだけの実のないことをしている。
自分たちがはしゃくのはいいが、水際作戦をやっておいて、もれてしまったときの国民の不信感はなかなかぬぐえない。
今回は、アメリカから帰国した2人の高校生の感染をチェックできなかった。
このことに批判の声もあるが、もともとできないことをしようとしたことが間違いなのである。

感染症対策は、感染対策マニュアルというのがあり、原則通りにすれば、十分抑えることができる。
感染対策として、原則的でないことはしないことである。

~~☆~~☆~~☆~~

これから、障がいをもつ人やがんのある人たちとグアム旅行に行ってくる。090602
先陣はもうグアムに入っていて、ぼくもこれから追いつこうと成田空港に来て、驚いた。
ほとんど人がいない。がらんとしているのだ。
新型インフルエンザで、みんな渡航を控えているらしい。
日本の経済がますます心配になった。

今回の旅には、最終的に87人が参加してくれた。
すでにみんなはグアムに到着していて、グアム観光局の人から大歓迎されたという。
グアムにはまだ新型インフルエンザの感染例は一例も出ていないが、観光客がめっきり減り、沈んでいたという。
そこにぼくらのツアーが行ったものだから、「久々にいいニュース」と、町中で歓迎してくれているようだ。

グアムでの様子は、またご報告しますので、お楽しみに!

2009年6月 1日 (月)

新型インフルエンザに負けない⑥

~~おたおたしない~~

10日ぼと前、名古屋で味噌煮込みうどんを食べ、大阪に寄り、和歌山で開かれた国保の現地研究会に行ってきた。
大阪に入ると、マスクの人たちが目立った。
もちろん、ぼくはマスクはしていない。そんなに効果が期待できないからである。
してもかまわない。
新型インフルエンザ騒動で、元気な人たちが行動を自粛してきた。
関西では、36万人の宿泊がキャンセルされ、約43億円の損失が出ているという。
おかしなことである。
ぼくは自粛はしない。
手洗いとうがいをきちんと行い、今まで通りの鎌田流の生き方をする。
食べたいものを食べに、食堂にも入る。
行きたいところに出かけていく。
こういう不況のときに、人が動き、ものを買ったり、食べリすることが大事なのである。

人を批判しあって、不安過剰社会をつくりだしている。
ぼくの最新刊『へこたれない』は、「おそれない」「悩まない」「欲張らない」「おたおたしない」「へこたれない」という5章の構成になっている。
今、おそれすぎる社会なのである。
おたおたしすぎる社会なのである。
みんな一つの空気に感染していく。
政府の力のなさと、マスコミの影響で、インフルエンザに感染しないのに、悪い空気に感染してしまっている。
新型インフルエンザに感染した高校生や学校を責めたり、高校生たちと同じ電車を利用している客が、もし感染したらどうするんだ、と非難の電話をするという。
同じ電車に乗ったからといって、簡単には感染しない。
おたおたしすぎである。。
感染したかもしれない子と一緒の電車に乗ることを、そんなにおそろしがっているのだとすれば、インフルエンザの患者をみているぼくたち医師や看護師たちはどうしたらいいのだ。
しかも、ものすごい悪条件のなかで、医師や看護師は患者を拒否することもせず、きちんと治療しているのである。
インフルエンザだけではない。
結核の患者さんでも、エイズの患者さんでも、ぼくたちの社会はつねに感染症と戦っているのである。
ヒステリックにならないこと。
不安過剰にならないこと。
中傷しないこと。
感染した人は不可抗力である。
そのうえ非難されるのは不条理である。

2009年5月28日 (木)

新型インフルエンザに負けない⑤

~~感染症のたしなみ~~

弱毒性の新型インフルエンザが日本国内に発生すると、急速に国内で感染例が報告された。
日本社会は大騒ぎになっているが、日本人だけが感染しやすいというわけではない。
おそらく日本以外の国では、インフルエンザの種類をこんなに徹底的に細かく同定してないので、季節性のインフルエンザ例に紛れ込み、見過ごされている可能性がある。
弱毒性なので、ちょっとした風邪で、自然に治ってしまっている例だっていっぱいあるはずだ。
連日、日本で患者が猛烈に増えているようにみえるのは、日本人特有の重箱の隅をつつくような、ある種の几帳面さのせい。
だから、パニックになってはいけない。0905055
むしろ、運がよかったとぼくは思う。
弱毒性の新型インフルエンザが広がったことで、国も、国民の一人ひとりも、感染症に対するシミュレーションができたのではないか。

今回は、厚生労働省の肩に力が入りすぎて、国民に不安感を抱かせた。
もっとゆったりと構えて、国民の不安感を払拭していくのがリーダーの役割である。
アメリカで模擬国連に参加した高校生が、帰国後発症したが、その学校の校長先生が「たいへん申し訳なく、責任を感じている」というような談話を発表していた。
だが、感染症にかかったことは不可抗力である。
校長やその生徒を責めるのは、オカドチガイなのである。
日本は、江戸時代の結核患者に対する村八分だとか、ハンセン病患者に対し、世界で類をみないほどの長期間、島などに隔離政策をしてきた。
まだその遺残があるように思えてならない。

かかったものはしょうがない。
だれでもかかる可能性はある。
やるべきことは、科学的に証明されている対策をきちんととり、蔓延を防ぐこと。

感染した人は自己責任のもとに、人が集まるところには出て行かない。
それは、新型インフルエンザでなくても、たしなみというものである。
家族のなかでも甘えないで、できるだけ自分のことは自分して、家族に広がらないようにする。
職場や地域に広がらないようにするにはどうしたらいいか考えて一人ひとりが行動する、その訓練が今回の新型インフルエンザ流行のなかで学ぶことができたのではないか。
大人になりきれないこの国のリーダーたちにとっても、いい訓練になったと思う。

2009年5月25日 (月)

新型インフルエンザに負けない④

~~ワクチンのトラウマ~~

新型に限らずインフルエンザに対して、ワクチンは有効である。
この冬、はやるであろう新型インフルエンザに対してのパンデミック・ワクチン、そして、将来的に流行が危惧される鶏インフルエンザに対するプレパンデミック・ワクチンの生産体制を整え、きちんと数を確保しておくことが大切である。

ワクチンが有効である一方で、ワクチンに対してのトラウマもある。0905152
かつて日本で小児麻痺が大流行した時期があったが、ワクチンのおかげで克服できた。
しかし、小児麻痺ワクチンで、軽度の小児麻痺が発生してしまっている事例が報告されている。
こうした重大な副作用の事例をみると、ワクチンは怖い、と思われがちである。
だが、あきらかに小児麻痺の猛威からたくさんの子どもを救ったことを忘れてはならない。
もちろん、副作用を極力減らす努力は必要であるが、マイナス面ばかりを恐れすぎず、プラスの有効性も考えて、ワクチンを利用するというスタンスが大事だと思う。

インフルエンザのワクチンに対しても、トラウマはある。
1976年、アメリカで4000万人にインフルエンザワクチンが投与され、500人にギランバレー症候群という神経症状がでた。
軽度の人は一時的に歩けなくなった。その後、障害が残る人もいた。
4000万人のうち500人のギランバレー症候群を起こしたということで、一時期、インフルエンザワクチンに対して抵抗感が広がった。
ギランバレー症候群は、原因がわかっていないが、ある程度、治療方は確立してきた。
原因は、おそらく何種類かある。
そのうちの一つにインフルエンザワクチンがあるといわれている。

しかし、ここ10年くらいの日本の推移をみていると、インフルエンザワクチンをした人はあきらかにインフルエンザ感染が少なくなっているし、感染したとしても軽症ですんでいる。
強制ではないが、お年寄りや免疫力が弱まっている人には、インフルエンザワクチンをおすすめしている。
もちろん、ぼく自身も家族も、受けている。

ワクチンの副作用はきちんと報告しながら、それぞれの国民の自由意志で、冷静に判断すべきである。
特に、鶏インフルエンザに対するプレパンデミック・ワクチン(H5型のワクチン)は、有料で希望者に投与することをはじめたらいいと思う。
一度、流行してしまってからではなく、はやめに対応し、パンデミックを抑えることが大切である。

2009年5月23日 (土)

新型インフルエンザに負けない③

~~ウイルスとの長期的な戦い~~

国内に侵入した新型インフルエンザは、1カ月後にピークを迎えるといわれている。
6月10日前後にあたる。
しかし、何度もいうが、新型インフルエンザは弱毒性のウイルスなので、きちんと対処すれば被害は少なくすますことができる。
1918年のスペインインフルエンザの第一波の発症経過をみると、6月末から7月に鎮火している。
おそらく今回のも、7月上旬に鎮火するだろう。

問題は今年の冬である。猛威を振るう可能性は大きい。
この新型インフルエンザに対応するワクチンを、パンデミック・ワクチンといい、すぐに大量につくるべきである。

このワクチンとは別に、政府は、H5型の強毒性の鶏インフルエンザに対応するためのワクチンを3000万人分備蓄しているという。0905192
これを、プレパンデミック・ワクチンという。
これは優れた発想である。
鶏インフルエンザは強毒性なので、ワクチンで国民に基礎免疫をつけておくことによって、日本では45万人、世界では4000万人が亡くなったスペイン・インフルエンザのような悲劇を回避できる可能性がある。
インフルエンザは、何がはやるかわからないが、鶏インフルエンザの大まかな形であるH5型のワクチンを一度打っておくことで、たとえウイルスが突然変異をおこして形が変わったとしても、強毒性の鶏インフルエンザへの免疫力は高まるのだ。

まずは、今年の冬に間違いなく流行する新型インフルエンザのパンデミック・ワクチンをどれほど準備であるかである。
日本の力を示すチャンスである。
年率換算すると、GDPが15%下がるほど景気が悪化しているという。
これ以上の景気の悪化を防ぐためにも、政府はインフルエンザ対策にきちんとお金を投資し、世界をリードすべきである。

もう一つ大事なことは、恐れすぎないように、政府や厚生労働省は国民に強くアピールを繰り返すべきである。
当初の水際作戦のときのイメージは、かえって恐怖心をあおったような感じがした。
それが、外出禁止や社会活動の中止につながり、経済や人の活動を萎縮させていくことになった。
社会活動を中止するのではなく、社会活動ができるように対策をとるべきなのである。
ここをはきちがえないようにしたい。

インフルエンザは、飛沫感染する。
半径1メートルくらいの範囲には、くしゃみや咳などともにウイルスが飛び散る。
空気感染も起こす。
くしゃみや咳などで飛んだウイルスが空気中のほこりなどについて、しばらくの間、空中に漂う。
それを吸うことで空気感染する。

空気に染まるなということを、このところ繰り返し書いてきた。
6月11日から、集英社の携帯総合読み物サイト「theどくしょplus」(有料)で、「ながされない―鎌田實の《空気に負けない生き方》」という連載を始める。
人間の心と空気の関係を展開する予定だ。
新型インフルエンザに対しても、恐怖心が先行した空気に感染してはいけない。
政府のミスリードで、国民の心がどんどん萎縮する方向にきているように思う。
負けずに、元気を出して、楽しいことをしたり、体を動かしたり、おいしいもの食べにレストランに食べに行ったり、活発に社会生活を送ったほうがいい。
もちろん、無防備ではいけない。手洗いとうがいを繰り返し行うことは重要だ。
マスクに関しては、CDCは効果を認めていない。してもいいけれど、しなくてもかまわない。
個人の判断でいい。
何か、マスクをしていないといけないみたいな空気があるが、科学的根拠のないことに惑わされる必要はない。
はっきりと科学的根拠のあるものには、それを守ったほうがいいが、そうでないものはマスクをつけることを含めて、強制しないことが大事だと思う。

写真は、諏訪中央病院の庭。
イングリッシュガーデンから寄付していただいた、オランダから輸入したチューリップが終わるとムスカリが咲き、今、ポピーが咲き出している。

2009年5月21日 (木)

新型インフルエンザに負けない②

~~パンデミック~~

新型インフルエンザが上陸した。
『日本を襲ったスペイン・インフルエンザ―人類とウイルスの第一次世界大戦』(速水融、藤原書店)と、『人と細菌―17-20世紀』(P・ダルモン、藤原書店)という2冊の分厚い本を読みながら、人類と細菌、ウイルスとの戦いについて考えた。

1918年のスペイン・インフルエンザは、3回の波があり、日本人は45万人亡くなり、世界では4000万人が亡くなったと推定されている。
まず1918年の秋から3月が第一波の猛威が振るわれる。当時の内務省の発表によると2116万人が感染し、25万7000人が死亡している。
第二波は、1919年の12月から3月、第三の波は1920年12月から3月。やはりスペイン・インフルエンザは冬に猛威を振るった。Photo

このときの日本を襲った状況を調べていくと、注目すべきことは1918年4月に大相撲の力士3人が、台湾巡業中に死亡している。
5月には軍艦でパンデミックが起きている。
6月に全国に広がるが、おだやかな形で終わる。
7月になるとインフルエンザの波は止まっているのである。
このときの4~6月にかけての波をスペイン・インフルエンザと同定していいかどうかは難しいが、おそらくスペイン・インフルエンザであり、H1N1の弱毒のタイプであっただろう。
現在の新型インフルエンザと同じタイプである。
季節性のインフルエンザに近い毒性だと思われる。
1957年にアジアインフルエンザ、1968年には香港インフルエンザが世界で猛威をふるったが、どれも弱毒型であった。
弱毒型でも、たしかに怖いことは怖い。

こうした過去の例からみると、6月末くらいまで軽い感冒様症状のインフルエンザが広がり、1度治まるのだが、問題は秋から冬にかけてなのだ。
スペイン・インフルエンザの死亡率が高くなったのは、1919年の第二波からといわれている。
恐れすぎる必要はないが、今後の準備はしておかなければならない。

今は、不安という空気に染まらないことである。
むしろ今感染した人は、来年、再来年感染しても、重症化することが少ないといわれている。
今のところ、若い人たちに発生が多い。
しかも、メキシコでもアメリカでも若者のなかから死亡者が出ている。
若者が重症化しているのは、過剰免疫反応、サイトカイン・ストームが起きているのだと思う。
新型インフルエンザのときに、よくあることである。

2003年から数は多くないが報告されている、強毒型の鶏インフルエンザH5N1に人が感染した例でも、やはり死亡率は10歳代の人たちが高い。
これは過剰免疫反応と考えていいだろう。
もちろん、お年寄りが安全という意味ではない。
今後、新型インフルエンザが蔓延し、お年寄りが感染したときは、過剰免疫反応はおきないが、体力がないために重症化する例も出てくる。

結局、今、自分たちでやれることは手洗いの励行と繰り返しのうがいである。
インフルエンザにかかったら、早期に病院に行き、早期にタミフルを使用することである。
同時に、家族や職場に広げないように、できるだけ人との接触を避け、数日を安静に過ごすことが大事である。

今後も人類はウイルスとの戦いをせざるを得ないだろう。
新型インフルエンザのワクチンの製造は、半年はかかるといわれている。
政府は、ワクチンの製造に全力投球し、本格的な季節に備えるである。
日本の鶏卵を使ってワクチンをつくるシステムは、非常に遅れている。
組織培養細胞でウイルスを増殖させるシステムがすでに確立しているので、できるだけ早く安定的なワクチン製造システムを整えるべきである。
舛添さんは、一時そんなことを言いかけたが、すぐに前言をひるがえしている。
こういう腰砕けではいけないのである。
世界がこれからウイルスを使おうとしてるときに、日本がその治療の先頭を走れるようにしておくことは、チャンスである。

麻生さんは、職能協会に7000億円もの無駄金をぶち込もうとしているが、またコンパニオンにお金が消えるだけ。
このお金をワクチン製造システムに使うことで、今後、どんな新型のウイルスが出てきても、3カ月くらいでワクチンを供給できるシステムをつくってしまえば、
これから何年か後におきてくる強毒性の鶏インフルエンザが変異して、人に感染したときに、ワクチンで対応できるはずである。
国民の税金をコンパニオンと一緒に飲むお金につかってほしくない。
インフルインザの猛威に対して迅速で適切な対策をとることは、国民に安心を与えるだけでなく、世界から尊敬される国づくりをするチャンスにもなる。
麻生さん、はやく前言をひるがえして、くだらないお金を使わず、新型インフルエンザのワクチンづくりにお金を投入してほしい。

2009年5月18日 (月)

体が喜ぶヒント⑨

~~アンチエイジング2~~

「日刊・鎌田實なげださない」のアクセス数記録が更新された。
なんと、一日18000件を超えた。
「7悪3善1コウモリ」という健康法に興味をもったのかもしれない。Photo_2 
新刊『がんばらない健康法ー「7悪3善1コウモリ」の法則』(朝日出版社)のほうも売り切れ続出、増刷が決定した。

アディポネクチンという生活習慣病を予防してくれるホルモンがあることがわかった。
しょうが、とうがらし、ねぎ、わさびなどが、アディポネクチンの分泌を高め、動脈硬化を予防してくれる。
その結果、脳梗塞や心筋梗塞、脳血管性認知症のリスクが少なくなる。
日本では、薬味といわれているものである。
味をあきさせないように、そうめんなどに入れるが、実は「薬味」という言葉のとおり、薬なのである。
生活習慣病を予防してくれる、薬効をもっていると考えていい。
おそばやさんにいったときに、薬味を使わない人がいるが、できるだけ薬味を使おう。
若々しい肌や血管を保つために大事である。

鎌田流速遅歩きやがんばらないスクワットとはどんなものか、質問が来ました。
近々、動画でご案内する予定です。

2009年5月17日 (日)

体が喜ぶヒント⑧

~~アンチエイジング~~

本日5月17日の読売新聞朝刊に鎌田實の連載23回「見放さない」が載っている。
血管の健康にいい「7悪3善1コウモリ」について書いた。

そこに書ききれなかった、老化を防ぐ10か条を紹介しよう。

1・抗酸化力の高い食物を食べる
2・軽い運動を定期的にする。鎌田流速遅歩き、がんばらないスクワットというのがある(近いうちに動画をアップします)
3・ちょい太、ちょいコレがいい
4・タバコは吸わない090506
5・お酒は適量
6・心をあたためる
7・紫外線に当たりすぎない
8・炭水化物はとりすぎない
9・腹八分目を心がける
10・睡眠は長さより質

活性酸素などのフリーラジカルを暴れさせないために、これらの10カ条がいい。
具体的には、ビタミンAECがいい。
ビタミンAは、カボチャやニンジン、ウナギ、アナゴ。
ビタミンCは赤ピーマン、カリフラワー、果物。
ビタミンEはカボチャやアボカド、菜の花、ピーナツ、アーモンド、ウナギ、ハマチ・・・など。
抗酸化力の高い食べ物としては、αリボ酸の多いブロッコリー、ほうれん草。
加齢による目のトラブルを防ぐといわれているルチンは、キャベツやソバに含まれている。
動脈硬化やがんの予防効果が高いといわれているリコピンは、トマトにたっぷり。
老化を防ぐといわれているコエンザイムQ10は、イワシ、サバ、ブロッコリー。
セサミノールは、ゴマ。カテキンは各種のお茶。

人は酸化するほど老化していく。酸化とは血管のさび付きである。これを防ぐには抗酸化力の高いものを食べること。
健康で長生きするには、コツがあるのである。
読売新聞の連載でも、血管が勝負と書いた。
ちなみに次回の「見放さない」は6月21日、お楽しみに。

このブログの「体が喜ぶヒント」は、あまり他では聞かないような健康にいいヒントがいっぱい。
よろしかったら、4月28日の①からご覧ください。

2009年5月15日 (金)

新型インフルエンザに負けない①

~~おそれすぎない~~

新型インフルエンザが猛威をふるっている。
新型ウイルスは、H1N1で弱毒型である。
ヘマグルチニンというHが5つとか、7つとかつく形は、強毒になることが多い。
鶏インフルエンザの多くは、この形である。

しかし、鶏インフルエンザは人間には感染しにくい。
鶏インフルエンザのウイルスも人インフルエンザのウイルスも、豚には感染しやすく、両方のウイルスが豚の体の中で混ざって新型ウイルスが発生することが知られている。
これが、豚から人へと感染し出した。

今回の新型インフルエンザウイルスは、弱毒である。090506
しかも、タミフルやリレンザが効くのであまり心配することはない。
もちろん、日本にもちこませないための水際作戦も意味があるが、これが失敗したとしてもおそれることはない。
これから夏になっていくと、ウイルスは繁殖できなくなっていく。
まちがいなく下火になるだろう。

しかし、油断はできない。
1918年に4000万人近くが亡くなったスペイン風邪も、同じH1N1の弱毒型だった。約2年間で3回ほど流行している。
波があるのである。
今回はあまり大きな問題にならず、夏とともに下火になるだろうが、このあとに大きな波がやってくる可能性はある。
そのときのために、タミフルやリレンザの備蓄は必要である。

今いえることは、おそれすぎないことである。
今の状況は、季節性のインフルエンザに準じた対応でもいいはずである。
パニックにならないことである。
感染した人を責めないことである。

インフルエンザは、飛沫感染、空気感染をする。
ウイルスをもっている人がせきをすれば、2~3mの周囲にはウイルスが存在している可能性がある。
周りの人は、それを吸い、ウイルスを付着させることがある。
1、2個程度のウイルスが付着しても、ふつうの体力をもっていれば、感染しない。

おそれず、きちんとうがいや手洗いを徹底することが、感染予防になる。
女性は、のどをがらがらさせるうがいを恥ずかしがるかもしれないが、しっかりのどをがらがらさせて、うがいをしよう。
そうすれば、今の段階では、それほど新型インフルエンザをこわがる必要はない。

むしろ怖いのは、「新型インフルエンザは怖い」という、空気に感染することである。

2009年5月11日 (月)

体が喜ぶヒント⑦

~~健康にいい食べ合わせ~~

いま日本人の2人に1人が一生の間にがんになり、3人に一人ががんで死んでいくといわれている。
アメリカの国立がん研究所が発表しているデザイナーズフーズでは、キャベツ、しょうが、ニンニクなどががんになりにくいとされてい。
これらをを少し大目に食べるように心がけよう。
特にしょうががいい。
しょうがはがんになりにくくしてくれるだけでなく、アディポネクチンという動脈硬化の予防をしてくれるいいホルモンの分泌にも関与している。
しょうがをたくさん食べると、血管の老化も防げるのである。
同時に、デトックス効果もある。

以前、魚を週5回食べることをおすすめした。
魚としょうがとの組み合わせはおすしである。
回転ずしにいったら、ガリをたくさん食べる。
がりはただだから、おかわりするくらいの勢いで、たくさん食べよう。
がんにもなりににくなるし、脳血管障害にもなりにくくなるのである。

2009年5月 7日 (木)

体が喜ぶヒント⑥

~~塩分は控えめで~~

冬に漬けた野沢菜漬けが初夏になってすっぱくなると、地元では煮て、赤唐辛子をいれる。
これが実においしい。

35年前、ぼくが東京から赴任したころ、長野県は秋田に次いで、日本で2番目に脳卒中が多かった。
長野県には当時17の市があったが、なかでも茅野市はいちばん脳卒中の多い市だった。

健康づくり運動が始まった。09043020
保健師さんと医師会の先生と病院の医師、それに保健補導員という住民の健康ボランティアの人たちがチームをつくり、健康づくり運動を展開した。
減塩運動を展開していったことが、大きな成功につながった。
脳卒中が激減していったのである。

タクアンが1枚1グラム、梅干が1粒2グラム、みそ汁が1杯1.5グラム。
3食でタクアンを3枚ずつ食べれば、それだけで塩分は9グラムである。
それにみそ汁を朝と夜1杯ずつ飲むと3グラム。
あわせると12グラムになってしまう。

厚生労働省は1日の塩分の摂取量は10グラム以下になると、高血圧は減り、脳卒中や心臓病は激減するとしている。
日本食は健康食であるが、塩分が多くなることが最大の欠点である。

沖縄が健康長寿王国を長く守ってこれたのは、塩分摂取量が1日9.7グラムであったからでもある。
都道府県別でいうと、10グラムを切っているのは沖縄しかない。
塩分の摂取量が少ないことは、今後、沖縄が長寿王国に復活する可能性もある。

まず、薄味をこころがけてみよう。

2009年5月 5日 (火)

体が喜ぶヒント⑤

~~見過ごされやすい亜鉛不足~~

先日、生牡蠣を食べた。
牡蠣は亜鉛を補給するには、たいへん優れた食品。0904301
生牡蠣でもいいし、牡蠣フライでもいいし、牡蠣鍋でもいい。
牡蠣が食べられるのは、1年間の限られた時期なので、食べられるときはぜひ、おすすめする。

健康食として優秀な日本食だが、欠点もある。
塩分の取りすぎと、亜鉛の不足である。

高齢者で食欲が出ない人、味覚がわかりにくい人のなかには、見過ごされがちだが、けっこう亜鉛不足の人がいる。
高齢者が食欲がなくなったときに、亜鉛の薬をとるだけで食欲が回復したりすることがある。
日本の内科医のなかには、亜鉛のことが頭に入っていないドクターもいる。
安易に胃ろうをおいたりする前に、血中濃度の亜鉛量を測ってみるといい。

亜鉛不足は、ジャンクフードばかり食べている若い人にも無縁ではないので、ご注意を。

2009年5月 4日 (月)

体が喜ぶヒント④

~~食欲にもリズムがある~~

前回、睡眠はレム睡眠と、ノンレム睡眠が90分ワンセットで回っていると書いた。
実は食欲も90分サイクルで回っている。
正午に昼食を食べれば、次に小腹が空くのは3時か4時半。
これを超えれば、夕飯6時か7時半まで我慢ができるのである。

ぼくは、朝4時半に起きているので、午後3時くらいが疲労のピークになる。
疲労とは、筋肉に乳酸がたまること。
この乳酸をほかの物質に代謝してあげれば、疲労感はとれる。090426
そこで、ぼくは牛乳にシトラックスというクエン酸をまぜて飲む。
のむヨーグルトのようになって、おいしい。
そのうえ、疲労感がとれるのである。
これは、ぼくが4時間半睡眠でも、人の何倍も仕事をし続けることができる大きな原動力になっている。

地球の自転を、ぼくたちの細胞は感知している。
少なくともぼくたちの体のなかに5つ、体内時計と思われる働きをしている細胞が証明されいる。
そのうちの一つに肥満と関係のある細胞がある。
夜10時くらいになると働きだすビーマル1である。
その細胞が増加すると、脂肪は蓄積される。

夜10時くらいに血管の中に栄養が流れていないことが大事である。
よく食べても太らない人には、夕食後に食べない習慣があることがけっこう多い。
ダイエットを何度やっても成功しない人は、夕飯をしぼっているために、ふろに入ったあとに果物を食べたり、アイスクリームを食べたりする。
それがすべて肥満細胞に取り込まれているために、ダイエットに失敗する。
いつ食べるか、という時間の要素が大事なのある。
ダイエットも、地球の自転を意識すると成功しやすい。

写真は、岩次郎小屋の菜の花。

2009年5月 1日 (金)

体が喜ぶヒント③

~~リズムに合わせてよい睡眠を~~

健康生活には、質のいい睡眠をとることが大事だ。
睡眠不足になると、食欲抑制ホルモンが低下し、食欲促進因子のグレリンが増加する。
これによって、睡眠不足になると食欲が出てしまって、肥満の原因になる。

睡眠は、浅い睡眠のレム睡眠と深い睡眠のノンレム睡眠の組み合わせが90分ワンセットで繰り返される。
このリズムに合わせて、90分の倍数で起きるとすっきりと目覚められる可能性が高い。

ぼくは、42年間、4時間半睡眠を続けている。
4時間半眠れば、起きてすぐに本が読めたり、原稿を書くことができる。
前日の疲れもとれて、また活発に活動できる。090219
4時間半も90分の倍数である。

これではちょっと寝不足だという人は、6時間がいい。
5時間で無理に目覚まし時計で起きたりすると、深い睡眠の途中で目覚めるので、なかなか頭が働き出さない。
睡眠不足を実感して、不愉快になるだけである。
6時間でも体がシャキッとしない人は、7時間半。
いい眠りを得るには、睡眠リズムに合わせることがポイントなのだ。

以前、「あるある大事典」という番組で、納豆が健康にいいという捏造があって問題になったが、その類で「レタスを食べるといい睡眠ができる」というのがあった。
当時、うちの奥さんもまんまと騙されて(笑)、レタス料理ばかりが食卓にでる時期があった。
レタスのサラダはもちろん、レタスの野菜炒めとか・・・。
レタスのしゃぶしゃぷはそのなかの一つ。
エリンギなどとともにしゃぶしゃぶして、ポン酢で食べる。

「いい睡眠ができる」かどうかは別として、なかなかおいしい。
すっかりわが家の定番メニューになったレタスしゃぶしゃぶも、ぜひ、お試しください。

2009年4月29日 (水)

体が喜ぶヒント②

~~週5回は魚を~~

かつて沖縄は長寿王国であったが、2000年に、男性は都道府県別の長寿ランキングで、26位に転落した。
大正時代からのデータをみていくと、沖縄は次第に肉をたくさん食べるようになり、魚を食べない県になっていったことがわかる。
今では、魚をいちばん食べない県になった。
26位への転落は、それと関係が深いといわれている。

昨年、ぼくはアイスランドに行った。Photo
今、男性の長寿世界一は、日本を抜いてアイスランドである。
女性は、日本が今も世界一であるが、男性はアイスランドに座を譲った。
アイスランドでは、やはり魚をたくさん食べる習慣があった。

魚には、EPAやDHAといういい油がたくさん含まれていて、魚をたくさん食べることによって、心臓病や脳梗塞を減らすことができる。
それだけではない。
魚をたくさん食べると、うつが少ないとか、魚をたくさん食べるうちの子はキレる子どもが少ないといった研究データも出はじめた。
精神的なバランスを保つことができるような成分も含まれているようだ。
週5回は魚を食べたいものだ。

2009年4月28日 (火)

体が喜ぶヒント①

~~きれいな色を食べよう!~~

寿命には、2つある。
元気でピンピンしていられる健康寿命。
そして、亡くなるまでの年齢を示す平均寿命。090426_4
つまり、平均寿命-健康寿命=人のお世話が必要になる年数を示すことになる。
いま日本人の男性では約7年、女性では約10年である。
この年数が短いほど、ピンピンコロリに近づくことになる。

健康寿命を向上させるには、活性酸素を暴れさせないこと。
活性酸素は、血管を酸化させる。さびつかせ、動脈硬化などを起こす。
細胞の老化も進め、ときにがんも引き起こす。
骨の老化である骨粗しょう症も、この活性酸素がかかわっていることがわかった。

この活性酸素を暴れさせないようにするには、抗酸化力の高い食べ物を食べることが大切だ。
野菜の黄色や緑色には、抗酸化力のあるβカロチンが含まれている。
トマトの赤い色のリコピンという色素は、βカロチンの2倍の抗酸化力があるといわれている。

魚の色素もいい。
例えば、タイとかイクラの赤い色素は、アスタキサンチンという。
これも抗酸化力がある。

これらの色素は、それぞれの生き物がもっているアンチエイジングの機能である。
おいしく食べて、自分のアンチエイジングにも役立つ。
自然のきれいな色のものを、どんどん食べよう!

2009年4月13日 (月)

第2回鎌田塾で、地域の健康づくり運動を学ぶ

夜、第2回鎌田塾が開かれ、約30人に研修医が集まった。L1070470
ずっと食生活改善推進委員をしてきた、90歳の原ますよさんが出演してくれた。
35年前、ぼくらは地域の健康づくり運動を展開してきたが、原さんたちがすすめてくれた食生活改善の運動は、車の両輪だった。

公民館で、食生活改善推進委員の人たちのお手伝いをもらって、健康にいい食事が並んだ。
ずんだのもち、諏訪湖のワカサギのごま揚げ、鯉の煮物、鶏肉の黒酢煮、豚肉の煮物、トマト寒天、寒天ファイバーのジュース・・・。
L1070467 信州ではおなじみの塩イカも、よく塩出しして、酢で味付けして、キャベツであえて出てきた。
塩イカは塩蔵食品で、高血圧や脳卒中には大敵であったが、工夫次第で塩を減らし、おいしく食べられる。
ごはんには、寒天を混ぜ、食物繊維もたっぷりとれる工夫をしていた。

35年前から、原さんたち食生活改善推進委員のおばさんたちは、ぼくらのアドバイスをもとにして、
塩分を控え、魚と豆を中心にしてタンパク質をとり、ごまやきのこ、きれいな色の野菜などをたっぷり使った料理を地域に広げてきた。
その積み重ねの結果、長野県は、脳卒中を減らし、日本一の長寿地域になっていったのである。

鎌田塾では、90歳の原さんの話を聞きながら、おいしくて健康にいい、たくさんの料理をいただいた。L1070468
若い研修医たちにも、健康づくり運動を担ってきた住民のパワーが伝わったと思う。
幸せな集まりだった。

次回第3回の鎌田塾は、夏。
諏訪中央病院のハーブガーデンで、グリーンボランティアと、病院とボランティアについて語り合いたいと思っている。
研修医たちには、病院のなかで指導医たちから教えられることとはちょっと違う刺激を与えてあげたいと思っている。

2009年4月 3日 (金)

ちょい太はちょい太を呼ぶ?

肥満の人がそばにいると、肥満になりやすいというアメリカの研究報告があった。
「肥満はうつる」というのである。

1万2000人のデータから、肥満の人と友人になると太りやすいという傾向が浮かび上がった。
親友が太っている場合は、とくに同じように太りやすい。
判断基準が、太ることを許容してしまうのではないかという。

喫煙なども、周りの人が喫煙していると、つい吸ってしまうのと同じかもしれない。
だからといって、「太った人を友だちにしないほうがいい」とは言ってはいけない。
それではセクハラならぬ、デブハラになってしまう。

ぼくももちろん、デブは一日にしてならずの、ちょいデブである。
ただし、鎌田流理論では、ちょいデブや、ちょい太、ちょいメタは、けっこう魅力的なのだ。
元気で、長生きができるのである。
だから、ちょい太の友だちをもつのは、けっこういい。
みんなが、おお太にならない、ちょう細にもならない、ちょい太くらいにおさまる社会が、こころの健康にもからだの健康にもいいように思う。

2009年4月 1日 (水)

4/22 いのちの勉強会開催

「いのちの輝きを考える会」は、茅野市の市民が自主的に立ち上げた、人間の生と死を考えるグループである。
「尊厳死の意思表示カード」の発行をしている。
このカードの登録者数は、現在1631人。
カードを持つことによって、いざというとき、無理な延命治療などは望まないという尊厳死の意思を明確に示すことができる。
ぼくも、妻のサトさんもこのカードをもっている。

会では、尊厳死の学習会を定期的に公開で行っている。
次回は、4月22日、茅野市総合福祉センター(3階)で行われるので、近くの人で、興味のある人はぜひ参加してほしい。

また、「あなたと家族のサポートライン」も、会の目玉の活動の一つである。
病気で悩んでいる人や、大切な人を亡くされた人、いま介護や看護をしている家族の人、そんな人たちと悩みを語り合い、ときには相談に応じている。
「いのちのノート」という、リビング・ウィルを遺すために役立つノートも販売している。

ぼくは、以前、茅野市のいろんな会合に顔を出してきた。
毎月10~15くらいあったと思う。
だが、忙しくなって2、3年前から、これらの会合に出れなくなった。
いちばん長く、思い入れが強かったのは、この「いのちの輝きを考える会」である。
今も、この会の会員である。

この会は、市民自身が自立しており、経営的にもきちんとした基盤をつくりながら、大切な活動を続け、多くの市民に自分の死を真剣に考えるきっかけをつくってくれた。
こういう地道な活動が、地域を支えているのだと思う。

尊厳死の意思表示カードや学習会、サポートラインなどについての問い合わせは、事務局0266-72-1892北田さんまで。

2009年3月11日 (水)

メタボ健診に問題あり

メタボ健診の意味を問い直す研究が、厚生労働省の研究班から発表された。
鳴り物入りではじめた厚生労働省の、お膝元からの発表である。

ぼくはもともとメタボ健診にかんして、疑問視をしてきた。
メタボ、メタボと命がけで大騒ぎするのではなく、「ちょいメタ」とか、「ちょい太」とかのほうが、むしろ長生きする。
そんな主張を、「鎌田實のがんばらない健康法」で展開してきた。
(4月、朝日出版社から発売される)。

090222
健診では、腹囲を測定し、男性は85センチ以上、女性は90センチ以上が異常とされている。
だが、今回の研究で、CTで内臓脂肪面積が100平方メートル以上の人と、それ未満の人で、心臓病、脳梗塞を引き起こす動脈硬化の進み具合にあまり差がないことがわかった。
正確にCTを用いて内臓脂肪面積をはかった測定ですら、因果関係に乏しいという結果になったのだ。
まして、腹囲を測っただけでは、本当に内臓脂肪面積がわかるのかどうかも疑わしい。
また、メタボ健診では、まず腹囲の基準をオーバーしており、それにくわえて高血圧や高脂血症、高血糖のどれかがあるときに指導の対象となる。
これを新しい健診スタイルとして大々的に行ってきたわけであるが、どうも因果関係が薄いということがはっきりしたようだ。

日本中で講演をしていると、当然、健康づくりの話もテーマになる。
地域の医師会の先生たちからは、苦情や不満をたくさん聞く。
群馬県のある市の医師会長は、こう不満をぶちまけた。

「メタボ健診のおかげで、がん検診の受診率もメロメロになってしまった。なおかつ、腹囲が正常であると、血圧や脂質、糖が異常であっても、指導が入らない。地域での健康づくりの低下を、メタボ健診がおこしてしまった。しかも、メタボ健診のために医師も保健師も、燃え尽きそうな忙しさで、冗談じゃない」

この医師会長の話は正しいと思う。
各地でこういう話を聞くのである。

メタボ健診なんかやるよりも、『ちょい太でだいじょうぶ』(集英社)や、これから4月にでる『鎌田實のがんばらない健康法』(朝日出版社)のほうがよっぽど効果が出ると思う。

写真は、汐留から望む朝の東京湾。

2009年2月12日 (木)

乳がん検診の受診率を高めたい

毎年4万人が新たに乳がんになり、1万2000人が乳がんで亡くなっている。
日本での乳がんの発症率は、女性18人に1人。090204_2
アメリカでは、すでに8人に1人といわれている。
食の欧米化とともに、日本人の乳がんが著増していることを考えると、なんとかしていかなければいけない。
そのためには、まず乳がん検診を受けることが大事である。
乳がんは、検診の受診率を50%に上げると死亡率を大きく減らすことができるといわれている。
だが、日本の乳がん検診の受診率は22~23%しかない。

アメリカではがん撲滅宣言をした1970年代に、20兆円のお金が投じられた。
日本ではがん対策基本法ができても、関連予算も含め、がんに対する対策費は500億円くらい。
お金のかけ方が決定的に違う。

0902043 ただ、アメリカではがん撲滅をねらって、20兆円をかけたが、結局、がんは撲滅できていないという限界も悟ったということである。
がんという病気は、そういう病気。
だから、できるだけ早期発見をすることが重要になる。
そして、すべてが治るとは思わないこと。
治らないがんでも、上手につき合うことが大事なのである。

がんが再発すると、きちんと診てもらえないなんてことは、なんとも納得のできないことである。
がん難民が生じない国にしていかなければならない。

貧弱な日本のがん対策。
第一歩は、乳がん検診を受診することだ。

写真は、早朝のスキー場。
朝7時から、富士見パノラマスキー場の4キロのダウンヒルを5本滑った。

2009年1月30日 (金)

人とのつながりが支える新しいがんケア

乳がんを専門とする、聖マリアンヌ医科大学の福田護教授と対談した。

福田教授は、2000年からピンクリポン運動を展開し、乳がんの早期発見や早期治療を啓発してきた。
さらに、NPO法人キャンサーリボンズを立ち上げ、乳がんだけではなくて、ほかのすべてのがんの患者さんたちの不安を軽減する新しい取り組みキャンサーリボンズ運動を始めた。
その拠点となるリボンズハウスが、日本中の病院に併設するような形でいくつか実現しつつある。2
リボンズハウスにいくと、がんの患者さんたちやボランティアの人たちが、がんについての情報や、食や美容の問題など、心身の適切なケアの相談に応じてくれる。

福田教授は、ピンクリボン運動を通して、「ドクター・センタード・キャンサー・ケア」(医師中心のがん医療)から、「ペイシェント・センタード・キャンサー・ケア」(患者中心のがん医療)を目指してきた。
キャンサーリボンズ運動では、さらに「リレーションシップ・センタード・キャンサー・ケア」(人間関係中心のがん医療)を目指したいという。
人間関係中心のがん医療――。
つまり、人と人との関係、人と人とのつながりのなかで、がん患者を支えていくことを目指した新しい運動だ。

一方、がんの拠点病院化がすすんでいる。
マスコミで、がんの拠点病院や有名病院が取り上げられると、患者が一気に押し寄せる。
患者が集中化し、現場は混乱を極める。
「もう治療法はありません」と、医師から冷たいことを言われ、放り出された患者は、がん難民となる。
がんの拠点病院でむしろ、がん難民を生み出している現実があるのだ。

一つの病院が、点で支えている。
それに対して、人と人の関係のなかで支えていくという考え方は、とても興味深い。

3 聖マリアンヌ医科大学では、今年3月、ブレストイメージング先端医療センターを開設する。
乳がんを中心に、乳がんだけではなく、女性の医療の新しい時代をひらく世界最高水準の医療を目指したセンターだという。

福田先生は、現在、諏訪中央病院の院長である浜口先生と、聖マリアンヌ医科大学の外科で一緒だったということで、諏訪中央病院には、聖マリアンヌ医科大学の外科からも医師を派遣していただいている。
つながりが深い大学である。


写真は、諏訪中央病院のロビー。絵画や風景などを眺めながら、人と人がゆったりと絆を結ぶ。

2009年1月 5日 (月)

1/21 ほろ酔い勉強会 開催

前回のほろ酔い勉強会は、信州大学の呼吸器科の久保教授をお招きして、大成功に終わった。

次回は、1月21日(水)午後2時から、諏訪中央病院の講堂で開催
ヨーロッパで、糖尿病食やダイエット食としてはやっている炭水化物断ちの、日本の第一人者をお招きする。

糖尿病に関しては、二つのメソッドを知っておくといいと思う。
一つは、カロリー計算をきちんとして、バランスよく食べるスタンダードな方法。
これが、いちばんの王道だ。
でも、グルメでフレンチやイタリアンを食べてしまう人は、炭水化物断ちを覚えておくのもいい。
ちょっと傍流ではあるが、一つの新しいメソッドである。
この二つを知っておくと、糖尿病の人にも、ダイエットしたい人にもいいと思う。

2008年12月 2日 (火)

イメージトレーニングが大事

交感神経=がんばる神経がつねに緊張状態にある現代社会では、ときどき、意識的に副交感神経=がんばらない神経を刺激することが大事である。
そんなことを、『いいかげんがいい』という本に書いてきた。

温泉に入ったり、おいしいものを食べたり、気の合う友だちとおしゃべりをしたり、きれいな景色をみたときに「わあ、きれい」と思うことが、副交感神経を優位にする。
そのイメージを強めるには、声に出すことがよい。
感動を、言葉にするのだ。

スポーツのイメージトレーニングでは、サイキングアップという手法が行われる。Pb210370
呼吸法や音楽やイメージによって、心を興奮状態に高めるというものだ。
だが、この手法は、なかなか日常生活には応用しにくい。
たとえば、自動車のセールスマンが、高級車を買ってくれそうなお客に商談に行く。
そのときに、アドレナリンをバンバン出すようにサイキングアップすると、かえってお客は勢いに圧倒され、逃げ腰になり、商談はうまくいかない。
むしろ、副交感神経を優位にするイメージをしたほうが、商談は成立するのではないかと思う。

実はスポーツのなかには、サイキングアップで交感神経の緊張を高めるよりも、副交感神経を刺激してリラックスするほうがいいものがある。
野球なんかは、微妙である。
イチロー選手は、バッターボックスに立つ前に、脱力系のルーティンを繰り返す。
一方、今年引退したスラッガー清原は、まるでプロレスラーがリングに立つときのように気持ちを鼓舞する、長渕剛の「トンボ」にのって、バッターボックスに入っていく。
サイキングアップしすぎているのではないか、と思った。
相撲や柔道やプロレスとは、野球は違うところがある。
そこを彼は勘違いをしていたのではないか、という気がする。

人生も、多くのスポーツも、リラックスをして、副交感神経を優位にもちこんだときのほうが、ここぞというときに、ぐんとアドレナリンが出て、がんばる神経に切り替えられるのではないか、という気がする。
発想の転換をしてはどうか。
実は大事なときほど、副交感神経にゼロ調整しておくほうが、のびのびと、しなやかに状況に対応できるのではないか。
リラックスムードのほうが、相手からも受け入れられやすい。

そのために、リラックスできる自分なりのルーティンを探しておこう。
いい景色を見ながら、深呼吸をするのもよい。
わあ、おいしい、幸せ、と感動を声に出すのもよい。
そういうルーティンが、幸せの作法となる。

2008年11月24日 (月)

いいお茶、いいひと時

静岡のお茶がとてもおいしい。

10月25日に、清水市の清水かがやき塾で講演をしたとき、
「清水のもっともおいしいお茶です」と、いただいたお茶である。

081025あれから、毎日このお茶を楽しんでいる。
大切に育てられ、丁寧にお茶にされているのだろう。
心が伝わってくるようなお茶に感動しながら、心をウォームアップしている。

心は、ときどき温めてあげることが大事。
鎌田流の「がんばらないスクワット」をやりながら、
毎日ぼくは、夕日に感動したり、一杯のお茶に感動したり。
お風呂に入るときは、生きててよかったなあ、と本気で思う。
これが、僕流の心のウォーミングアップ。

2008年11月15日 (土)

暴れだす獣の脳

2007年児童虐待の相談件数が4万件を超えた。

母親が小さな子どもを放置し、餓死させる。
子どもが少し言うことをきかないと、つねったり、たたいたりしてしまう。
なんだか悲しくなってしまうが、人間の心のなかにはそうしてしまう爬虫類の脳がある。

人間は、進化の過程のなかで爬虫類を通っている。
爬虫類の脳のなかには、睡眠欲や食欲や性欲、その隣に攻撃欲がある。
どれもこれも、バランスが保たれている範囲では、生き抜くために必要な力になっている。
しかし、ちょっとした危ういバランスで、性欲と、隣り合う攻撃欲が結びついてしまい、性的な虐待も起きてしまう。

Jpg僕たちの病院には、子どもを引き取って育てている若い夫婦がいる。
子どもがいないわけではない。
生きることに大変な子どもを引き取って、育てているのだ。すごいなと思った。

山梨の内藤いずみ先生に頼まれて、講演にいったときも、僕をサポートしてくれた一人がにこにこしながら、こう言った。
「私はもうおばあちゃんになりかかっているのに、小さな子どものお母さんなの」
自分のお子さんが成人し、いまは虐待に遭ったという子を引き取られたという。頭が下がる。

人間のこころのなかには獣がいる。
だが、獣の脳をコントロールする人間の脳もある。
人間の脳の特徴は、大脳皮質が異常に成長していることである。
人をやさしくしたり、人を支えたりする、こころの中枢が、ここにあるのである。
人間が人間らしく生き抜くためには、この部分にいい刺激を与えることが必要なのだ。

2008年11月13日 (木)

高まる終末期医療への関心

5年に1回、終末期医療の調査が国によって大々的に行われている。
5年前には、この委員として調査にかかわった。

今回の調査は興味深い。
延命治療は望まないと考える人が4割、どちらかというと望まないという人を合わせると、7割以上が延命治療に消極的だった。
前回と比べると、16ポイント増えたことになる。

国民の5000人と、医師や看護師、介護職員ら9000人を対象に行われている。
医師・看護師のほうが延命治療は望まないというパーセンテージは高かった。

一方、家族の問題になると、延命治療を望まない、という人の割合が半分に減る。
自分は望んでいないが、家族の問題になると、延命治療をかんたんにはやめられないという日本人特有の考え方があるようである。

終末期医療について、事前に書面で書いておくリビングウィルに賛成とした国民は、62%。
前回より3ポイント上がり、前々回より14ポイント上がっている。
書面内容を医師が尊重してくれる、と考える国民は39%で、リビングウィルを残しても、医師が尊重してくれるかわからないという不信感を、国民はもっている。

その逆に医師は83%が尊重すると考えている。
最近の医師は、本人のリビングウィルをできるだけ尊重すると、意識では思っている。
それがどれくらい実践されているかはまだ不確かではあるが、少なくとも医師の意識は変わりだしている。
自分の命は自分で決めたいという人の思いは、徐々に達成される環境がそろいだしているといえる。

勇気をもって、最後はこうしてほしいという思いを家族に伝えること。
自分で紙に書いておくこと。
あるいは尊厳死協会に入っておくこと。
これはとても大事なことである。

Photo_6 長野県茅野市には、「命の輝きを考える会」というNPOがある。 会員は、1500人以上。
1000円で尊厳死カードを発行してくれる。
尊厳死の宣言書が、リビングウィルである。
僕と妻は、それぞれが会員となり、カードをもっている。そして、こう書いてある。

  「万が一のとき、私がいわゆる植物症に陥り、なお意識の回復の見込みがないと2人以上の医師が診断したときは、家族の同意を条件に、いっさいの生命維持装置を止めてください。ただし、この場合、私の苦痛を和らげる処置は最大限にお願いします。そのための副作用で死期が迫ったとしてもいっこうにかまいません。
私の病が現在の医学では不治の状態にあり、死期が近いと判断された場合は、死期を引き延ばす延命処置は一切お断りします。鎌田實

ご希望の方はぜひお問い合わせを。
  命の輝きを考える会 ℡080-5017-3007

2008年11月 8日 (土)

介護家族の会と、きのこ汁を味わう

在宅介護の家族会を毎年開いている。
今年は、30人ほどの介護家族が集まってくれた。
1時間ほど、鎌田流のしあわせ介護のコツを話した後、グループになってみんなで愚痴を話したり、耳寄りな情報を交換したり、
介護にまつわる井戸端会議をした。
おいしいきのこ汁を食べながら、のなんともいいひとときだ。

おもしろかったのは、82歳の奥さんの介護をしているおじいちゃんのお話。 11021
なんと94歳で、本格的な介護をしているのだ。
「朝ごはんを食べさせて、きょうはここへやってきた」とおじいちゃんは言った。
ここで、きのこ汁を食べて元気をつけたら、また家に帰って、奥さんにプリンを食べさすのだ、と張り切っている。

週一回デイサービスを利用し、その間に、日帰り温泉やゲートボールに行ったりして、自分の時間を上手につくり出している。
これが大事なのだ。
介護を長く続けるには、介護者本人がリフレッシュできる時間をもつことが不可欠だ。
僕は、新刊『いいかげんがいい』のなかでも、副交感神経が優位になる時間を上手につくりだすことが、健康や幸せになるために大事なのだと書かせてもらった。
これを、このおじいちゃんは上手にやっている。

1102_2 頭も体もしっかりしている。
なんと、ひと晩に3回、おばあちゃんを抱えて、トイレにつれていくという。
頭が下がる。
僕たちにできるのは、おじいちゃんが倒れないように、常に心配りをすること。
少しでも、おじいちゃんに疲れた様子がみられると、すぐにショートステイでおばあちゃんを預かる手配をする。
こうやって、おじいちゃんは介護を11年続けている。
じつに亭主のかがみだと思った。

いよいよ11月11日、介護の日が近づいてきた。
ぜひ、シダックスホールでの介護の日制定記念講演を聴きにきてください。

2008年11月 7日 (金)

いよいよ「介護の日」の講演

『ヘルプマン!』をご存知ですか。Photo
くさか里樹という女性漫画家の、評判の介護マンガである。
これまで、会って介護の実態を知ってもらったり、僕の講演を聞いてもらったり、マンガにお役に立つよう、協力している。

くさかさんも、僕たちのすすめている「がんばらない介護」に協力してくれて、ポスターをつくってくれたり、ボランティアをしてくれている。
くさかさんのマンガに僕は帯を書いた。

「人は死ぬ。でも、でも・・・・死ぬまでは生きているんだ。じんときた。介護にかかわる人だけでなく、若い人にも読んでもらいたい。命のすごさがわかる。団塊の人にも読んでもらいたい。これなら老いもなっとくできる。おもしろいゾ」

もうすぐ11月11日、介護の日。国も介護を大事にしようとやっと本気になりだした。

この日、僕は松本市の県民文化ホールで午後1時から講演する。その後、あずさに飛び乗り、渋谷から7、8分のところにあるシダックスホールで、介護の日制定記念講演を行う。
厚生労働大臣の舛添さんが出てくださるかわからないが、厚労省の人と、介護の日の大切な役割について対談する。ぜひ、お越しください。

2008年11月 1日 (土)

やっぱりちょい太がよかったのだ

1030 先日、佐賀に日帰りで行った折、ちょっと福岡に立ち寄って、博多ラーメンを食べた。

僕は紅ショウガをオニのように入れて食べることにしている。

ショウガは、アメリカの国立がん研究所のデザイナーズフーズのなかで最もがんになりにくい食べ物。

しかも、ショウガにはアディポネクチンという、動脈硬化を予防してくれるホルモンの分泌を刺激する物質も含まれ、デトックス効果もある。

だから、おすしにはガリを、ラーメンには紅ショウガをたっぷり食べたい!
食後はパイナップルジュース。
妙なとりあわせだが、『雪とパイナップル』を思いながら飲んだ。

おいしいものが大好きな僕は、食べることも健康もあきらめられない。
かねてから「ちょい太」健康法をオススメしているが、やっぱりこれでよかったということが、茨城県のデータでも明らかになった。

茨城県の調査は、9万人が対象。1030_2
男性の60~70歳では、BMI25.3の人が死亡率がいちばん低かった。
25以上は肥満であるから、ちょっと肥満くらいがいちばん死亡率が低いということになる。
厚労省のデータでも、男性の場合にはBMI27ぐらいまでは長生きであることがわかっている。

見た目も美しく、健康で長生きな、理想的なBMIは22。これは、世界が認めている。
でも、それほど美しくなくてもいい、健康で長生きであればいい、と割り切れる人は、24~26がいいのだ。
僕がオススメする、ちょい太の体重である。
無理してやせることはない。
時々おいしいものを食べたほうが、健康で長生きできるのだ。

Photo BMI=体重㎏÷身長m÷身長m
ぜひ、ご自分のBMIを知っておこう。
おいしく食べることも、健康も、という人は、『ちょい太でだいじょうぶ』(集英社)をご覧ください。

2008年10月13日 (月)

幸せな介護

今日は往診日。八ヶ岳の裾野までやってきた。
紅葉が始まっている。八ヶ岳が秋の太陽の中で、まぶしいほど美しい。

娘さんご夫婦がパセリを摘んで、出荷の準備をしていた。
最後のとうもろこしだといって、職員とともに何本か頂いた。

10108s_3 おばあちゃんは、脳卒中があり、頚部骨折があり、認知症があるが、家族にとてもよく看てもらっている。
幸せな介護が行われている家だ。

今日は、車椅子に座って縁側で日向ぼっこ。
ぼくが庭からおばあちゃんのところへ行って手を振ると、おばあちゃんの反応がいつもよりいい。

「こんにちは」と声をかけると、最近はほとんど喋れなくなっていたのに、「先生」と久しぶりに声が出た。耳元で大きな声で喋っていくと、「うれしい」と単語が出る。半年ぶりくらいである。

ぼくも、訪問看護師も、看護学生も、なんとなく嬉しくなり、娘さんも嬉しくなり、みんなが嬉しくなった。介護をしているつらさをちょっと忘れ、介護していることの嬉しさがこみ上げてくる。介護にはときどきこういうとってもいい時間が訪れるときがある。

診察をし、血圧を測り、脈拍を診て、体温を測り、すべてがとってもよかった。
便通のコントロールが難しかった時期もあるが、なんとなく今は快適に過ごしている。

この家はいつでも前向きである。理学療法士の派遣も受け入れてくれている。
理学療法士の先生も前向きにやっているため、かなり重い寝たきり老人のはずが、寝たきりにならず、こうして車椅子で過ごすことができる。

訪問看護と、理学療法士の指導と、週2回のデイケア、これがおばあちゃんと、おばあちゃんを介護している娘さんを支えている。
そして、娘さんが疲れないように、ときどき病院の療養型病棟でおばあちゃんを預かる。
娘さんはリフレッシュして、また少し元気になって、おばあちゃんを迎え入れる。

良いリズムができている。
社会的な介護を上手に利用しながら、このうちはとても温かい。

11月11日は「介護の日」。
東京のシダックスホールで「介護の日」イベントが行われる。

失禁の勉強会やオムツの勉強会などセミナーが開かれ、ぼくも夕方から記念講演をする。厚生労働大臣に対談を申し入れているが、国会運営に隙間ができれば来てもらえる可能性もある。いずれにしろどなたか厚生労働省の方と、介護の日について、温かな対談をしたいと思っている。

ぜひシダックスホールに来て、「介護」を前向きに考えてみませんか。

2008年9月14日 (日)

疲労回復にはクエン酸

看護学校の文化祭が行われた。
「笑顔があなたの人生を変える」というタイトルで記念講演を行った。
ぼくのブログを見たという方がぼくの講演を聞きに、福岡や千葉から看護学校へ足を運んでくれた。ずいぶん遠くからたくさん来てくれたようだ。ありがたいことだと思う。

さて最近、講演会で健康の話をするときに、疲労の話もする。
筋肉に乳酸がたまると疲労感を感じる。代謝で乳酸を他の物質に変えてあげると疲労感は治まる。筋肉にたまった乳酸を他の物質に変えるためには、クエン酸が効く。

0914人間の体の中には、クエン酸回路という代謝のサイクルがある。クレブスという人が1937年に見つけた回路で、クレブス回路とも言われる。疲労にクエン酸がいいのである。

ぼくは朝4時半から起きて仕事をしているので、夕方の4時半くらいになると疲れが出てくる。そこでクエン酸を入れた牛乳を飲む。ヨーグルトのようでとてもおいしい。この一杯のクエン酸入り牛乳でぼくはまた夜まで全力で仕事ができるのである。

このクエン酸についてよく質問される。

実際には液体のクエン酸が一番使いやすくて、ぼくが使っているのは、スター食品という会社のシトラックスという液体クエン酸である。
テレビ東京の「主治医の見つかる診療所」に1時間特番としてぼくが出演したときには、りんご黒酢を牛乳の中に入れた。酢でもいい。

酢やクエン酸の苦手な人は、梅干でもいい。ただし塩分が多くなる欠点があるので、梅漬けとか梅干を利用するときには、減塩ものを使わないといけない。
グレープフルーツにもクエン酸が多く含まれている。

酢や梅やグレープフルーツを上手に使うと、疲労回復ができる。おすすめである。

2008年6月23日 (月)

がん難民をなくせ5

200806222 昨日は、東京で大腸がんインターネットフォーラムの生放送を終え、
あずさで帰ってくると、家族が久々に顔を揃えぼくを待っていてくれた。

ぼくは今年6月28日で60歳になる。還暦である。
皆が集まって、少し早いぼくのバースデーパーティーを開いてくれた。
茅野市のレストランピーターでおいしい夕食。
自慢のソーセージをはじめ、信州和牛のステーキなど、何を食べても実においしい。

若シェフの坂本くんがギターを抱え、スタッフが歌のプレゼントをしてくれた。
200806221楽しいパーティーとなった。

今日は、朝から病院で予約外来をし、自宅に戻り婦人公論の取材を受けた。「くじけない心」というテーマで巻頭インタビューである。
その後また病院へ戻って忙しく立ち回った。

がん難民をなくせ(5)

 しかし実際はそう簡単ではなかった。彼女は、放射線治療に否定的な友達から、止めたほうがいいと言われた。また暫くの間揺れた。
 中川先生の外来には通いながら、なかなか治療には踏み切れないでいた。
 
 そんなものなのだ。足を引っ張る友人がいるのだ。まともな医療にバッテンをして、サプリメントを勧める人がいるのだ。
 しかし結局彼女は、ぼくの勧めた放射線治療を始めた。ぼくとの約束を忘れないでいてくれた。
 
 予想外の効果を示した。幸い他の臓器には転移をしていなかった。
「がんが全部消える可能性がある」
 と、中川先生から連絡を頂いた。

 彼女は、がん難民の一人だった。
 進歩したがん治療から脱落してしまっているがん患者さんがたくさんいる。
 それは、医療者側の説明不足がまだまだあるように思う。

  ゆっくり患者さんの声を聞き、きちんとした対話をしていくうちに、妥当な治療法は見つかる気がする。
 ゼロにはできなくても、がん難民をもっと減らすことはできるように思う。
 再発がんにも希望はあると信じている。

2008年6月21日 (土)

がん難民をなくせ4

午後、和歌山県の御坊にやってきた。

美人の里らしい。
文武天皇のおきさきになった宮子姫がこの地に生まれた。
かわいいけど、髪の毛がなかったらしい。

ある日、母親が海の底から観音様を拾い上げお祭りをしたところ、宮子姫に毛が生えた。
カマタミノルももしかしたらこれから毛が生えるかもしれない。

明日インターネットでライブ放送があります。
どうぞ御覧下さい。

大腸がんインターネットフォーラム
明日AM11:00~12:00 「がんとどう闘うか」

がん難民をなくせ(4)

 ザクロのように開いて出血し始めている乳がんに対し、放射線治療が傷を瘢痕化させ、出血を止めてくれる可能性は十分にある。
 毎日何回もガーゼを取り替えなければならず、匂いもひどくなってきている。
 その状況を考えると、生きる長さよりも、クオリティ・オブ・ライフという生活の質を守ってあげることが大切だと感じた。
 1日1日の「生活の質」が重なったものが、その人の「人生の質」にもなる。
 明るさを取り戻していけば、ときには「魂の質」だってアップさせることができる。だからあきらめてはいけないのである。
 病気はあるけど、今日一日どう快適にすごせるかを前向きに考えるべきである。

 紹介しようとする東大病院の中川助教授との電話が終わった後、彼女は
「よくわかりました。納得しました。先生の治療方針に従おうと思います」
 と言ってくれた。

つづく

2008年6月20日 (金)

がん難民をなくせ3

大阪のクロスホテルの中にある三田屋ステーキ。
とにかくうまかった。
野菜がたっぷりで、ドーンとあつあつの鉄板の上に肉がレアで運ばれてきて
好みに合わせ、ミディアムで食べた。うまかった。

がん難民をなくせ(3)

「まだ手遅れではありません」
 ぼくは話し始めた。なぜ玉川温泉に通うようになったのか、なぜサプリメントを使うようになったのか、ゆっくりゆっくり話を聞いた。
 話を聞きながら、お互いの気持ちが一致していく。
 生きたいと思う患者の気持ちと、なんとか生かしたいと思う医師の気持ちが、徐々に近づいていくのである。
 
 東京の方なので、東京の病院のことを頭の中にいくつも浮かばせながら、どの治療がこの方に合っているかを考えていった。
 
 ぼくがたどり着いた先は、東大放射線科の中川恵一助教授であった。すぐ患者さんの目の前で、大学病院へ電話をした。
  ここが大事なのだ。隠し事をしない。多くの患者さんは疑心暗鬼に陥っている。舞台裏を見せてあげると信じてもらいやすい。
 患者さんに、病名も病気の進行状況も、可能性も全て、対診依頼の医師へ説明するのを聞いていてもらう。
 同時に、ぼくがあきらめていないことを知ってもらう。専門医に全力投球でお願いするのを、聞いていてもらうのが大事。
 
 再発したって、これからが勝負なんだと心の底から理解してもらう。

つづく

2008年6月19日 (木)

がん難民をなくせ2

午前中は看護学校の授業があった。

ヒロサワ リエコさんという、途中失明をしながら子どもを出産し育てた方に特別授業をして頂いた。
徐々に目が見えなくなりだしていたとき、失明を覚悟で子どもを生もうと決意した話には大変感動した。
生まれた子どもの記録をつけようと、子どもの言葉を一つひとつ点字で書きとめたという。子どもが愛されているなと感じさせられた。

午後は、テレビ対談のため、鳥越俊太郎さんが諏訪中央病院へ来院された。

13時から看護学校の授業があったためお待ちいただこうとしたら、看護学校で授業に協力してくれることになった。看護学生たちに大きなプレゼントとなった。

鳥越さんが大腸がんの手術を通して、病院の中で見た看護の大切さについて熱く語ってくれた。看護学生たちは、笑ったり、うるうるしたり。大変役に立つレクチャーをしていただいた。

その後、岩次郎小屋(我が家)で1時間ちょっと、熱い議論をした。
この模様は来週水曜日、テレビ朝日スーパーモーニング(8:00~9:55)で15分ほど放映されます。お楽しみに。

がん難民をなくせ(2)

 この方は学校の先生をしていた。3大治療の手術、放射線治療、抗がん剤治療を、やりたいとは思わなかった。
 病院へ行くのをやめた。毎月玉川温泉に行くようになった。こうしてこの方はがん難民になった。
 
 どんどん症状が悪化し、ぼくが診察したときには、腫瘍から出血し、浸出液が出て、傷はザクロのように潰瘍形成をしていた。
 もう私のことはいい。なるようにしかならない。手遅れと思っていた。
 
 しかし、この方があきらめていないことがよくわかった。サプリメントを山のように使っているのだ。
 プロポリス、AHCC、サメ軟膏、アガリクス。驚いた。毎月15万円はかかる。
 玉川温泉に行く費用も考えると、毎月30万円ではたりないだろう。

 調査では、サプリメントは毎年1.3兆円使用されている。莫大なお金が、効果がはっきりしない治療に動いているのだ。
 不思議な水などを入れれば、年間3兆円くらい。ある調査によると、がん患者さんの4割はサプリメントを使っている。
 この方は30万円を超える額をがんの治療のために毎月使っているというのだ。生きたいのだと思った。

つづく

2008年6月18日 (水)

がん難民をなくせ1

20080618_1819 午前は、原村診療所へいき、午後、松本で1件講演を行った。
その後、ホテルブエナビスタの1階にある中国レストラン聖紫花で、松本に住む孫と一緒に夕食を食べた。
ペキンダック、ふかひれや蟹が入ったスープがおいしかった。

がん難民をなくせ(1)

「がん難民」という言葉がある。悲しい言葉。医療が冷たくなっているのだ。
 患者側にも問題がある。西洋の医学では完治しないと言われると、直ると言ってくれる怪しい治療に飛びつくのである。

 がん難民からの脱出に成功した人の話をしよう。

 彼女は、自分のがんはもうどうすることもできないと言う。
 乳がんだった。23年前に乳がんの拡大手術をしている。右乳房の全摘手術を行い、肋骨を3本、3センチほど切除している。リンパ節も大きく隔清している。

 6年前、70歳のとき、乳がんの再発が見つかった。経過を追っていた主治医の外科医は、再発した以上積極的な治療はお勧めできないと言う。
 ここが大きな間違いだった。がんの種類によっては、再発だからと簡単にあきらめるのはもったいないがんもあるのだ。
 日本のがん治療を支えてきた外科医たちの多くは、再発すると簡単にあきらめてしまう。
 化学療法や放射線治療が、患者さんを痛めつけ、苦しめる、悲惨な例を身近で経験している人は多い。しかし最近の化学療法や放射線治療の進歩は目覚しい。

つづく

2008年5月24日 (土)

食の崩壊5

12時から諏訪実業高校の東京OB会に呼ばれて講演をした。
13:30、テレビ東京の1時間番組「主治医の見つかる診療所」の収録を行った。

夜は鬼子母神で唐組の芝居を見た。唐十郎からじきじきに電話を頂き、「見てくださいよー」と言われたのである。


食の崩壊(5)

080524  日本食の特徴は野菜が多い。色のついた野菜は色素の中に抗酸化力がたくさん含まれていて、動脈硬化の原因になるフリーラジカルが暴れないようにしてくれる。色のついた野菜を食べることは、若々しい血管を保つためにも、がんにならないためにも、大切なことである。
 植物油なら安心というのではなく、リノール酸の多い油ではなく、αリノレン酸の多い油を摂ることが大事。シソ油やエゴマ油がいい。
 魚を週5回は食べたい。塩分は、高血圧や脳卒中、心臓病、胃がんの発生に関係しているので、少なめにすることが大事である。
 日本特有のだし文化は大事。こんぶや鰹節で採っただしを適切に使うことが必要である。

 700万年の歴史において人類は、食べるための戦いをしてきた。痩せていることに価値を見出している最近の傾向は、人間の歴史からすると、無理があるように思う。食べないダイエットは、あまり健康に長生きにはつながらないとぼくは信じている。

 肥満ギリギリでもいい。BMI(ボディ・マス・インデックス、体重÷身長÷身長)18.5以下は痩せ型、25以上は肥満。実はこの25前後のところが健康で長生きしている。ちょい太でいいのだ。おお太はいけない。

 食べると脳内ホルモンのセロトニンが動く。セロトニンは腸の周りに80%があると言われている。食べると幸せと感じるのである。錯覚ではない。本当に幸せホルモンが動いているのである。がまんがまんの食べないダイエットは、幸せホルモンが分泌されない。幸せだなと思うことによって、副交感神経が刺激され、リンパ球が増え、免疫力が上がる。いつも食べずにイライラしながらいるのは、免疫力を下げ、病気の発生につながってしまう。食べないダイエットは体によくないのである。良い食べ物を知って、しっかり食べて、幸せだなと思うことが大事。

 日本食の良さをもう一度見直して、自分たちの生活の中に再び取り入れたいものである。

 詳しくは、ぼくの著書「ちょい太で大丈夫」を読んでください。 
 6/16(月)テレビ東京「主治医が見つかる診療所」でも食についての話をします。

※写真は、自宅“岩次郎小屋”のデッキで「がんばらないスクワット」をするカマタ。
 

2008年5月23日 (金)

食の崩壊4

今日は、「がんサポート」(エビデンス社)の企画でお二人の方と対談をした。

午前中は、読売新聞の田中秀一さん。
有名な医療ジャーナリストである。
彼が最近出した新しい本「がん治療の常識・非常識 (ブルーバックス)」 (講談社) を肴に、初めての対談である。

午後は、埼玉大学の大西秀樹教授。
「がん患者の心を救う―精神腫瘍医の現場から」(河出書房新社)という本を4月に出している。

14時半頃から、大竹まことのゴールデンラジオ!(文化放送)に出演した。

その後、文京学園で講演会をした。
JIM-NETのスタッフがやってきて、がんばらないレーベルのCDを販売してくれた。
利益はもちろんイラクやチェルノブイリの子どもたちの薬代になる。

食の崩壊(4)

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2008年5月22日 (木)

食の崩壊3

浜松で講演をし、フォーシーズンズホテル椿山荘東京でテレビの打ち合わせがあった。

6/16(月)19:00~、テレビ東京「主治医が見つかる診療所」で健康の話をする。テーマは「ちょい太で大丈夫」。

食の崩壊(3)

 ファーストフードは安くて旨くて便利である。この便利であることが曲者だ。それぞれが忙しい自分の時間に合わせて一人で食事を済ませることができてしまう。孤食化が進んでいる。
 地方の小中学校の4割が、朝食を週1回以上1人で食べているというデータが出ている。その傾向は学年が上がるごとに増え、中学生では5割を超える。

 1人で食べるものは、好きなもの、簡単なものだ。肉まんをチンして食べる。ケーキを食べる。スナック菓子を朝食として食べる。あるいはジュースだけ。そんな子どもの朝食が増えている。

 2004年に行われた国民健康栄養調査で、20歳未満を含めて朝食の摂食率が約11%だった。1日の食事が2回になることで、成長期の子どもには栄養の不足が心配される。
 血糖値の上昇が脳細胞を目覚めさせる。朝食を摂らないと、学校へ行っても朝ぼーっとした子どもになってしまう。
 食事が2回になるので、かえって肥満になりやすいと言われている。

 肉まんをチンして、これを食べて学校へいけと言われても、不登校の子どもには、学校へ行く力にはならないだろう。

 お母さんが1時間ほど前からお勝手でガサガサ仕事を始める。まな板で葱を切る音、味噌汁が煮立つぐつぐつという音、みその匂い。ごはんが炊けるゆげの音、お米の匂い。味だけではなく、音や匂いの中で、日本人は育てられてきたのではないだろうか。
 コーンフレークにミルクを入れてあわただしく口の中へかき入れても、本当に力のつく朝食にはならないだろう。

 ファーストフード店が多くなり、ファーストフードを食べる人が多くなることによって、肥満の人たちが増えていく。そしてそれだけではなく、いずれ家族で一つのテーブルを囲む回数がどんどん減っていくことだろう。

 食事をしながら、おじいちゃんと孫たちが会話をし、食育が行われたはずだ。分け合うこともそこで教えられた。
 最後に一個残ったときに、どうやって食べればいいかの想像力もそこで養われていったのである。おじいちゃんに勧める。おじいちゃんが孫に食べろと言う。じゃあ2人で食べるかと、想像力も共感力も養われてきたのではないかと思う。

<つづく>

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2008年5月21日 (水)

食の崩壊2

山口県周防大島町で行われる国診協(社団法人全国国民健康保険診療施設協議会)の地域医療現地研究会に出席した。
地域医療を行っているドクターたちの学術的な勉強会の責任者をしている。
どうしても来なくてはならなかった。
この大島の地域包括ケアはなかなかたいしたものである。

080519 読売ウィークリー・今週号の水谷修先生との往復書簡は、水谷先生の番である。
「戦後の日本の発展は自己否定の歴史。大切な心と文化を捨ててしまったようです・・・」
といったことが書かれていておもしろい。

食の崩壊(2)

 健康長寿王国を誇っていた沖縄が、2000年、26ショックに見舞われる。大正時代から長寿日本一だった沖縄だが、男性が2000年に26位に脱落したのだ。
 野菜を食べなくなった。1年中野菜が採れる沖縄県人が、1年の半分しか野菜を作ることができない長野県人よりも、野菜の消費量が少ない。
 海に囲まれているにもかかわらず、魚を日本一食べなくなった。日本一肉を食べるようになった。一番の大きな問題は、人口比でみると、日本一ファーストフード店が多くなったことだ。
 実は沖縄だけの問題ではない。日本がよりアメリカ的になることを目指す、この国のリーダーたちの関心が、そうさせてきたのだと思う。

 アメリカの富裕層では、久司道夫という日本人が提案するマクロビオテックという食法を、400万人の人が実践しているという。日本人が数十年前に食べていたようなものを中心とした食法である。ロシアでも、同じことが見られる。富裕層が日本食を好んで食べ始めた。

<つづく>

2008年5月20日 (火)

食の崩壊1

080520_2 諏訪中央病院には美しい庭がある。いつもグリーンボランティアの方々がきれいに手入れしてくれている。だれでもハーブや花を摘んでよいことになっている。車椅子でも通れる小道もあり、患者さんやそのご家族のための憩いの場になっている。
 5月初め、その庭に美しい紫色のチューリップが咲き乱れた。有名な英国園芸研究家で、蓼科高原 バラクラ イングリッシュ ガーデンのオーナー、ケイ 山田さんが病院に寄付してくださったのである。紫と淡いグリーンのコントラストが実にみごとである。ケイさん、どうもありがとうございました。

  今日は、諏訪中央病院 看護専門学校で授業を行った。テーマは「脳死と臓器移植」。授業が終わると、緩和ケア病棟の回診を行い、その後、TBSテレビ夢の扉のスタッフが打ち合わせにやってきた。午後は予約外来である。

Bungeishunju0806 夕方、文藝春秋の編集者が取材にやってきた。
後期高齢者医療についての取材である。
先週サンデー毎日に後期高齢者医療についての意見が他の人たちと違っておもしろかったらしい。
来月号の文藝春秋を読んでください。
今月号には、グラビア「日本の顔」に出ています。

少し前、文藝春秋に「食」の崩壊について文章を載せた。
 

食の崩壊(1)

 アメリカは傷ついていた。日本に経済で№1の座を奪われ焦っていた。1970年代後半、心臓病とがんが多く、国民の健康が脅かされていた。医療費が高く、アメリカ経済の足を引っ張っていた。

 医療改革を行うために、上院に国民栄養特別委員会が置かれ、7年の歳月と数千万ドルの国費が導入され、5千ページのめくら判レポートが出された。

 脂肪の摂りすぎで乳がん、子宮内膜がん、前立腺がん、大腸がん、すい臓がん、胃がんなどの発症率が高まる恐れがあるとまとめ、高カロリー高脂肪食を減らし、精製しない穀物、果物を多くとることを強調した。

 日本食が理想的だと述べ、日本食ブームの火付け役となった。アメリカからヨーロッパへ広がり、日本食ブームは一大潮流になり出している。

 世界が日本食に高い評価を当てているにも関わらず、日本人が日本食から離れ出していることは、一つの大きな問題である。

<つづく>

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